3984.原発の役割を再検討



福島第一原発事故で、原発の役割を見直すというが、今後新しい原
発が出来ないことを前提に、商社もメーカも動きは始めている。

ということは、40年後には原発がなくなることを前提にしたエネ
ルギー計画を作ることになる。再生可能なエネルギーへの変更を旗
印にどう変更していくのかの工程表が必要なのである。

この工程表を作るのに、スマートグリッドの実用化スケジュールが
大きな意味を持つ。このスマートグリッドができると、分散型配電
システムを自由化して開放し、そのエンドユーザに近い所で太陽光
と風力とガス燃料電池などが意味を持ち、トヨタのPHVや日産の
EVが組み込まれていく。

それまでは中小水力、地熱やLNG火力が中心で原発を置き換える
ことになる。

長期的な計画が必要なのであるが、どうも短期的な話にツイッター
上では行ってしまう傾向がある。このスケジュール感を国民的に共
有しないと原発後の話をまとめることが難しいように感じる。

LNGは、現時点シェールガスが米国を中心に開発されてきて、石
油に比べても非常に安いことになっている。1バレル当り24ドル
と石油1バレル100ドルの4分の1の価格になっているので、現
時点は、非常に良いが、いつか無くなることになる。有限資源であ
ることを自覚する必要がある。今年、米国が生産高でロシアを抜い
て1位になるという。

石油はピークオイルで、今後産出量が少なくなるために、この代替
を考えることが重要であるが、そのエネルギー部分はLNGであろ
う。石油が無くなるので、LNGをガソリンの代替として自動車を
動かすかと言うと、どうもEVやPHVなどの自動車が優位である
ようだ。

米国・カナダのシェールガス開発に参加するのは良いが、ロシア・
シベリアや中国のLNGを使うとどうなるか、また、中国の軍事力
から中東の石油・LNGがいつまで手に入るかなども勘案すること
にエネルギー安全保証政策とする必要がある。

ウランの最大産地がオーストラリアであったことで、原子力は海外
的な安定感を得てきたが、LNGの将来的な安定感がイマイチであ
るために、再生可能エネルギーを最適配置する必要があるのだ。

再生可能エネルギーでは、ERPが高い物順で
1.中小水力  2.地熱  3.バイオマス  4.風力
5.太陽熱  6.太陽光  である。

このため、値段が高い物は、安定的な電力供給者には向かない。し
かしエンドユーザには意味を持つ。このため、分散配置での太陽光
、風力は意味がある。

もう1つ、バイオマスのうち、ススキからのエタノールや藻からの
石油という手がある。これも10年程度の時間がかかるが、40年
と言う時間を持った工程表を作ると、意味が出てくることになる。

日本近海にあるメタンハイドレードは有限資源であり、つなぎとし
て燃料電池に使うことは出来るが、PC電源などしかできないはず。
海底から引き上げるのにコストがかかり、かつオクタン価があまり
よくないことによるし、薄く広く分布しているようなので疑問が出
ている。CO2をメタンに変える微生物があるようなので、その微
生物で人工的に作ることを研究する必要がありそうである。

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原発の役割、原子力委が再検討 今後20〜30年
2011年5月10日16時7分

 原子力政策の基本方針を決める内閣府の原子力委員会(近藤駿介
委員長)は10日、リスク(危険度)やコストなどをふまえ、今後
20〜30年の原発の役割について再検討することを決めた。 

 東京電力福島第一原発の事故に関する当面の対応について「原子
力発電をとりまく社会環境は大きく変化した」とし、事故の検証結
果を待たずに重要課題の整理を始めるという。 

 近藤委員長は10日の定例会で「総理にもお会いして、このこと
の重要性を申し上げた」と話した。今後、有識者から意見を聴きな
がら検討する。 

 原子力委員会が2005年にまとめた原子力政策の基本になる「
原子力政策大綱」は、昨年から改定作業を進めていたが、事故を受
けて4月に中断していた。 

 大綱では、使用済み核燃料をリサイクルして使う「核燃料サイク
ル」の方針を明記。国内の原子力発電の比率を2030年以降は
30〜40%かそれ以上を目指すことなども盛り込んでいる。また
、燃やした燃料以上にプルトニウムを燃料として増やす高速増殖炉
を「2050年ごろ」実用化するとしている。(小堀龍之)

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