3706.権利主張



権利主張
From: Eiichi Morino


地域通貨も長年関わってきますといろんな経験をします。

講演などで、一つのお話先の事情にあったアイデアを語り
ますと、それ他所で話さないでくださいといわれたことも
ありました。なんでですかと聞きますと、ビジネス特許をとり
たいと(笑)。だってそれ私が言ったことでしょ、それに
その方式は私が考えたものではなくて、すべて参照した
先があります。私になにか手柄があるとすれば、あたながた
の興味を引くような形でご紹介できたことぐらいでしょうと
いいました。

それでも強く懇請されたところもあり、じゃあそうなされば
いいのではとお答えしたところもあります。そうしたところとは
より詳しいお話やお付き合いは自然としなくなるものです。
そうして失敗なさっているようです。

地域通貨のLetsももとを辿れば、提案者もご存じないでしょうが
フランスの19世紀の貿易商、マドールの提案に至るでしょう。
いやそれは欧米人の場合のことで、世界の各地をみれば種々あげ
うるということもできるでしょう。

特定の社会団体やNPOなどが紙券をマネーとして発行し決済手段
として使う方式が最初に明確に提案されたのはプルードンの『永続
博覧会計画』と言えるでしょう。

個々の事例をあげればきりがありませんが、すべて、これらの
関係者はなにかの権利の主張をしているわけではないでしょう。
Letsの提唱者にしても、その呼称の独創性に係る名誉を受けて
いるだけでしょう。

WATシステムを始めたころ、さる事業者団体さんが評価してくださって
ご挨拶にきました。「で、いくらお支払いしたらよいのでしょう」
というので、完全にフリーです。ご自由にお使いくださいと申し
上げました。
なぜなら私の着想に係る部分など全体の1%くらいのものだからです。
1%でも社会に貢献できたと思えるとしたらありがたいことです。

最近ネットワーク開拓性と信用累積性をもったdraft in real 
termsの一種をある業界で始めましたが、これもはやいところ
公知化しなければと思っています。公知化したところでも、
どこからか権利主張をして排他性によってなにかを得ようとなさる
抜け目のない方もいるかもしれないご時世ですから。
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中国の不動産バブルの崩壊が、本格化  内藤
From: Eiichi Morino


内藤さんへの返信
> 森野先生、協同組合を作って、誠実に管理し、
> 信用を高めて行く、以外に、ないでしょうか。

まず、すでにあるクーポンの受容のされ方をよく
調べてみてくださるとよいと思います。

有効期限付きクーポン(消滅型)
使用日指定クーポン
日付型減価クーポン
などなど

いろいろ工夫がみられますが、
これらはすべて割引券型です。

これを複数事業者で共同運営する場合
割引金額の各事業者間による清算が
必要になります。

そうした事業組合を作る必要もあるでしょう。

またクーポンの入手に一定の金額を要求する
場合は、複数事業者による事業組合が不可欠
でしょうね。

戦前ドイツにおける「ヴェーラ」は小売事業者
の爆発的な参加をみました。

使うサイドと事業者のサイドでの信頼を作って
いくプロセスにノウハウがあるんでしょうね。

少数の事業者の集まりから始めて、拡大していく
展望をどう切り開くかでしょうね。既存の事業者
団体で手がけるか、新規に団体を作るか、事情に
よるでしょうね。

事業者のネットワークをコアとして、そこに利用者
としての消費者が自在に関わりをもつ事業となります。
消費者参加に会員制を採るか採らないかで展開性が
違ってきます。

ふるくから実践例としては、19世紀中葉
フランスでの地域通貨事始めともいうべきマゼルの
交換の一般協会がありますが、たしかこの場合は
会員制を採らず(ずいぶん前に調べたので忘れた(笑))、
フランスを超えて拡大しました。

とにかくまず、千葉のピーナッツのように
意図されている取り組みに名前を付けることから
始めてください。「はっちー」とかいろいろ
あるとおもいます。はっちーが既存のノウハウを
こう活用してございますというのや、クーポン
のデザインやキャラははっちーオリジナルとなる
でしょう。

プレミアム商品券は行政がプレミアム分を負担して
実施しましたが、必ずしも全国でうまくいったところ
ばかりではありません。地域や事業者さんによっては
二度と手がけたくないという反応のところもありまし
たよ。

地方や都市部近郊でそういう事実もあったことを
調べておく必要はありますね。なぜそうなったのかの
理由も含めて。

> 内藤 晃一(ナイトウ コウイチ)が、口を酸っぱくして、説明している事は、
> 著作権に、なりませんか?

