4140.タイムアップのユーロ危機



デクシア破綻とスロバキアのEFSFの拡充で連立与党の合意形成
に失敗して、とうとうユーロ問題は、国家債務不履行阻止問題から
銀行の健全性問題に拡大している。

ギリシャは、インソルベンシー(支払い不能状態)であり、どこか
でデフォルトが必要であることは間違えない。ギリシャのデフォル
ト阻止から、そろそろ他国への影響排除や銀行への支援に切り替え
る必要が出ている。ギリシャの財政は10月末までしか持たないと
ゼニグロス財務相は言っているので、タイムアップである。もうギ
リシャはデフォルトさせて、次の対策を打つ時期にきている。

17ケ国の承認がないと、何もできないと言うユーロ圏の仕組みは
非常に問題である。今回も16ケ国の承認は取れたのに、スロバキ
アの不承認で、EFSFの拡充が出来なくなってしまう。

それ結果、デクシアのは破綻である。ギリシャの国債デフォルトだ
けでは欧州の銀行は躓かないとストレステストの結果ではなってい
るだ、しかし、このストレステストの結果で、デクシアは問題が無
いとなっていた。しかし破綻となり、このストレステストも問題視
されている。このため、ギリシャ以外に波及すると、これは大変な
ことになるが、時間が迫っているのに、何も対応策が打てていない。

欧州連合(EU)のファンロンパイ大統領は、17日に開催が予定
されていたEU首脳会議を23日に延期する方針を明らかにした。
スロバキアが拒否で次の危機対策での合意に向け、時間的余裕の確
保を狙う。

ファンロンパイ大統領は、ギリシャの状況への対処や、銀行の資本
増強、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)拡充において、新
たな取り組みが必要と語った。

しかし、メルケル首相は投資家が確実視しているギリシャのデフォ
ルトに備える必要性に言及する一方、サルコジ大統領は、フランス
の銀行が最大の損失を被ることになるデフォルトに慎重だ。

両国の主張は、大きく違っている。さあ、どうなりますか?

しかし、そろそろ、世界的な視野で金融危機に対応する準備が必要
になってきた。欧州の銀行は国債での損失が大きく、その信頼性を
大きく落とすことが確実である。

このとき、金融のネットワーク健全化をどう担保するのかを日本の
銀行も考える必要がある。他人事ではないぞ。
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ギリシャをデフォルトさせろ
2011.10.11(火)Financial Times

もうギリシャを自由にしてやる時だ。筆者は何も、ユーロの崖っぷ
ちにしがみついているギリシャ政府の手を踏みつけるよう提案して
いるのではない。だが我々は、最善の結果を期待することが災いを
招く段階まで来ている。欧州には、ギリシャの転落を管理する計画
が必要だ。

 ユーロ圏は2つの問題を抱えている。1つは、ギリシャのインソル
ベンシー(支払い不能状態)とポルトガル、スペイン、イタリアの
脆弱性、そして、それに伴って欧州の銀行にかかるストレスの問題。
もう1つは、中核国以外の国々の恐ろしいほど弱い財政と競争力だ。

 1つ目の問題に対処しても、それだけで2つ目の問題を解決するこ
とにはならないが、必要な出発点だ。

 急を要する決定は、ギリシャのデフォルト(債務不履行)の時期
と条件に関するものだ。政治家にはまだ、秩序ある債務再編と、直
ちにすべての国を巻き込む無秩序な崩壊のどちらかを選ぶ選択肢が
残っている可能性はある。可能性はあるが、確実ではない。

燃えさかる炎が大陸全土に広がる恐れ

 各国政府がギリシャ以外の周縁国の回りにどのように防火壁を築
くか、あるいは、銀行システムをどのように隔離するかについて言
い争えば言い争うほど、制御されないまま炎が大陸全体に広がる可
能性が高くなっていく。

 ギリシャは、現行の融資計画の次回実行分を受け取るだろう。何
しろギリシャ政府は、長く待ち望まれてきた赤字削減の決意を示し
てきたし、税金も徴収し始めている。

 だが、長期的にはどうしても帳尻が合うような数字は作れないし
、先のゼネストからも分かる通り、ギリシャの政治情勢は少しも上
向いていない。

 ユーロ圏には、政策立案者たちが婉曲的に「再編計画」と呼ぶも
のを考え出すまで、数週間(ことによると2〜3カ月)しか猶予がな
い。

 異論を展開する欧州の政策立案者もまだいる。その大半はドイツ
政府内の面々だ。アンゲラ・メルケル首相は、市場に振り回される
気はないと言う。1990年代のベルギーの財政再建を考えみてほしい
、とドイツ政府当局者は付け加える。財政状況を安定させるうえで
アイルランドが見せた見事な進展を見てほしい。一定の時間と政治
的な意志があれば、ギリシャも同じようにできる、というのだ。
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EU首脳会議を23日に延期、合意に向け時間的余裕を確保=大統領
2011年 10月 11日 03:36 JST

