4013.菅首相辞任はいつか?



菅首相の辞任は確実になり、辞任時期の問題になっている。ここか
らの粘りが菅首相で、自民党時代の首相辞任劇とは大きく違う展開
になっている。伸子夫人が言う「菅は市民ゲリラ」の本領を発揮し
ている。組織との対決になるとやたらに強い。2回続けて連載する
理由は、日本の首相では今までに見たことがないからだ。
          津田より

0.はじめに
組織をコントロールできない菅首相は、敵が多くなり一人になると
強い。次から次へと延命策を生み出して、内閣の官僚たちが繰り出
す早期退陣の要求をかわす算段を取り始めている。その方法は、反
原発で国民を味方につけて、辞任要求をかわすことである。

論語の人生哲学など、東洋的な価値観など、そのかけらも感知しな
い。あくまでも退任を阻止することに全精力を使っている。ハタで
見ていると見苦しいと思うほどであるが、そのような意識はご本人
にはないようだ。最後は有能な項羽と同じように味方がいなくなり
一人で討ち死にすることが確実になっている。しかし、晩節を汚す
という東洋的な発想はない。

まず初めに、来年1月まで延命しようとして、原発の冷温化ができ
るまでとしたが、それでは皆が納得しないことで、「現場の話を聞
くだけでなく、聞いた中身を次の2次補正を含む政府の対策にしっ
かりと盛り込みたい」と8月までの期間としたが、それも菅首相の
言葉はそのときどきで変わるので、どうなるかわからない。

仙谷官房副長官は6日午後、菅首相の退陣時期について、東京電力
福島第1原発事故の賠償枠組みや2011年度第2次補正予算案、
特例公債法案を挙げ、「(与野党で)内々に合意できれば早い方が
いい」と述べたが、自民党は菅首相が止めないと協議にも応じない
とした。

自民党は、また大連立のハードルを上げている。民主党のマニフェ
ストを破棄しないと、連立しないとした。このため、小沢元代表は
7日、党代表選で支持する候補について「過去の言動や振る舞いに
とらわれない」と述べ、マニフェスト見直しの立場の議員も含め支
持する可能性に言及した。

当初、自民党も大連合を仕掛けたが、石原幹事長は「2対1ぐらい
で慎重論が多い。『政策合意無しには無理だ』『急な大連立は国民
に理解を得られない』などが理由」と説明したが、小池総務会長は
9日午前の会見で、民主党との大連立構想について「その話はすで
に終わっていると思う」と語った。

このような状況で、菅首相は「どういう形で震災に国会が一体とな
って協力できる態勢につなげていくか、一定のめどが付くまで責任
を果たさせていただきたい」と述べ、与野党の協力態勢構築に道筋
を付けるまで続投したいと、自民党の大連合無理という動向を見て
、8月より長く任期が出来ると見て、変えている。

そして、首相の最小限の任期としていた復興基本法案が、衆院本会
議で10日、与野党の賛成多数で可決した。これを受けて、仙谷官
房副長官は「首相は早くけじめをつけた方がいい」と明言した。

これに対して、菅首相は11日、11年度2次補正予算案編成への
意欲を強調した。政府は2次補正案を7月に提出する見通しで、退
陣前倒しを求める意見をけん制した。

この民主党の動向を見て、国民新党の亀井代表もあきれて11日、
「(民主党は)政党の体をなしていない。(党所属の各議員の)カ
ルチャーも政策、理念も違う」と切り捨てた。「嫌な相手と一緒に
我慢していることはない。政策が違ったら別れたらいい。自民党も
統治能力がなくなっているし、(政界再編の)いいチャンスだ」と
政界再編が進む可能性に言及した。

また、民主党の混乱を利用するために、自民党は22日までの国会
会期について、7月上旬までの小幅延長を容認する方針を固めた。
がれき処理の議員立法などを近く国会に出し、審議時間を確保する
必要があると判断したが、その実は、国会で菅首相への審議の場を
残して、辞任まで国会で追及することを考えている。