貴兄が書かれた表現は貴兄の著作権でしょうね。
私があごがはずれるほどしゃべっていることは
ならないんでしょうね。

著作物で、そう表現したものは著作権になるのでしょうが、
同じことを別の表現ですることを妨げることはできない
でしょうね。

貴兄が本年後半の中国経済の見通しで多くの方に遅れて
同じことをおっしゃっていますが、その表現は貴兄の
著作でしょうが、その中身をご自身の所有物、権利物
にはできないでしょうね。

このMLでもずいぶんいろいろ多くの方々によって
情報が提供されてきましたが、それを無断で
ご著作になさっている方も知っていますが、
その人の表現に変えてあれば仕方ないでしょうね(
単純なコピペの方もいらっしゃいましたが(笑))。

後はご本人の考え方でしょうね。通常は先行者に対する
敬意というものを表現するものですが。多く剽窃者はそ
ういうことをしないようです。私の場合は必ず誰を参照
したかを記載するようにしています。

自己の権利要求は他者の権利の尊重が前提だと私は
考えています。

商標でもおとりになるのですか。そのためには
まだ一般的な表現にすぎると思われます。

> 森野先生は、『定額で目減りする金券・通貨』の、乱立・暴走を防ぐ為には、
> どう対処するのが良いと、お考えですか。
> 各スーパーが、発行するのを、抑えぎみにする、方法は、ありますか?
> 売り上げの、1%とか、法規制を掛けるのが、有効でしょうか。
> 兎に角、出し過ぎれば、瓦解すると思います。

金券、商品券型でする場合は事前に証券の販売行為があって
通貨が販売団体に入りますし、団体構成事業者への販売枚数
割り当てが行われるはずです。
販売額に対してプレミアムを乗せた部分の減価額、未使用
商品券がいかようであれ、事業者に戻った券をプレミアム分
を除いた金額で団体が円貨と引き替えることになるんでしょうね。
販売実績に応じて業者向け販売枠を決めるルールを作るなど
やり方はいろいろありますが、当事者が相談し、懸念すべき
事項をつぶしていって、間違いのないシンプルな制度設計で
出発すべきと思います。

事情を知らない消費者にわずかな時間であ〜、いいわねと
納得してもらえるところまでシンプルにする必要があるでしょうね。

事業組合のほうは、販売して商品を引き渡す期日までに、証券の転売
不可のフォワーディングとは違うわけですから、証券自体が
転売される可能性や質入れの可能性もありますので、発行総額につい
てはよく相談されたほうがよいでしょうね。
とはいっても「換金不可」を唄っておけば、時点はいつであれ
販売に結びつくわけですから、途中の冗長化した経路で証券がどう
扱われようが、神経質になる必要はないかもしれ
ません。

このへんは一般の共通商品券商法とかわらんですね。

むしろ、共通商品券商法が各地で苦戦している事情はお調べ
になったほうがいいでしょうね。

各事業者に自由な発券を認める方式は別の枠組みになりますね。

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税金を納めるって、実は幸せなことだよね
From: "青木秀和


今日配信の日経ビジネスオンラインからの引用です

----ここから

人は、金のために働く。われわれは報酬があるからこそいやな仕事に耐えている。給料
が出なかったら誰も働かない。当然じゃないか。と、多くの人々は、労働をひとつの苦
行としてとらえている。また、苦行であるからこそそれに耐えた報酬として、金銭が支
払われるのだ、と。
 その考え方からすると、働いていない人間は「楽をしている」ことになる。
 で、その「働いていない=楽をしている」人間を、「働いている=苦しんで戦ってい
る」人間が養うのが社会保障という呪われた制度であり、その財源が税であるのだとす
ると、税金は、一種の重荷ということになる。

 だから、彼らは累進課税を呪う。
 税金を一種の罰則(←たとえば経済的不道徳を罰するための奢侈税や、貿易不均衡を
是正するための関税、悪徳をただすための酒税などなど)として理解している彼らのも
のの見方からすると、所得への課税は、勤労意欲を削ぐ悪法ということになる。まして
、累進課税においておや、である。
「労働を罰するのか?」
「稼ぐのは悪だと?」
「卵を産むニワトリから先に料理するのか?」
 と、だから、昨今、所得増税は、非常に言い出しにくい単語になってきている。

 ん? ということはつまり、税に関する議論において、「怠け者を甘やかしてはいけ
ない」という主張を展開している人々は、実は、怠け者なのではないだろうか。
 さよう。彼らは労働を苦行と見なし、怠惰を「楽」と見なしている意味で、考え方と
しては怠け者に近い。
 なるほど。
 他人の怠惰を許せないのは怠け者の特徴。
 そういうことなのかもしれない。
 累進課税に異を唱え、社会保障の廃止を訴える人々が、低所得層の中にむしろ多いと
言われている裏にも、おそらくよく似た事情があるはずだ。
 貧者なればこそ貧困を軽蔑するといったような、いやになるような逆説が。

