3699.欧米経済と世界



欧米経済は、日本の「失われた10年」に突入して、もがき始めて
その脱出方法を日本と同様に探すことになる。  Fより

米国経済は、企業は従業員の削減などのリストラで利益を出し始め
たが、雇用数は減り、6月米住宅着工5%減など個人消費が11カ
月ぶりの低水準になり、また、米政府は23日に2010年度の財政赤字
が1兆4710億ドル(約128兆円)になるとした。このように財政は過
去最高の赤字でこれ以上の財政出動ができない。

八方ふさがりになり、18カ月前の大統領就任当初は約60%が大
統領を支持していたが、WPとABCの世論調査では、逆に米国民
の60%近くがオバマ大統領を支持しないとなった。これは経済的
な危機から脱出できないことへの不満が出たことによる。

このため、この危機を起こした金融業界への規制を強化する金融規
制改革法案にオバマ大統領は署名、同法が成立した。FRBの権限
が強化された。

このFRBバーナンキ議長が21日、「米経済の見通しは異例なほ
ど不確かなままだ」とし、先行きの不透明さを強調し、経済成長が
ほとんど進んでいないと、必要があれば追加的なFRB金融政策での景
気刺激策を打ち出す用意があるとした。

このFRB議長の発言を受けて、安全資産である円に買いが入り、
10年物国債の流通利回りは一時、1.045%を付けた。2003
年8月以来、約7年ぶりの低水準になる。86円台の円高で、日経
平均は9200円台に暴落した。 

また、同時に中国の為替政策は事実上、輸出補助金に相当するとの
認識を示し、人民元の一段の上昇が中国の利益になるとした。この
発言を受けて、米国会議員は、中国の為替操作国認定を政府に求め
る動きが出てくる。

このように米国経済は不確かな状態になっている。欧州はストレス
・テストの結果を公表した。一部には非常に甘いという評価がある
が、急速な景気悪化などの危機的状況を前提に、最大で5660億ユー
ロ(約63兆4000億円)の損失が生じる恐れがあると予想し、その上
で7行で計35億ユーロ(約3900億円)の資本不足の恐れがあると認定
した。

検査では、EUが11年に0.4%のマイナス成長に転落すると想定し、
さらに株価が10〜11年に36%、ギリシャ国債10年物が42.2%下落す
るなど、金融市場の急速な悪化を見込んだという。

IMFは、財政再建中のギリシャについての暫定報告をした。それ
によると、同国政府による財政の持続性確保への取り組みには「進
展がみられる」と指摘したが、政府支出の削減による経済活動の減
速は「予想通り」というようにマイナス成長になる。

このように財政規模縮小により、EUの経済成長がマイナスという
シナリオであり、それは世界経済状況では起こりそうである。中国
の鉄鉱石需要の減退でバルチック海運指数が約15年で最長の下落に
なっているように、欧米の財政縮小は中国にも影響を与える。

そして、中国の需要増加を見越して、中国とのFTAや貿易協定が
欧米諸国は結ぶことになる。また、FRBバーナンキ議長やIMFなどが
ドル安へ口先介入して、輸出を増やそうという動きも起こる。また
、財政政策は縮小になるので、その分、各国中央銀行の金融政策に
期待が掛かることになる。財政出動以外の景気刺激策を各国が行う
ことになる。

ということは、通貨の下落競争になる気配を感じる。どうも1930
年代の通貨切り下げ競争と同様なことになり、次は経済圏の囲い込
みが起こると心配する必要になっている。

そして、戦争への道へ行く事もできる。イランと北朝鮮へのである。
いやな感じがするのは私だけであろうか??

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温暖化法案の審議入り断念=世界の取り組みに影響も−米上院
 【ワシントン時事】米上院のリード民主党院内総務は22日、温
室効果ガスの削減目標などを盛り込んだ包括的な温暖化対策・エネ
ルギー法案の審議入りを断念する方針を表明した。共和党議員の支
持を全く得られておらず、成立の見込みが立たないため。米国のみ
ならず、世界の温暖化問題への取り組みに影響が出る可能性もあり
そうだ。
 包括法案はケリー上院外交委員長(民主)が5月に発表。2020
年までに温室効果ガスを05年比で17%削減することや、排出量
取引の導入などが柱だ。オバマ大統領は内政の最重要課題の一つと
して後押ししてきた。
 リード院内総務は22日、ケリー委員長らと会見し、「(包括法
案可決の)目標達成のために行動する共和党議員は現時点で一人も
いない」とした上で、メキシコ湾の原油流出事故の対応策や天然ガ
ス車の生産拡大策などに限定した法案を数日中に提案すると語った。
(2010/07/23-16:42)
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CO2排出権取引制度を導入へ=15年までに−中国
 【北京時事】22日付の中国英字紙チャイナ・デーリーによると
、中国政府はこのほど、2020年までに国内総生産(GDP)当
たりの二酸化炭素(CO2)排出量を05年比で40〜45%削減
する目標を達成するため、第12次5カ年計画(11〜15年)の
期間中にCO2の排出権取引制度を導入する方針を固めた。
 気候変動対策を担当する国家発展改革委員会の解振華副主任が関
連政府機関、企業、シンクタンクの代表らを招いて会合を開き、決
定した。消息筋によると「国内で排出権取引を整備することが必要
だとのコンセンサスは得られたが、具体的な内容については協議が
続いている」という。(2010/07/22-19:00)
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最大で63兆円の損失も=資本不足、7行3900億円に―欧州銀特別検査
7月24日1時21分配信 時事通信

