4218.国家ビジョンの構築1



国家ビジョンが必要であると何遍もこのコラムで述べている。しか
し、国家ビジョンとは国家百年の大計を決めることであり、国の方
針になる。戦後、吉田茂が経済優先で軍事を米国に任せる富国弱兵
の国家ビジョンを示した。しかし、この国家ビジョンは米国の国力
低下で見直すことが必要になる。

ここで、国益とは何かから解き明かすことが必要になる。国益は2
つしかない。国民を豊かにすることと、国民の安全を守ることであ
る。

この2つをどうするかが、富国弱兵で、米国に従属すると決めたこ
とが今までであるが、米国からも日本が自立することを求められて
いる。中国の軍事的な圧迫もあり、日本は強兵政策にシフトせざる
を得ない状況にある。

国民を豊かにするというが、国民の50%以上が65歳以上という
老人社会になることが目の前にあり、この対応策を取る事も求めら
れている。

というように、日本国家は今のビジョンが、できない状態になって
いる。新しいビジョンを持ち、それを国民と政治家が共有して、次
の国家建設に向かわないといけない時代に来ている。

この課題は、吉田茂が構築したビジョンより非常に難しいことにな
るために、課題が山積しても、これまでの政治家は国家ビジョンが
できなかった。言い出さなかった。小泉元首相がそれらしい構想を
語ったが、後の首相たちは課題を言うのみである。

野田首相も同様であるので、国民は全体的な構想がわからない。国
家戦略がないように見えてしまう。

全体の体系を立てて、それを説明し、国民を説得して国家再編を踏
み出さないといけない時期にきたような気がする。

この正月休みは、この構築をしようとしている。

まずは、現状分析である。

1.現状分析
今日の日経に、武藤さんの発言「消費税は16%になる。10%で
は足りない。5%の消費税収は、13兆円であり、10%で25兆
円、しかし、年金・医療・介護・少子化対策経費で2015年には40
兆円が必要になる。10%では足りなく、15兆円程度の不足にな
る。この穴をどう埋めるかだ。

一般会計予算は90兆円であり、別枠に復興予算が2012年度で
4兆円がある。特別会計は180兆円であり、重なりを取ると250
兆円が国家予算である。この内、180兆円の議論が少ない。この
部分を効率化して、税外収入を増やすことができるはずである。

特別会計を叩くと削減を小出しをするが、独法に入る小麦の売買益
や電波使用料などの大きな収入を国庫には入れない。このような収
入を税外収入で、国庫に入れて国民に透明化させないと、官僚の天
下り先での給与と渡りの退職金になり、国民が使える金を官僚が横
領しているように見える。

パスポートセンタの職員の多さ、自動車の車検場の職員の多さ、天
下りの渡りの退職金の多さなどを橋下流に、改革するだけで数が多
いので、この合理化で少なくとも4兆円以上の税外収入を生み出す
と見ている。

しかし、特別会計の事業仕分けでも分かるとおり、政府官僚は無視
をしている。

しかも、連合が支持している民主党だけではなく、自民党、公明党
まで政府職員の給与削減に反対して、政府職員の給与を守ることに
なっている。議員報酬も削減されることを嫌ってそうしたとしか思
えない。7%削減反対の理由に0.6%削減の人事院勧告を持ち出
すことで自公もダメであることがわかる。

政治家は、議員削減も拒否している。このように、政治家や官僚が
一切損をしないようにして、国民だけにしわ寄せをすることが通る
はずがない。

しかし、武藤さんの試算どおり、官僚・政治家の縮小だけでは37
兆円を生み出せないので、消費税増税は絶対に必要である。しかし
、小さな政府、適正な社会保障などをしてからにしてよという国民
の声を無視はできない。

この場合でも、社会保障費以外の支出項目は削減するか維持する必
要がある。しかし、新幹線の新規着工などをして、復興以外の公共
事業も膨らます。これではどうしようもない。社会保障費も自然増
以外は、拡大をさせないか縮小させないといけない。それを拡大し
ている。ここにも問題がある。

もちろん、野田首相の言うとおり、「中産階級の拡大を目指すこと
は必要である。」が、そのことは消費税以外の費目で調整で行うこ
とである。所得税や税外収入を増やす努力が必要だ。

2.国民の安全、エネルギー政策
中国の軍事拡大、米国の衰退での軍事予算削減などから、今後日本
の安全保障は難しくなる。この予算はある程度の増額が必要になる
が、それを認める環境にない。

このため、装備の低価格化を進めないと、中国軍などに対抗するた
めの質的な向上ができないことになる。このため、武器輸出三原則
の緩和が重要になったのである。

また、原子力発電所事故で、電力エネルギーを代替する水力、風力
、火力などの増強が必要になる。この方法は自由競争というが、送
電、配電の自由化は難しい。しかし、ここにも技術的な問題がある
安定的な電力供給について考える必要がある。

火力の多くはLNGガスかLPGガス発電、または石炭であるが、
この供給源は限られている。日本には新しいシェールガスが出ない
ので、そのガス、石炭を求めて世界を相手に輸入するしかない。

また、自動車には石油が必要であり、これは中東の石油が90%を
占めているので、この輸送ルートの安全などを担保する必要がある。
このシーレーン防衛を米国に頼ってきた。これができなくなる。

今までの安価な防衛ができにくくなってきた。強兵路線も必要にな
ってきたように見える。エネルギーの自国調達ができれば、現状の
防衛費で維持できるかもしれないが、この20年程度を見るとでき
そうにない。

藻からの石油とかすすきからのバイオエタノール、メタンハイドレ
ード、太陽光発電など将来的に日本で自給できる方法が研究されて
いるが、まだ、今後20年程度では実用化できるかどうか、分から
ない。

というように安全保障の確立が重要になってきた。特に中東へのシ
ーレーンで問題なのが、ホルムズ海峡と南シナ海である。この2地
域は紛争地であり、いつ封鎖されるか分からない。

このため、アラブ首長国連邦は、パイプラインで、このホルムズ海
峡よりインド洋に近い場所までの輸送を計画しているし、南シナ海
紛争では、ロンボク海峡経由のルートを早急に整備することである。

また、このルートの安全確保に、インドネシアと協力して日本は軽
空母などの海上自衛隊を送るしかない。このことで、日本はソマリ
ア海賊でのPKOと同じように、インドネシアの要請で、出動でき
る法律の整備が必要になる。

取りも直さず、これが軍の遠征ができる体制を整えることであり、
その装備も多様になる。PKOなどで、対応が徐々にできつつある
が、それを国家目標にすることが重要になってきたようだ。

3.人口予測と対応策
4.産業政策、移民政策
5.国家ビジョンは


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