4187.ユーロ危機で世界大恐慌へ



欧州での国家債務危機は、徐々に拡大している。この欧州での国家
債務問題は、世界大恐慌を起こすことになる。津田より

0.現状のユーロ政策
欧州委員会のバローゾ委員長は23日、単一通貨ユーロ導入国に対
し各議会に予算案を上程する前に報告を求め、EUの「財政査察官
」を強制的に派遣するなどの対策を提案した。財政赤字を国内総生
産(GDP)の3%内に抑える安定成長協定を守れない国には予算
案再編を要請する対策を提案した。また、重債務国の資金調達を助
けるためユーロ共同債の検討も求めた。

しかし、安定債の導入にはEU基本法「リスボン条約」の改正が必
要となるが、メルケル独首相は「ユーロ共同債は機能しない。適切
ではない」と猛反発しており、現時点での導入は困難である。

ドイツ連邦銀行は23日、新発10年国債の入札を実施、60億ユ
ーロ(約6200億円)の募集に対し、金融機関からの応募は約36
億ユーロにとどまり、調達予定額に届かない異例の「札割れ」とな
った。EU内銀行が手持ち資金を確保するために入札しなかったこ
とが原因であると見られる。

ドイツのメルケル首相は、ドイツ国債の札割れ後の24日でも、ユ
ーロ圏諸国が共同発行する「欧州共同債」について、不要と断言し
、また危機解決の手段としての欧州中央銀行(ECB)の役割拡大
も依然として断固拒否している。

サルコジ大統領とメルケル首相は「イタリアが崩壊すればユーロの
終わりにつながるのは必至であることを認識していると言明し、イ
タリアを支える方針を確認した」と、モンティ首相が25日の閣議で
述べた。

しかし、このようなことであると、ユーロの終わりになるのは必至
であると、米資産運用会社インベスコのグリーンウッド氏は、「北
の有権者はこれ以上、救済する必要はないと主張する公算が大きい
のに対し、南欧の有権者は一段の緊縮策を拒否することから、通貨
連合の分裂を促す」と分析した。

また、S&Pは25日、ベルギー国債の長期発行体格付けを「AA
(ダブルA)プラス」から「AA」に1段階引き下げたと発表した
ようにユーロ圏の国債格付けは下がり続けることになる。

25日の欧州債券市場では、イタリアの国債が売られ、2年物国債
の流通利回りは一時、年8.2%台をつけ、1999年のユーロ導
入後では最高になり、10年物国債は、7.4%台まで上がった。
金利は通常、短期国債の金利の方が長期国債よりも低いが、イタリ
アでは22日から短期の金利が長期を上回る「逆転」状態になって
いる。

このような混乱した国の銀行が政府保証を求める際、追加の費用が
一部免除されるようなEU(欧州連合)のルール変更が発表される
ようだ。現行では同行債のクレジット・デフォルト・スワップ(C
DS)などに基づいて決定されるが、今後は3年間の銀行債CDS
の平均になるようだ。これにより政府保証の手数料が安くなる。

イタリアは、11月28日と12月12日を「国債デー」と銘打ち
、国民にイタリア国債購入を呼び掛ける異例の救国キャンペーンを
始めた。国民の買い支えで相場の値崩れを防ぎ、国債の信頼性を少
しでも高める狙いだ。とうとう、戦時国債的な愛国心に訴えること
になってきた。

欧州委員会は、このようなユーロ圏銀行の状態から2011年末でに終
了する金融対策を12年末まで延長する方針を固めた。加盟27カ国政
府による銀行への公的資金注入や政府保証付与を進めやすくする。

国債デフォルト阻止から、ユーロ圏金融機関の保護にその政策を広
げてきている。

1.世界大恐慌への扉
世界は、日本が1990年代のバブル崩壊で経済立て直しをできず
に苦しんでいたとき、日本の政治家は、非常に愚鈍で何も即効で決
められなく、いつも後手の対応をしているとした。

しかし、現在のユーロ危機拡大をさせているのは、EU首脳たちの
判断遅れであり、ギリシャ危機からイタリア、スペインに飛び火し
て、金利7%以上になり、財政再建をしても償還できなくなってき
ている。

それ以上に、国債の値下がりで、今まで安全と思われる国債を買っ
てきた欧州の金融機関の損失が、非常に大きくなることである。米
国と日本の金融機関もEU諸国の国債を買っているが、EU諸国の
銀行ほどには多くない。このため、EU諸国の銀行に、日米の銀行
は資金融通をしなくなっている。