 【ロンドン時事】欧州連合(EU)加盟27カ国の銀行監督当局で構
成する欧州銀行監督委員会(CEBS)は23日、域内金融機関91行に対
する特別検査(ストレステスト)の結果を公表した。急速な景気悪
化などの危機的状況を前提に、最大で5660億ユーロ(約63兆4000億
円)の損失が生じる恐れがあると予想。その上で7行で計35億ユーロ
(約3900億円)の資本不足の恐れがあると認定した。

 検査結果を受け欧州委員会などは声明を発表し、「市場の信頼回
復に向けた重要な一歩だ」と強調。資本不足が想定される各行に、
早急な資本増強を求めた。

 EUは金融危機脱却に寄与した昨年の米国の特別検査を念頭に、今
回の検査でギリシャ財政危機に端を発する欧州信用不安を払しょく
したい考え。ただ「資本不足額が想定より少ない」(市場関係者)
との指摘もあり、どこまで金融市場の信認を得られるかなお不透明
だ。

 検査では、EUが11年に0.4%のマイナス成長に転落すると想定。
さらに株価が10〜11年に36%、ギリシャ国債10年物が42.2%下落す
るなど、金融市場の急速な悪化を見込んだ。

 その結果、スペインの貯蓄銀行5行のほか、ドイツのヒポ・リアル
・エステートとギリシャの農業銀行の計7行が、11年末に中核的自己
資本が基準の6%に満たないと試算した。一方、大手行や経営不安が
指摘されるドイツの州立銀行はすべて基準をクリアした。

 資本不足が指摘された各行は、直ちに資本増強を模索する方針。
自力での資本調達が難しい銀行には、各国政府などが公的資金を注
入し、金融システムの健全性維持を図る。 
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米財政赤字、128兆円に=過去最悪、10年度見通し
7月24日7時29分配信 時事通信

 【ワシントン時事】米政府は23日発表した年央財政見通しで、2010
年度(09年10月〜10年9月)の財政赤字が1兆4710億ドル(約128兆円
)になるとの予想を明らかにした。2月の予算教書の予想(1兆5560
億ドル)は下回るものの、前年度(1兆4130億ドル)を抜き、過去最
悪を更新する。
 財政赤字は10年度がピークで、その後14年度までは減少を続ける
見込み。「経済回復に伴い政府の雇用創出策が減る」(オーザグ行
政管理予算局=OMB=長官)ためで、国内総生産(GDP)に対する赤
字の比率は10年度の10.0%から14年度には3.8%に低下する。
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長期金利、7年ぶり低水準 景気懸念、一時1.045%
2010年7月22日16時43分

 22日の東京債券市場は、景気の先行き懸念から債券が買われ、
長期金利の代表的な指標である新発10年物国債の流通利回りは一
時、前日比0.04%幅低い1.045%を付けた。2003年8
月以来、約7年ぶりの低水準。 
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「米経済見通し、異例なほど不確か」 FRB議長が証言
2010年7月22日11時40分

 米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は21日、米
上院銀行委員会で証言した。議長は「米経済の見通しは異例なほど
不確かなままだ」とし、先行きの不透明さを強調。経済成長が緩や
かに進んでいるとの見方を示す一方で、必要があれば追加的な景気
刺激策を打ち出す用意があると改めて説明した。 

 議長は21日、「経済成長と失業の状況についての見通しの不確
実性は、通常よりも大きくなっている」と指摘した。欧州の財政危
機を背景に、米国経済の先行きが見通しにくくなっていることに懸
念を示した形だ。 

 また、危機対応で導入した異例の金融緩和策を完全に収束させる
必要性に言及すると同時に、仮に景気が腰折れする可能性が高まれ
ば追加緩和策を実施する用意があるとの意向も示した。FRBは今
月公表した6月末の連邦公開市場委員会の議事録要旨で、追加刺激
策導入の可能性を示唆していた。(尾形聡彦) 
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人民元政策は輸出補助金に相当、一段の上昇必要=FRB議長
2010年 07月 22日 08:11 JST

[ワシントン 21日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)
のバーナンキ議長は21日、上院銀行委員会で証言し、中国の為替
政策は事実上、輸出補助金に相当するとの認識を示した。
 人民元の一段の上昇が中国の利益になるとの考えも示した。

 議長は「公平な競争の場を作ることのほか、中国側にとっても均
衡のとれた国内経済の実現および金融政策の独立性を高めるため、
(中国の)一段と大きな動きを希望する」と述べた。

 ただ、人民元の上昇を促すために米議会が行動することについて
は、最善の選択肢とは言えないと発言。「議会は強硬措置をとる前
に、非常によく考えるべきだ」と述べた。

 議会証言では、シャーロッド・ブラウン上院議員が、議長は数年
前、中国の為替制度が事実上の補助金に当たると発言したが、今も
その考えを支持するかと質問。議長は「そうだ」と答えた。