 [ブリュッセル 10日 ロイター] 欧州連合(EU)のファ
ンロンパイ大統領は10日、17日に開催が予定されていたEU首
脳会議を23日に延期する方針を明らかにした。危機対策での合意
に向け、時間的余裕の確保を狙う。

 大統領は「この(新たな)日程によって、ユーロ圏ソブリン債危
機をめぐる包括的戦略を取りまとめることが可能となる」と指摘。
ギリシャの状況への対処や、銀行の資本増強、欧州金融安定ファシ
リティー(EFSF)拡充において、新たな取り組みが必要と語っ
た。

 また、EU首脳会議前に、EU財務相やユーログループによる会
合を開くよう要請したことを明らかにした。

 メルケル独首相とサルコジ仏大統領は9日、ユーロ圏の債務危機
解決に向けた新たな対策を10月末までに打ち出す方針を明らかに
した。ただ、対策の詳細は明らかにされておらず、独仏以外のユー
ロ加盟国との調整は今後行われる。

 また、EU首脳会議が先送りされることで、ギリシャ向け次回融
資をめぐる欧州連合(EU)・国際通貨基金(IMF)・欧州中央
銀行(ECB)の3者合同(トロイカ)調査団による審査結果を見
極めることも可能となる。

 ギリシャのベニゼロス財務相はこの日、トロイカ調査団との協議
が終了しつつあることを明らかにした。
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独仏首脳、ギリシャのデフォルトめぐり温度差−クレジット市場

10月7日(ブルームバーグ):ギリシャのデフォルト(債務不履行)
を容認するかどうか、その影響にどう対処するかという問題に答え
を出すことをドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領は
1年余りわたって渋ってきたが、ついにその答えが求められそうだ。
両首脳は先に進めない状況に陥っている。

  欧州当局者は銀行の財務基盤強化に取り組み始め、ギリシャの
債務負担軽減に向けた手段を検討している。ギリシャ債1000万ドル
(7億7000万円)に対する5年間の保証コストは年間10万ドルに加
えて600万ドルが必要で、デフォルト確率が91%に達していることを
示唆している。

  独仏首脳は1年8カ月で8回目となる首脳会談を2日後に控え
ている。メルケル首相は投資家が確実視しているギリシャのデフォ
ルトに備える必要性に言及する一方、サルコジ大統領は、フランス
の銀行が最大の損失を被ることになるデフォルトに慎重だ。

  ドイツの元財務省当局者で現在はイタリアのピサにある聖アン
ナ大学院大学の政治エコノミストであるシュテファン・コリニョン
氏は「ギリシャのデフォルトに関するドイツの主張は全て、欧州で
はなくドイツの主張だ。フランスを含む他国の方針は、あらゆる可
能な手段を用いてそれを回避するというものだ」と指摘する。

  独仏首脳は9日にベルリンで首脳会談を開く。ユーロは対ドル
で9カ月ぶりの安値付近にあり、10年物フランス国債のドイツ国債
に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)は81ベーシスポイント
(bp、1bp=0.01%)と、8月8日に付けたユーロ導入後の最
高水準付近にある。10年物ギリシャ債のスプレッドは2140bpに達
している。
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ユーロ貧国、なぜ負担? 重債務国支援 国民に不満拡大

 公的債務問題をめぐる欧州各国の足並みの乱れが深刻化しつつあ
る。スロバキアなど、最近、ユーロに加盟した小国では、欧州経済
が失速するなか、ユーロ加盟の恩恵はほとんど受けられず、国民の
間には重債務国支援の負担に、いらだちが募っている。危機回避の
枠組みを崩壊させかねない情勢だ。

 「地球上で一番すばらしい相手だと思って結婚したのに、しばら
くたつと彼女はまるで別人になってしまった」

 スロバキアの首都ブラチスラバの旧市街にあるレストラン、サン
・マルテンのオーナーのヤクブ・フランシスキ氏(33)はユーロ
加盟をこうたとえ、「蜜月時代は終わったが、よいときも悪いとき
も彼女と一緒にいなければならない」と話した。

 ユーロ新参国にとってユーロ経済の輝きは薄れてきている。新参
国は比較的債務も少なく、急速に成長しているが、平均給与は今も
ギリシャを下回る。これ以上貧しい国民から金を集めてギリシャを
支援するのは難しい状況だ。

 ◆合意形成に苦戦
 現在、ユーロ圏各国は重債務国の救済基金である欧州金融安定フ
ァシリティー(EFSF)の拡充案を採決しているが、ユーロ導入
から3年もたっていないスロバキアでは、ラディツォバー首相が連
立与党の合意形成に苦戦している。採決は11日の予定だが、4日
の会合では合意に至らなかった。

 今年1月にユーロを導入したエストニアは、旧ソ連からの独立以
降、18年にわたり自国通貨のクルーンを維持してきた。同国は9
月29日の採決で、議員101人中59人の賛成でEFSFの拡充
案を可決した。

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