しかし、これがデリバティブ取引となると、米国の銀行は大量の取
引を持っている。特にCDSという債務不履行時の保険は米国の銀
行が保証サイドにいるために、EU諸国のどこかの銀行や国債がデ
フォルトになると、その保証額が巨大になり、米国の銀行を倒産に
追いやる可能性がある。やっとリーマンショックから立ち上がれた
ところであり、資金的な余裕は米銀にはない。

米国の銀行が倒産すると、そこの債権保証のCDSが発行されて、
その保証サイドの銀行が倒産となり、連鎖していく。これを世界は
恐れている。もし、このような事態になると、世界的な金融ネット
ワークを通じて、世界のすべて銀行の倒産や損失を拡大させてしま
うことになる。

このときは、日本の金融機関も例外ではなくなる。特に国際化が進
んでいる野村證券とみずほは多大な影響を受けるはずである。野村
は先手を打ち、資金的な手当てのために、野村総研などを売りに出
して、資金を確保する方向である。米国の銀行も非中核的な資産を
売り、手持ち資金確保に奔走している。

世界の金融機関は、世界恐慌になることに対応する資金確保に乗り
出してきた。これは、ただごとではないとの予測が出ているためだ
。

2.現状のデリバティブ状態
BISは、2011年11月に、デリバティブの統計数値を更新し、それによ
ると、$14.2兆(1136兆円)の損失が、10年12月時点で生じ、それ
が現在、主に米欧の金融機関とファンドの含み損になっているとい
う。この損が表面化すると、世界の金融の大収縮が起きて、実体経
済の恐慌と政府財政の破産になる。

2010年12月でのデリバティブがかった原資産は、$601兆(4京8080
兆円)であり、世界の金融資産(マネーストック)の約3倍である。
これは、預金や証券の現物に、3重にデリバティブがかかっている
ことを示すが、CDSは32兆ドル程度だ。

このため、実体の国債の損失より、それによるデリバティブの損失
の方が大きくなる。保険を掛けるほうはバラバラであるが、それを
保証している金融機関は少数であり、そのため、保険の執行が起こ
ると、その保証している金融機関は倒産する可能性が高くなる。

現在、オリンパスではないが、米国や欧州の金融機関は、多くの飛
ばしを行っていることは明らかである。$14.2兆(1136兆円)の損
失が表面化していないことで分かる。この損失が表面化すると、一
度に損失の連鎖が起こることにもなるし、その損失がどこの銀行に
あるのかわからないために、疑心暗鬼になる。銀行間取引を縮小さ
せてしまう原因でもある。

という現状の姿を知った上で、EUの政策を見ると、歯がゆいこと
が分かる。EU発の世界大恐慌が始まる可能性がある。

特に、EUの銀行は上海や香港に多数あるが、その銀行の資金絞込
みなどで、不動産市場に大きな影響を今も与えている。この影響が
徐々に出ている。

しかし、本格的な景気後退になると、中国のバブル崩壊も起きて、
世界経済はなだれ現状を起こす可能性がある。そのときは日本も例
外ではいられない。タイの洪水後は、世界経済の後退という嵐が待
ち構えている。

3.日本企業はどうすればよいか?
手持ち資金を確保して、景気後退を乗り切ることである。日本は、
丁度よく、復興予算の執行があり、12兆円の予算がこれから2年
間で使われる。丁度、世界景気後退のときに、唯一予算を増やす国
が、日本である。これは、大きな恵みだ。

明確な目標もある。放射能問題の解決である。この技術はどこも持
っていないことが、今回の福島原発事故で分かった。今後、この技
術は大きなことになる。この有料コラムを読んでいる人たちは知っ
ているが、今後、いつか核戦争になる。

日本の金融機関はリーマンショックでもユーロ危機でも傷がついて
いない。CDSの引き受けも日本の銀行はしていないために、傷が
つかない。このため、世界で資金供給ができるのは、日本の銀行だ
けになるはずである。

その日本の銀行から資金を借りれる日本企業は、大きく世界に羽ば
たくことができることになる。

さあ、どうなりますか??