 人民元はどの程度過小評価されているかとの質問には「文献では
10─30%という数字が見受けられる」と述べた。
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6月米住宅着工5%減
 【ワシントン=岡田章裕】米商務省が20日発表した6月の住宅
着工件数は、季節調整後の年率換算で前月比5.0%減の54万
9000戸と2か月連続のマイナスとなり、2009年10月以来
の低水準となった。先行指標となる住宅着工許可件数は2.1%増
の58万6000戸だった。
(2010年7月21日 読売新聞)
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7月米ミシガン大消費者信頼感指数速報値、11カ月ぶり低水準
2010年 07月 17日 01:07 JST

 [ニューヨーク 16日 ロイター] ロイター/ミシガン大学
の調査した米消費者調査の信頼感指数・速報値は66.5と、前月
の76.0から低下し、11カ月ぶりの低水準となった。
 ロイターがまとめたエコノミスト予想は74.5だった。

 前月はほぼ2年半ぶりの高水準をつけていた。

 調査ディレクターのリチャード・カーティン氏は声明で「所得・
雇用をめぐる見通しは著しく弱く、消費者は消費に対し一段と慎重
になっている」と指摘。「さらに、消費者は経済状況が再び悪化し
ていると報告し、今後1年で新たな問題が発生する公算が大きいと
予想している」と述べた。

 景気現況指数は75.5に低下し、2009年11月以来の低水
準。前月は85.6と、08年3月以来の高水準となっていた。ア
ナリストは84.0と予想していた。
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21日に米金融改革法が成立 オバマ大統領が署名
2010.7.17 10:24

(ロイター) 米ホワイトハウスは16日、オバマ大統領が金融行
政を抜本的に見直す金融規制改革法案に21日に署名、同法を成立
させる予定だと発表した。

 金融危機の再発防止を目指す2300ページに及ぶ同法は、ウォ
ール街の巨大金融機関や金融市場を徹底監視し、独立機関を創設し
て消費者保護を強化するのが特徴だ。法案は15日に議会で可決、
大統領に送付された。

 法律成立後半年から1年程度をかけて、新組織を設立したりトッ
プの人選を行う。金融当局は具体的な規制・監督指針の策定などの
対応を急ピッチで進める方針だ。(共同)
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ギリシャ財政再建は進展=経済減速は今後強まる―IMF
7月17日6時6分配信 時事通信

 【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)は16日、財政再建中のギ
リシャについての暫定報告を発表した。それによると、同国政府に
よる財政の持続性確保への取り組みには「進展がみられる」と指摘
した。一方、政府支出の削減による経済活動の減速は「予想通り」
とした上で、今後さらに落ち込みは激しくなるとの見解を示した。
 暫定報告は、6月中旬のIMFとギリシャ政府、中央銀行との協議を
受けてまとめられた。
 報告ではギリシャによる財政再建策についておおむね順調に進ん
でいると評価する一方、公立病院や社会保障基金、公営企業体など
政府による直接的な予算管理が及ばない分野にリスクがあると指摘。
間接税の引き上げなどの影響でインフレ率は予想より上昇している
ほか、金融機関は流動性の逼迫(ひっぱく)状況が続いているとし
た。 
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バルチック海運指数:35日続落、15年で最長−中国の鉄鉱石需要鈍化 

7月15日(ブルームバーグ):商品運搬コストの指標となるバルチ
ック・ドライ指数が、約15年で最長の下落となっている。船舶数が
増加するなか、鉄鉱石需要の減退で船舶の供給過剰が悪化している。 

  船舶ブローカー最大手、英クラークソンによると、鉄鉱石や石
炭などばら積み商品の積載能力は今年、16%拡大すると予想される。
金属調査会社マイスチール・リサーチ・インスティチュートは、中
国の年間の鉄鉱石輸入が1998年以降で初めて減少するとの見通しを
示した。中国は世界最大の鉄鉱石消費国。
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米国民の約6割、オバマ大統領を信頼せず=世論調査
2010年 07月 13日 16:22 JST

 [ワシントン 13日 ロイター] 米ワシントン・ポスト(W
P)紙とABCニュースの世論調査で、米国民の60%近くが、オ
バマ大統領を信頼していないことが明らかになった。18カ月前の
大統領就任当初は、約60%が大統領の決断力を信頼していた。

 調査の結果、オバマ大統領が国家の将来のために正しい決断がで
きると信頼しているかとの質問に対し、58%が「わずか」または
「信頼していない」と回答した。

 議会民主党についての同じ質問では68%、議会共和党では72
%が同様の回答となった。

 WP紙は、オバマ大統領の支持率低下について、住宅セクターの
問題、雇用の低迷など経済問題が原因となっている可能性があると
述べた。

 オバマ大統領の景気への対応については、評価しているとの回答
は43%、評価していないとの回答は54%だった。

 調査は7─11日、1288人を対象に実施された。米国では、
今年11月に中間選挙が行われる。


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