とうとう、民主党の岡田幹事長は、統一地方選総括のための両院議
員総会を13日の週にも開く考えを明らかにした。中山経産省政務
次官から提出があった署名に基づく総会であり、ここで代表解任決
議案が出る可能性もある。しかし、代表を解任しても首相を解任は
できない。民主党としては、全閣僚の辞任になる可能性もあるが、
その時、菅首相は総選挙に打って出る可能性も否定できない。

そして、この混乱を利用して、福島第一原発の事故調査・検証委員
会(事故調)について、経済産業省の影響下に置く構想を提示した
が、菅首相は同省が「骨抜き」を画策したとみて拒否した。また、
この余勢を買って、自然エネルギーへの理解がある有名人と12日
に対談を開くなど、辞任寸前の首相とは思えない行動に出ている。

どちらにしても、党利党略と官僚利益などが前面に出て政治が混沌
として、震災復興を人質にして、全員が政治をしているのために、
どうも政治の空転が長引くようである。

1.立法府のチェック機能不足
このように政治が混乱する原因が、衆議院と参議院の権限で予算以
外が同じ権限を持つために、衆議院と参議院で多数党がちがうと、
審議拒否などで法案が可決できなくなる。このため、重要な法案の
審議を人質にして、政治の混乱が起きる事になる。このねじれを日
本は10年以上続けているために、必要な改革が頓挫しているのだ。

もう1つが、行政府と立法府のチェックがいびつで、立法府の行政
府に対するチェック機能がほとんどない。このため、官僚が跋扈し
て、かつ官僚に都合が悪い情報を隠蔽するどころか、重大事故でも
国民の健康などを犠牲にしても隠蔽する。福島第一原発の事故調査
・検証委員会(事故調)も行政府ではなく、立法府に置くことを野
党や民自連は主張したが、菅首相は自分の責任を追及されるとして、
行政府の内閣府に置いたのである。

もう1つが、官僚機構の構造は明治から変わっていない。この組織
の劣化が大きくなり、日本の柔軟性を奪っているように感じる。特
に学問的、専門的な分野での統治能力を失っているように感じる。
保安院も当初、技術系中村審議官であったが、早い時期からメルト
ダウンの可能性に言及していた。しかし、菅首相と経産省は即、中
村審議官を首にした。水産省は、当初、放射性物質が含まれる汚染
水を大量に海に流しても、影響はないとした。これもIAEAから
批判されている。常識的なことも分からない専門家が安全というこ
とがおかしい。

福島の中通りでも、文科省は小学生の許容限界を20mSVとして、原発
労働者以上の許容範囲にしている。将来、子供たちにガンなどの病
気がでないかと心配である。

このように官僚機構は、既得権益を守ろうとするために、必要な改
革ができないことになっている。

行政府をチェックできないので、民主党は行政府で行政府をチェッ
クしようとして、蓮邦行政刷新大臣で特別会計を仕分けしたが、ほ
とんど成果がなかった。それはそうだ。財務省が事務局を勤めてい
るので、官僚に都合が悪い予算カットの情報を積極的には出さない。
このため、仕分けで削減できたのが1兆円もない。これはまやかし
である。

どうして、立法府で行政府をチェックしないのか不思議であったが
、国会議員との打合せで分ったことは、立法府は予算を持っていな
いことである。このため、有効なチェックできないのである。

これでは官僚が跋扈するのは頷ける。議員への調査経費も少なく、
かつ衆参議院の各委員会でも調査費が少ない。このため、情報を持
つのは官僚機構になり、都合の悪い情報を出さないことになる。議
員定数を減らしても、議員に調査費を増額するべきである。

この仕組みを直さないと、今後も今回の事故と同じような状態の時
に、必要な情報は出てこないことになる。チェック&バランスを組
織間で均等にしておかないと、組織は腐ってくることになる。

2.日本の改革
民主党は、自民党からの政権交代が目的になり、それ以上の日本を
改革する案を持っていなかった。このため、民自連など次の日本を
作り変える目的の議員たちが党派化してほしいと思っている。

