4223.国家ビジョンの構築4



経済構造を見れば、一目瞭然である。日本の予算全体は250兆円
であり、日本の国民総生産(GDP)は500兆円であり、政府予
算が全体の半分を占めている。政府の予算動向が、大きく景気を動
かす理由は明白である。

8.給付付税額控除について
給付付税額控除は、制度設計をシッカリすると、大きな効果がある。
特に生活保護の内、労働力世代(16才〜64才)までの人たちの
労働力を最大限引き出せることになる。生活保護費は20万円程度
貰えるので、労働をしない。労働をすると、生活保護費をその分打
ち切られることになる。

しかし、最低限の生活費分を支給して、それからは労働すると上積
みになるようにすることである。こうすれば、アジアに逃げた低賃
金の労働も、再度日本で工場を持つことができる。今までの生活保
護より少ない12万円前後の支給にして、22万円程度までは切ら
ない。22万円以上は支給額が徐々に少なくして、25万円以上に
なったときに、支給をゼロにすると、工場である程度の熟練になり
、給与が上げられると自然な形で、支給が無くなるようにすること
ができる。制度間の溝を小さくできる。

日本の労働賃金で、海外に出ていた企業も、繊細な内職の仕事も復
活できて、労働の範囲が広がることになる。そして、大企業の最低
賃金は必要であるが、中小企業の最低賃金は廃止することである。

もう1つが、社会福祉のある部分を厚生労働省から財務省に移すこ
とになり、厚生労働省の職員数を減らすことができる。基礎年金部
分にも適用可能であり、システムが統一化できる。

9.地域の振興策
植生革命が起きる。それは、世界的な石油不足が起きて、資源の奪
い合いになっているためである。雨が多い日本の地方には、森林が
どこでもある。日本の山は、木を植林すると30年程度で元に戻る。
この木が大きな価値を生み始めた。木製ペレットは間伐材からでき
るために、1Kg35円程度であり、軽油より3割程度安いことに
なる。燃焼効率が90%のペレットストーブが開発されて、ほとん
どすすも出ないようになっている。

このペレットで発電をすると電気も自給できることになり、川など
の水力などと合わせて使えば、その地域に安い電力ができて、工場
などの誘致もできるようになる。オーストリアのギッシングがそれ
を行っている。その地域の71%の電気をペレット発電で賄って、
電気が安いので、50社の工場がこの地域に来ているという。

また、プラスチックの代替をしての「リグパル」など木から生み出
される原料のリグニン抽出も現在工業化の試験中である。これがで
きると、日本の森林が大きな価値を生むことになる。紙くずを粉々
して水を含ませて形を作り、それをリグニン溶液に浸すとプラスチ
ックの容器のようになる。

この2つで山林が蘇ることになる。

農業もこの電力でよみがえる。植物工場は現在潰れている。その理
由は、路地でできる野菜を中心にしているためで、これを薬の原料
となる植物や健康食品などの付加価値の高い物を作ることである。

また、ビニールハウスなどでも燃料費を抑えられるので、特徴があ
る果実などを栽培できる。

水産業でも、CAS(フリージング・チルド・システム)で、新鮮なまま
冷凍できる技術ができて、距離を感じないで、本当においしい水産
品を遠距離に輸送ができるようになった。このような技術を活用し
た地域振興ができることで、再生をすることである。

最後に、規制緩和が重要である。消費者までに市場が2つあり、仲
買人がいることで、農家や漁民が中間マージンを多段に取られてい
る。これをスーパーに直接売るとか、ネット通販で、直接売るとか
の方法で、農民・漁民の取る分を増やすことである。

今後TPPとの関連で議論になる所得保証もJAからではなく、直
接農家に補助しないと、中間マージン問題が解決しないことになる。

もう1つが、藻から石油であるが、筑波大学の渡辺さんが発見した
高効率的に石油成分を生成するオーランチオキトリウムは、光合成
をしない。このため、米国の研究者からは否定的な意見もあるが、
高効率で光合成をする藻で、タンパク質を作り、それをオーランチ
オキトリウムの餌にすることで、それを乗り越えようと渡辺先生は
考えているようだ。これも大きな池が必要であり、田舎に施設を作
ることになる。

現在、仙台市の下水処理施設にオーランチオキトリウムの培養池を
作り、工業化の実験をし始めた所である。このように地域活性化の
手段が確立してきている。

これをどう政府はサポートして、次の産業を作るかである。

10.製造業の生き残りについて
11.防衛力の整備について

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