ドイツのメルケル首相の多文化主義は完全な失敗という演説で、と うとうEUのフランス・ドイツ・イタリアなど主要国で移民政策の 見直し、移民の追い出しに拍車がかかることが明確になっている。 ドイツはトルコからの移民を受け入れていたが、それを中止するこ とになる。特に、EUにトルコを加盟させることは、このドイツの 移民政策の見直しで絶対にないことである。 今までも、イスラム教の女性が被る頭巾であるブルカの公的建物で の着用禁止、イスラム教の建築物の規制などをフランスが法律化し ていたが、同じEUの民族であるロマ人の排斥に出ている。 一番肝要なドイツでも移民政策の失敗としたことで、EU主要国は EU内民族移動も禁止することになり、EUが1つという理念が持 てなくなることになる。 各国でナショナリズムを全面に出した右翼が、力を持ち始めている 。中間階級の没落で、自国民優先主義に向かうことになる。移民政 策はなくなる。これは米国の同様である。 日本は移民を認めなかったために、移民がいない。少子化社会で人 口が減少しても頑なに守っている。これが結果的に良かったようで ある。 次に来るのが各国が雇用を守るために保護貿易になり、新興国から の商品を排除することになる。排除の仕方は通貨切り上げ要求か相 殺関税という方法である。何でもFTAの時代は終了し、補完関係 にあるFTAの時代になった感じである。 1930年代の政策が参考になる時代が来た。政治家も経済評論家 も、時代背景を見て仕事をしてほしいものである。 ============================== 「多文化社会は失敗だ」 メルケル独首相、内向き志向強める 2010/10/18 01:26更新サンケイ 「ドイツの多文化主義は完全な失敗だった」。アンゲラ・メルケ ル独首相(56)は16日、支持者らへの講演でこう断言した。ド イツは第二次大戦後、戦争を起こし、ユダヤ人を大量虐殺したとい う贖罪(しょくざい)意識と、奇跡的経済復興を遂げた旧西ドイツ の労働力不足を背景に、積極的に移民を受け入れ、現在では人口 8200万人のうち約10%をトルコや東欧からの移民が占めてい る。ドイツ人と他宗教・異民族の移民とが支え合って共生すること をいわば「国是」としてきたが、首相の発言はこれを否定するもの だ。欧州は今後、内向きで狭い国益ばかりを追求する「新たなドイ ツ」問題を抱えることになるのか。 メルケル首相の講演は、ベルリン南西郊外のポツダムで開催され た、自身が党首を務める保守政党「キリスト教民主同盟(CDU) 」の青年部会で行われた。ロイター通信などによると、若い党員や 支持者を前にメルケル首相は「ドイツに多文化社会を建設するとい う試みは完全な失敗だった。そして、この30−40年の失敗は、 すぐには穴埋めできない」と訴え、その上で「移民はドイツ語を学 び、ドイツ社会に融合しなければならない。すぐにドイツ語を話さ ない人は、誰一人歓迎されない。ドイツ社会で生きてゆくなら、法 に従うだけでなく、私たちの言語を習得しなければならない」と言 い切った。 一連の発言は、15日にCDUの姉妹政党である「キリスト教社 会同盟(CSU)」の党首、ホルスト・ゼーホーファー氏(61) =独南部のバイエルン州首相=が地元で「多文化主義は完全に死ん だ」などと演説し、大喝采を受けたことを意識したものだった。 しかし、メルケル首相の発言は、異文化(多文化)を許容せず、 ドイツ社会で生活するなら、これに同化することを強要したに等し い。今後、具体的に移民のハードルが高くなれば、不法移民の排斥 に始まり、ドイツを追われる正規の移民が出てくることも予想され る。 欧州各国では現在、失業率が高止まりし、国民の間には移民が職 を奪っているという意識が芽生え、移民排斥を唱える極右政党が躍 進する下地が形成されている。ドイツでも、最近のユーロ安に伴う 輸出の伸びを背景に改善されつつあるが、まだ失業率は7%台と高 い。 国民の歓心を買うため、政権を担うメルケル首相は、徐々に内向 きとなり、欧州や国際社会に対する責務をひとえに縮小させる道を 進んでいる。ギリシャの債務危機救済策をまとめる過程では、あく まで欧州連合(EU)域内での解決を主張するニコラ・サルコジ仏 大統領(55)を説き伏せ、国際通貨基金(IMF)にも関与させ る道を強要した。ドイツの負担を少しでも減らすことが狙いだった。 サッカー好きで知られるメルケル首相は講演で、「イスラムはド イツの一部であることは明らかだ。サッカー選手のメスト・エジル のことだけではない」と、トルコ生まれのドイツ・ナショナルチー ムの若きエースを引き合いに出し、融合と異文化否定は異なること を強調した。しかし、一度「寛容の精神」を失えば、事は言語だけ の問題にとどまらないであろうことは、ドイツの歴史が語っている。 ============================== ロマ追放で大規模デモ 移民排斥政策に批判 2010/09/05毎日 フランス全土で4日、国内を放浪するロマ族の国外追放や、移民出 身の犯罪者の「国籍はく奪」などを打ち出したサルコジ政権に対す る大規模な抗議デモが行われた。欧州各地の仏大使館前でも同日、 同様の抗議行動があり、「移民・外国人排斥」施策への国内外の批 判の高まりを改めて示した形となった。 抗議デモはロマを支援する人権団体や労組が組織し、フランスで は、内務省によると7万7300人(主催者発表10万人)が参加 した。うち5万人に上ったパリでは、サルコジ政権による不法キャ ンプ撤去で行き場を失ったロマも参加。「ロマ追放反対」「フラン スは非人道的な政策を続けている」などの横断幕を掲げた。 ============================== EUを揺るがす仏「ロマ人排斥」 問い直される共同体の「人権理念」 選択 今年夏以降、フランス政府がキャンプ生活するロマ人一千人以上 を集中的に摘発し、国外に退去させた波紋が、欧州連合(EU)全 体に広がっている。欧州最大の少数民族とされるロマ人は長年、差 別され、居場所を追われてきた。フランスの措置は、加盟国国民に 域内の自由な移動を保障するEU法に違反する疑いがあるが、イタ リアなど同調する国もあり、他の加盟国も様子眺めの様相が強い。