4053.日本経済の維持には



日本経済は、菅政権が無策で、企業に対して日本脱出を進めている
と思われる政策を推進しているので、失われた30年ではなくて、
衰退に向かっているように見える。
           津田より

0.日本衰退の原因
日本経済が、失われた20年というような低成長の時代が終わり、
マイナス成長に陥ることになりそうである。まず、その原因を列挙
してみよう。

一番大きいのは、人口減少である。特に労働人口の減少は、税収入
を減らしてしまう。1990年から、名目GDPは同じでも、徐々に税
収入が減る傾向にある。しかし、今後は名目GDPも減少してくるので
、税収入も劇的に減ることになる。

次に大きいのが、企業への過重な負担である。非正規社員の禁止や
電力供給の不安定さ、円高放置などと、企業が日本での生産をあき
らめさせるような政策を民主党政権と日銀はとってきた。

このため、企業が海外に出て行くことになる。このことで、雇用が
足りなく、サービス産業などと低付加価値産業への雇用しかなくな
り、数日のアルバイト的な非正規社員を増やすことになる。非正規
社員が増えると、賃金が低いことと、国民年金、国民保険などへの
加入率が下がり、この制度を維持することができなくなる。

企業の海外への脱出では、もう1つ、雇用喪失とともに法人税の税
収減少を起こすことになる。財政問題がより深刻になる。

また、日本の金利が低いので、日本の資産も海外逃避している。
海外からの投資は魅力的な投資先がないので、入りにくい状況であ
る。このため、日本のGDPは下がる可能性が出てきている。この日本
とは逆をして、企業支援を積極的にしている韓国は、韓国企業が世
界で儲けて国を豊かにしている。

官僚は、日本経済の活性化ではなくて、退官した人を送り出す企業
を守るために既存権益を守る方向にあり、新規産業育成のベンチャ
ーでの成功例が少ないことになる。

政治家がそれでは、日本の将来を見ているかというと、政治家も家
業で行っている人が多く、日本の将来を語れる企画力も迫力もない。
これが世の中に迎合する理由でもある。危機感を共有できる信念を
持つ議員がすくない。

自民党政権時代は、国民への減税を行い、その代わりの消費税の増
税ができずに、所得税は1990年から比べて、10兆円も減少してい
る。GDPも増加せずに、財政上の支出が増えて国債発行で繋いだ
ことで、GDP比での国家債務は200%以上にもなる。

米国のように債務上限額を自民党も民主党も決めないために、国債
が無制限に増えていくことになる。それでも円高になり、国民も困
らない。将来に負担を押し付けている。しかし、そろそろ貯金が減
り始めて、国債消化の限界に来ている。

財政赤字で、年金・介護の社会福祉などへの供給の制限が必要であ
るが、団塊の世代は得票率が高く、その層への反発を恐れて、議員
も政党も年金制限をいえない状態になっている。このため、年金・
介護などへの支出が、公共事業を減らしたことで予算の30%まで
になっている。最大支出費目になっている。

この状況はギリシャの少し前と同様な状態であり、もし、国債の金
利が上昇すると、途端に国債のデフォルトにいくことになる。その
ため、IMFなどに支援を要請すると、財政支出を削減させて、一
気に国家経済は縮小することになる。円も一挙に円安にいくので、
海外からの製品や石油が上がり、国民は苦しみを味わうことになる。

安全保障でも、問題が出ている。中国が米国と対抗して、本格的な
空母を持ち、周辺諸国への圧力を増している。これに対して、米国
は衰退の方向にあり、空母攻撃群を減少させる方向になってきた。

このため、中東との海上ルートの安全を担保できなくなる心配が出
てきている。中国の基地がこのルート上に多数できているので、日
中関係が危機的になると、この中東ルートでのタンカー航行ができ
なくなる可能性もある。

また現時点では、マラッカ海峡、ソマリア沖、イエメン沖など海賊
が頻発している。日本の商船が一番多いことで、この商船を守るた
めには、ジプチなど海外基地が必要であるとともに、海賊の集落へ
の攻撃が必要になっているが、この攻撃を憲法で禁止している。