日本の改革は、そんなに難しくない。今まで、このコラムではいろ
いろな議論をしてきたが、それを確実に行うことである。新しい江
戸の仕組み+米国流チェックを持つ立法府を着実に作っていくこと
で、1つ1つ実現していくことである。

さあ、どうなりますか??
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早期退陣への包囲網狭まる 首相、なお2次補正へ意欲
 菅首相は11日、11年度2次補正予算案編成への意欲を強調し
た。政府は2次補正案を7月に提出する見通しで、退陣前倒しを求
める意見をけん制する発言とみられる。しかし、仙谷官房副長官は
テレビ番組で「首相は早くけじめをつけた方がいい」と明言。与野
党の早期退陣論が官邸にも広がった形で、首相の包囲網は徐々に狭
まっている。
2011/06/11 19:36 【共同通信
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自民、小幅の会期延長容認 がれき処理の議員立法提出へ
2011年6月11日9時33分

 自民党は今月22日までの国会会期について、7月上旬までの小
幅延長を容認する方針を固めた。がれき処理の議員立法などを近く
国会に出し、審議時間を確保する必要があると判断した。法案審議
を通じて復旧・復興対策への積極姿勢をアピールする一方、国会論
戦で菅政権を批判し続ける狙いがある。 

 自民党の国会対策委員会は10日、がれき処理の費用を全額国で
負担することなどを明記した「がれき処理特別措置法」を来週国会
に提出する方針を確認。原発事故の被害者へ国が賠償を仮払いでき
るようにする議員立法を近く公明党と共同提案する方向で検討中だ。
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政党の体をなしていない…亀井氏が民主批判

 国民新党の亀井代表は11日のテレビ東京の番組で、民主党内で
「菅降ろし」などの動きが強まっていることに関して、「(民主党
は)政党の体をなしていない。(党所属の各議員の)カルチャーも
政策、理念も違う」と切り捨てた。

 そのうえで、「嫌な相手と一緒に我慢していることはない。政策
が違ったら(民主党を飛び出して)別れたらいい。自民党も統治能
力がなくなっているし、(政界再編の)いいチャンスだ」と述べ、
政界再編が進む可能性に言及した。
(2011年6月11日20時11分 読売新聞)
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現場の話を2次補正に…首相、早期退陣論けん制

 菅首相は11日、岩手県釜石市で開かれた東日本大震災に関する
意見交換会に出席し、7月中の提出を目指している2011年度第
2次補正予算案について、「現場の話を聞くだけでなく、聞いた中
身を次の2次補正を含む政府の対策にしっかりと盛り込みたい」と
述べ、補正予算案の編成と自らの続投に改めて意欲を示した。
(2011年6月11日21時37分 読売新聞)
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東日本大震災:復興基本法案、衆院を通過
 衆院本会議は10日、民主、自民、公明3党が修正した東日本大
震災の復興基本法案を与野党の賛成多数で可決した。共産党とみん
なの党は反対した。参院で13日に審議入りし、17日にも成立す
る見通し。自民党は「菅内閣への協力は法案成立まで」としており
、22日に会期末を迎える国会は、特例公債法案の成否とも絡み、
菅直人首相の進退が最大の焦点になる。【念佛明奈】

毎日新聞 2011年6月11日 東京朝刊
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「派閥政治と決別」あっさり削除 自民改革案、骨抜き
2011年6月10日21時56分

 党のイメージ刷新を検討する自民党改革委員会(塩崎恭久委員長
)は10日、中間提言をまとめた。「古い自民党」から脱却しよう
と素案で首相経験者の公認禁止や派閥政治との決別を明記したが、
派閥幹部や首相経験者の反発に加え、石原伸晃幹事長も認めず、こ
れらの項目は削除された。 
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原発事故調「骨抜き」の動き 経産省画策、首相が拒否
2011年6月11日3時0分