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EU、銀行支援策を12年末まで延長 公的資金など:日本経済新聞
2011/11/27 1:59
【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)の欧州委員会は、2011
年末で終了する金融対策を12年末まで延長する方針を固めた。加盟
27カ国政府による銀行への公的資金注入や政府保証付与を進めやす
くする。仏ベルギー系の金融大手デクシアが実質的に経営破綻する
など債務危機が銀行危機へと波及する中、欧州銀行の資本増強や流
動性確保に万全を期す。アルムニア欧州副委員長(競争政策担当)
が12月1日に発表する。
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債務危機、救国精神で克服へ=伊が国債購入キャンペーン

 【ジュネーブ時事】債務危機で国債価格急落に見舞われている事
態を憂慮し、イタリア銀行協会(ABI)は25日までに、11月
28日と12月12日を「国債デー」と銘打ち、国民にイタリア国
債購入を呼び掛ける異例の救国キャンペーンを始めた。国民の買い
支えで相場の値崩れを防ぎ、国債の信頼性を少しでも高める狙いだ。
 キャンペーンには約100の金融機関が参加。一般市民や企業な
ど幅広い投資家に11月28日は既発債、12月12日は新発債の
購入を促す。通常の国債購入時にかかる銀行手数料は無料にする。
 イタリア国債は、巨額の政府債務残高を背景とした返済懸念から
売り圧力が強まっている。ABIは「前例のないキャンペーンだが
、厳しい状況にあるイタリアが国債を管理できることを国民全体で
示したい」としている。(2011/11/26-06:46)
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EU:公的支援ルール変更も、政府保証求める銀行保護に向け
                          −関係者

  11月26日(ブルームバーグ):欧州ソブリン債危機が波及して
混乱した国の銀行が政府保証を求める際、追加の費用が一部免除さ
れるようなEU(欧州連合)のルール変更が発表される可能性があ
る。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。
  この議論が非公開であることを理由にこれら関係者が匿名で明
らかにしたところによると、EUの行政執行機関、欧州委員会は、
銀行が融資や社債の保証と引き換えに支払う手数料へのユーロ圏情
勢の影響が抑えられると見込まれる銀行公的支援ルールを公表する
見通しだ。
  現行ルールでは、政府保証を受ける銀行が政府に支払う手数料
は、2007年1月から08年8月までの同行債のクレジット・デフォル
ト・スワップ(CDS)などに基づいて決定される。
  今月30日に公表される修正措置では、銀行債保証コスト上昇の
影響を緩和するため、手数料決定に3年間の銀行債CDSを使用し
、政府保証の費用を調整するという。
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欧州安定メカニズムに関する再検討可能、指針は決定済み=独財務相
2011年 11月 26日 08:12 JST 
			
 [ベルリン 25日 ロイター] 2013年に導入される予定
の恒久的な救済メカニズムである欧州安定メカニズム(ESM)に
ついて、ドイツのショイブレ財務相は25日、新たに検討すること
は可能だが指針に関しては5月に合意しているとの認識を示した。

 ロイターは欧州連合(EU)当局者の話として、ユーロ加盟国が
ESMから民間関与を除外することを検討していると報じている。

 これについてショイブレ財務相は、欧州の財務相会合で来週、こ
の問題について協議する可能性があるとしながらも「ESMの指針
については5月に全面的に合意している」と強調した。
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イタリア国債利回り上昇 2年物が一時過去最高の8%超
2011年11月26日0時14分

 25日の欧州債券市場で、イタリアの国債がまた売られている。
国債は値下がりした分、金利が上がる。この日は、満期までの期間
が短い「短期国債」の金利も急騰。2年物国債の流通利回り(満期
2年の国債の金利)は一時、前日より0.6%幅高い年8.2%台
をつけ、1999年のユーロ導入後では最高になった。

 長期金利の指標となる10年物国債(満期10年)の金利も一時
、7.4%台まで上がった。財政運営が難しくなる「危険水準」と
される年7%を上回っている。

 金利は通常、短期国債の金利の方が長期国債よりも低いが、イタ
リアでは22日から短期の金利が長期を上回る「逆転」状態になっ
ている。短期間のうちに、国債が約束通り返ってこない「債務不履
行(デフォルト)」になるのではないかと心配する投資家が増えて
いるためだ。
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ベルギーを格下げ=金融支援拡大で−S&P

 【ニューヨーク時事】米有力格付け会社スタンダード・アンド・
プアーズ(S&P)は25日、ベルギー国債の長期発行体格付けを
「AA(ダブルA)プラス」から「AA」に1段階引き下げたと発
表した。欧州信用不安が長引く中、大手金融機関デクシアなど金融
部門に対する政府支援の拡大で、財政が悪化する恐れが強まってい
ることなどが理由。見通しも「ネガティブ(弱含み)」とし、さら
なる格下げの可能性を示唆した。
 S&Pは、金融市場の資金調達環境の悪化などで、「金融部門が
これまで以上の政府支援を必要とする可能性が高まっている」と分
析。特に10月にベルギーとフランスなどが発表したデクシアへの
支援で、金融部門に対する政府保証の総額はベルギーの国内総生産
(GDP)の約24.5%に膨らんだと指摘した。
(2011/11/26-07:41)
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ユーロ圏から複数国が離脱も、有権者の不満が引き金に−インベスコ