今後、原発を徐々に少なくすると、石油やLNGに移行することに
なるが、その中東へのルートが非常に不安な状態である。エネルギ
ー安保が必要である。

最後に、学校教育では大学全入時代になり、企業の必要とする教育
とは違う教育がされている。大学が、学生や親の要望である自由な
教育をすることで、企業ニーズとは違う教育になっている。

このため、企業も日本の学生を採らずに、海外からの留学生を採る
方向になる。ますます、日本人学生の就職率が下がっていくことに
なる。今後、企業が海外展開を加速するので、日本人学生の語学力
を増強する必要が出てきているが、大学は海外への留学での語学力
増強などの手段をとらないようである。

と日本が衰退する原因をあげると、多数存在する。しかし、それで
は、それをどう防止したらよいのであろうか?

1.解決方法
一番大きいのは、人口減少であるが、この解決方法は、本当は団塊
ジュニアたちに結婚と出産を進めるべきであったが、その機会を逃
がし、今後は移民政策をとるしか方法が無くなっている。しかし、
単純な移民政策を採った欧州では、その移民政策を見直している。
多民族政策が民族対立になり、テロを増やすなど社会の安定を破壊
してしまい、失敗としている。単純労働を移民に任せる政策を欧州
は採ったことが大きな問題なのである。

このため、逆の考え方にする必要がある。選択的な知識人の移民政
策である。しかし、知識階層の移民は多くの国で現実に行っている。
このため、知的能力の争奪戦が起きている。日本も例外ではなく、
医者や看護士、介護士などの需要に比べて供給が不足している。こ
のように日本への選択的な移民政策を積極的に行う必要がある。

知識人とは何かということであるが、高等教育を受けている人たち
で、介護士なども途上国での教育と日本語教育を受けていることが
必要になる。また、日本語がある程度できる人たちとなると、日本
への留学生が一番よいことになる。このため、大学の国際化も必要
になる。

単純労働は、日本人たちが行い、高等な職業を海外からの移民に開
放することが重要なのである。

次が、企業への過重な負担である。この解決は非正規労働を認める
ことであり、電力供給への不安を無くすことであるし、円高を解消
する政策を打つことである。この上に法人税を減税して、世界から
企業を呼び込むことである。今、民主党政権が行っている政策を逆
にすることである。FTAやTPPも同様な処置である。

これだけでは税収が減るので、所得税は増税するべきである。消費
税を10%以上にあげる場合は、欧州では食品や衣類など生活必需
品の消費税を0%にしている。このため、思った以上には増税にな
らない可能性が高い。

消費税より物品税を復活して、消費税に上乗せして、高額商品には
付加税率にして、庶民には影響がない税体系をするべきである。そ
して、消費税は現状5%のそのままにする。こうすれば、国民から
の抵抗は少ないことになる。そして、その範囲を徐々に広げていく
ことである。

また、特別会計の政府事業の効率化をして、そこからの利益を一般
会計に回す仕組みが必要である。パスポート、免許、車検などの多
くの政府事業は黒字であるために、事業努力が見えない。利益を出
さないことになっているためであるが、それを利益を出し、一般会
計に回すことにして、事業努力をしているかどうかを立法府がチェ
ックする仕組みが必要である。

余剰利益を国債の償還などに回して、日本国家の正常な姿に戻して
、その後、料金を引き下げることにすればよいのである。

安全保障問題は、米豪日比越印露などと共同して中国への対応をす
る仕組みを作る必要がある。中国包囲網の形成をしておくことであ
る。その上で海賊対策などを打てる自由度を担保するために憲法の
一部変更をお願いするべきだ。

日本企業が世界に出て行くのは、しょうがないことであり、その企
業を物流で支援する企業が重要である。この物流企業を支援する能
力を今までは米海軍に依存していたが、とうとう、米海軍の力がな
くなり始めている。一番商船を持つ日本が対応する必要が出ている。

大学全入時代になり、企業ニーズに合った教育をするしかない。い
ろいろな能力が必要であり、その能力をつけるために大学があるは
ずが、英語能力もない、論理力、技術力もない学生を大学の多くは
送り出している。このため、多くの学生が就業もできないことにな
っている。しかし、英語力を専門的につけている大学の就業率は
100%であるという。

日本を真剣に復活させるために、大改革が必要な気がするがどうで
あろうか?


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