 私自身は、時に怠けることはあるものの、根は勤勉な男だ。いや本当に。花が咲かな
いだけで。
 だから、義務や稼ぎの問題とは別に、労働をひとつの祝福であるとする考え方には一
定の魅力を感じる。心底からそう思うかどうかは別にして。
 幸運な人間が職に就き、幸福な人間が働き、満ち足りた市民が納税を担っている。と
すれば、われわれ納税者こそが最も祝福された近代市民ということになる。素晴らしい
ではないか。

 仮に、何らかの理由(病気、怪我、能力or意欲の欠如、根性の歪曲、運不運)で働い
ていない人間を、働いている人間が養っているのだとしても、それは少しも不当な成り
行きではない。当然だ。誰かが文句を言うべき筋合いの話ではない。

 とはいえ、怠けている人々に対して、やさしくふるまうことは簡単なミッションでは
ない。

-----ここまで

全文の欲しい方は、DMをください。

なお蛇足ですが、累進税制というは正確には「超過累進制」のことです。

これは同一の所得階層にある所得は平等に扱うという趣旨であり、累進税率
が適用されるのは、上位の所得階層における「増分」に対してのみとなります。

現行税制では、例えば課税所得が2000万円の人は、最高税率40%が適用され
ることになりますが、納税額が課税所得の40%、800万円になるわけではありません。

この場合の税額計算は、次のとおりになります。
〜 195万円までの部分            195万円×5%=   97,500円
〜 330万円までの部分 (330- 195=)135万円×10%=  135,000円 
〜 695万円までの部分 (695- 330=)365万円×20%=  730,000円
〜 900万円までの部分 (900- 695=)205万円×23%=  471,500円
〜1800万円までの部分(1800- 900=)900万円×33%=2,970,000円
〜2000万円までの部分(2000-1800=)200万円×40%=  800,000円
                    合計  5,204,000円

要するに、最高税率40%が適用される所得額は1800万円超える
200万円に対してのみであり、課税所得2000万円の人の実質税負担は、
26%程度ということになります。

所得が増えれば、確実に手取りも増えるわけで、これでどうして
勤労意欲が削がれるのか、私にはまったくわかりません。

30代後半〜40代前半の大学准教授クラスは、大学から貰っている
お給料だけなら、おそらく600万円内外でしょう。

経済学系の若手で威勢の良い方が、累進税制を批判的に言われる
ことをちょくちょく聞きますが、アルバイト所得がよほどお有り
なるということなんででしょうか。
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From: Eiichi Morino
                
青木さんへの返信:

いつごろからか、貧者にしても富者にしてもずいぶん日本人は
ヤクザになって、貧富は巡るということを捉える感性をなくして
しまいましたね。税は富者による推譲の一種。所得を得たことに
よる感謝が昔はキホンにあった。もちろんそれを腐す意見の持ち主
も多かったが、いざ飢饉となれば、藩の備蓄倉庫のコメのかゆを
万人が支給された。この穀物倉が整備されていないところほど、
悲惨であったそうな。

尊徳、未定稿の断片にかくあるという。

財ナケレドモ富テ而シテ後財アレバ富
財有レドモ貧シテ而シテ後財無ケレバ貧

・・・
無ナケレドモ富ム者ハ勤行ヲ施ス 是-故ニ財アリテ富ム
財有レドモ貧シキ者ハ勤行ヲ失ス、是-故ニ財無ク貧シ、
(以下欠文)

貧シカラ不シテ財有ル者ハ、貧ク無ケレドモ財無シ
富マ不シテ財無キ者ハ、富ミ無ケレドモ財有リ
財有テ貧カラ不ル者ハ、財無ケレドモ貧キ無シ
財無シテ富マ不ル者ハ、財アレドモ富ミ無シ

貧富は巡る逆説のカギは勤労にあるという
わけだけれど、勤労階級はそう考えるのが
まっとうかな。

税金払っていたらリッチになれませんよと
中小企業の経営者からずいぶん聞かされたが、
いま振り返ると、そういうところはほとんど
潰れているなあ。まあ当人は会社を潰して
リッチになっているかもしらんが。

税金を払えるようになるためにがんばるといった
事業者は今も続いているなあ。

しかしそうした風尚は死に絶えてきていますね。

日本の国は長くないですね。

どこか逃げる先を探しておかんとなりませんか。

それこそネオリベの方々のように。
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Income Inequality: A Deeper Look << Modeled Behavior
From: Eiichi Morino


米国の所得格差を示すいいデータだなあ

http://modeledbehavior.com/2010/07/22/income-inequality-a-deeper-look/




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