 東京電力福島第一原発の事故調査・検証委員会(事故調)につい
て、政府の国家戦略室が経済産業省の影響下に置く構想を菅直人首
相に提示していたことがわかった。首相の辞任表明後に提示したも
ので、首相は原発を推進してきた同省が事故調の「骨抜き」を画策
したとみて拒否した。
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与野党の協力構築まで続投=「最後の最後まで責任全う」−首相

 菅直人首相は10日午後の参院予算委員会で、自らの進退につい
て「どういう形で震災に国会が一体となって協力できる態勢につな
げていくか、一定のめどが付くまで責任を果たさせていただきたい
」と述べ、東日本大震災の対応をめぐり、与野党の協力態勢構築に
道筋を付けるまで続投したいとの意向を示した。たちあがれ日本の
片山虎之助氏への答弁。(2011/06/10-17:16)
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自民・小池総務会長「大連立の話は終わった」
2011年6月9日13時8分

 自民党の小池百合子総務会長は9日午前の会見で、民主党との大
連立構想について「その話はすでに終わっていると思う」と語った。
同党執行部が大連立の可能性を否定するのは初めてだ。
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8月までの続投示唆=「がれき処理に責任」−菅首相
 菅直人首相は9日午前の衆院復興特別委員会で、自らの進退につ
いて「仮設住宅に入った人が生活できるようにすること、がれきの
処理、原発(事故)の収束について一定のめどが付くまでは責任を
持って仕事をさせてもらいたい」と述べ、8月に目標を置くがれき
処理などに道筋を付けるまで政権運営を担う考えを示唆した。自民
党の谷公一氏への答弁。
 与野党では、6月中の首相退陣が避けられないとの見方が強まっ
ているが、首相の発言はこれを強くけん制したものだ。
(2011/06/09-12:34)
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来週にも両院議員総会=民主
 民主党の岡田克也幹事長は9日午後の代議士会で、統一地方選総
括のための両院議員総会を来週にも開く考えを明らかにした。菅直
人首相の退陣表明を受けて、退陣時期を明確にするよう求める声が
出るとみられる。 (2011/06/09-13:17)
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民主執行部、会期延長見送りで調整=輿石氏「考え直す必要」
−月内退陣へ圧力
 民主党執行部は8日、22日に会期末を迎える今国会の延長を見
送る方向で調整に入った。菅直人首相の即時退陣を求める野党側が
、2011年度予算執行の裏付けとなる特例公債法案など重要法案
の審議を拒否していることから、いったん国会を閉じ、打開策を模
索するのが望ましいとの判断に傾いた。国会閉会となれば、首相が
意欲を示す11年度第2次補正予算案の7月提出も不可能で、執行
部として、月内退陣を事実上迫るものでもある。首相の孤立化は一
層鮮明となった。。(2011/06/08-19:24)
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小沢氏、「脱小沢」の候補支援も示唆「過去は不問」
2011年6月8日3時0分

 民主党の小沢一郎元代表は7日、自らに近い国会議員十数人と国
会内で会合を開き、菅直人首相の辞任に伴う党代表選で支持する候
補について「過去の言動や振る舞いにとらわれない」と述べ、自身
に批判的な立場の議員も含め支持する可能性に言及した。
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大連立「2対1で慎重論多い」 自民役員会で協議
2011年6月7日12時53分

 自民党は7日の役員会で民主党との大連立について協議した。石
原伸晃幹事長は記者会見で「2対1ぐらいで慎重論が多い。『政策
合意無しには無理だ』『急な大連立は国民に理解を得られない』な
どが理由」と説明し、慎重論が多かったことを明らかにした。 
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与野党合意なら首相退陣=東電賠償、2次補正、公債法案−仙谷氏
 仙谷由人官房副長官は6日午後、BS11の番組収録で、菅直人
首相の退陣時期について、東京電力福島第1原発事故の賠償枠組み
や2011年度第2次補正予算案、特例公債法案を挙げ、「(与野
党で)内々に合意できれば早い方がいい」と述べた。
(2011/06/06-18:32)

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