  11月25日(ブルームバーグ):米資産運用会社インベスコのチ
ーフエコノミスト、ジョン・グリーンウッド氏は、欧州の有権者の
間で緊縮策や救済パッケージに対する不満が高まり、ユーロ圏から
少なくとも1国が離脱するだろうとの見通しを示した。
  グリーンウッド氏は同社ウェブサイトでのインタビューで「最
終的に1国または複数の国がユーロ圏を離れるだろう」と述べ、「
根本的な問題ある。それは成長率と生産性、さらに労働に対する倫
理観が異なる2つの経済圏から成り立っていることだ」と説明した。
  同氏はドイツやオランダなどの北方に位置する国々とギリシャ
やスペインなどの南欧諸国について言及し、「こうした国々を1つ
の共通した通貨連合にまとめたことが競争面で大きな相違を引き起
こしてきた」と論じた。
  グリーンウッド氏は、「北の有権者はこれ以上、救済する必要
はないと主張する公算が大きいのに対し、南欧の有権者は一段の緊
縮策を拒否することから、通貨連合の分裂を促す」と分析した。
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独首相と仏大統領、イタリア崩壊ならユーロは終わりと同意−伊首相

  11月25日(ブルームバーグ):ドイツのメルケル首相とフラン
スのサルコジ大統領は、イタリアが欧州債務危機の犠牲になれば域
内単一通貨ユーロの終えんにつながるとの見解で、イタリアのモン
ティ首相と一致した。
  イタリア首相府が電子メールで配布した文書によると、サルコ
ジ大統領とメルケル首相は「イタリアが崩壊すればユーロの終わり
につながるのは必至であることを認識していると言明し、イタリア
を支える方針を確認した」と、モンティ首相が25日の閣議で述べた
という。
  この日の入札で、イタリアが発行した6カ月物証券の利回りは
7%近くとなった。同国の債務削減を投資家は疑問視している。メ
ルケル首相は24日、モンティ首相およびサルコジ大統領との会談後
の共同記者会見で、モンティ首相は「成長を促進」するための優れ
た戦略を説明したと語った。
  この日の伊首相府の発表文書によると、モンティ首相は24日の
首脳会談で、「イタリアは最近、財政再建に関し相当の改善を成し
遂げたことを示した」と語った。さらに「そのような財政再建策を
持続可能にするための取り組みは、短期的に成長重視の政策を通し
て実践される」と付け加えている。
  モンティ首相はこの日、2013年に財政収支を均衡化させる決意
をあらためて示した。
  メルケル首相は危機解決の手段としてのユーロ共同債や欧州中
央銀行(ECB)の役割拡大は依然として断固拒否している。
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欧州共同債、期待しぼむ=独首相、反対を堅持
 【フランクフルト時事】ドイツのメルケル首相は24日のフラン
ス、イタリア両国首脳との会談で、ユーロ圏諸国が共同発行する「
ユーロボンド(欧州共同債)」について、不要と断言した。容認に
傾くとの見方も出ていただけに、市場では株価が下落するなど失望
が広がった。
 共同債構想は、23日に欧州連合(EU)欧州委員会が素案を提
示。複数のドイツ紙は、欧州連合(EU)条約改正による財政規律
強化と引き換えにドイツが共同債を容認する可能性を報じていたが
、メルケル首相は3カ国首脳会談後の会見で「(共同債は財政規律
強化と)引き換えに認めるようなものではない」と期待を退けた。
(2011/11/25-07:19)
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ドイツ国債の入札不調 中核国に欧州危機の悪影響

 【ロンドン共同】ドイツの中央銀行、ドイツ連邦銀行は23日、
新発10年国債の入札を実施、60億ユーロ(約6200億円)の
募集に対し、金融機関からの応募は約36億ユーロにとどまり、調
達予定額に届かない異例の「札割れ」となった。欧州主要国で最も
安定した財政基盤を持つ中核国ドイツにも欧州債務危機の悪影響が
及んだ格好だ。

 2%という表面利率の低さが嫌気されたのに加え、危機を受けて
銀行がドイツを含む欧州の国債そのものへの投資を控えているため
とみられる。平均落札利回りは1・98%だった。

2011/11/23 22:23   【共同通信】
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バローゾ委員長、ユーロ圏各国に予算監督強化を提案 共同債発行も
産経新聞 11月23日(水)18時59分配信

 【ロンドン=木村正人】欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員
会のバローゾ委員長は23日、単一通貨ユーロ導入国に対し各議会
に予算案を上程する前に報告を求め、EUの「財政査察官」を強制
的に派遣するなどの対策を提案した。重債務国の資金調達を助ける
ためユーロ共同債の検討も求めた。提案をたたき台に12月のEU
首脳会議で財政規律の強化策を協議する。

 バローゾ氏は記者会見で、毎年10月15日までにユーロ導入国
に予算案の報告を求めるとし、財政赤字を国内総生産(GDP)の
3%内に抑える安定成長協定を守れない国には予算案再編を要請す
る対策を提案した。応じない場合は公表して圧力をかける方針だ。

 また、債務危機の抜本的な解決策としてユーロ圏が共同で債務を
保証する共通債「安定債」の導入検討を提案。(1)ユーロ導入国
が発行するすべての国債を安定債に転換(2)導入国がそれぞれの
国債を発行する一方で債務の一部を安定債に転換(3)重債務国の
債務について一部を安定債に置き換えて個別に保証する−の3案を
示した。

 安定債の導入にはEU基本法「リスボン条約」の改正が必要とな
るとみられるが、メルケル独首相は「ユーロ共同債は機能しない。
適切ではない」と猛反発しており、現時点での導入は困難とみられ
ている。
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ビジネス知識源      吉田繁治    2011年11月24日号
<565号:ユーロ危機の、終着点は世界恐慌か>

■3.BISの、最新のデリバティブ統計から読み取れること

BISは、2011年11月に、デリバティブの統計数値を更新し、最新
データを、11年6月としています。

8月にこのBIS統計を読んで、その解釈から、$14.2兆(1136兆
円)の損失が、10年12月時点で生じ、それが現在、主に米欧の金融
機関とファンドの含み損になっていると示しました。

この損の1136兆円余の損が、何らかの形で、300兆円くらいに薄め
られないと(それでも大きいのですが)、世界の金融機関とファン
ドの損から、
・世界の金融の大収縮(デ・レバレッジ=マネー・ストックの急減
少)に向かい、
・流通できるお金がなくなると、
・商品と不動産の商取引が減って、実体経済の恐慌と政府財政の破
産になります。

▼デリバティブの「元本」総額:BIS
                                                  ↓更新
          08年12月   09年12月  10年12月   11年6月
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
総額        $598兆     $603兆    $601兆    $707兆
・外為関連  $ 50兆     $ 49兆    $ 58兆    $ 65兆
・金利関連  $433兆     $450兆    $465兆    $553兆
・株式関連  $  6兆     $  6兆    $  6兆    $  7兆
・商品関連  $  4兆     $  3兆    $  3兆    $  3兆
・CDS       $ 42兆     $ 33兆    $ 30兆    $  32兆
・その他複合$ 63兆     $ 63兆    $ 40兆    $  46兆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
http://www.bis.org/statistics/otcder/dt1920a.pdf

(注1)外為関連は、通貨先物や外貨交換、および通貨オプション
金利関連も、金利先物、金利交換、および金利のオプション。株も
同様、資源(上記の商品)も同様。CDSはシングルネーム(保証債
券が1種類)と複合CDS。その他は、CDO(債務担保証券)等。

(注2)上記は、デリバティブがかかった元本資産の世界合計(アン
ケート調査)です。11年6月の、デリバティブがかかった対象金融
資産の$707兆は、邦貨で5京6560兆円に相当します。これは、世界
の金融資産(1京5000兆円)の3.7倍です。

世界の金融資産には、ほぼ4重に、あるいはほぼ4層に、デリバティ
ブという毛布がかかっています。このデリバティブは、2000年代の
10年で10倍に増えています。金融機関はデリバティブの機関になっ
たのです。

2010年12月でのデリバティブがかった原資産は、$601兆(4京
8080兆円)であり、世界の金融資産(マネーストック)の約3倍で
した。これ預金や証券の現物に、3重にデリバティブがかかってい
ることを示します。

10〜100倍のレバレッジがかかるため、現物取引よりはるかに多い
先物取引(対象は通貨先物、金利先物、株価先物、商品先物、CDS
等)も、デリバティブです。

これが、2011年6月には$707兆(5京6560兆円)と、$106兆
(8480兆円)も増えています。保有する金融商品(通貨、証券、
株)に、下落リスクを感じ、ヘッジをした人が半年で8480兆円分、
増えたことを示します。

デリバティブは、保険のような使い方ができます。


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