3692.米国経済の変調



欧州の財政再建が本格化して、景気への影響を心配していたが、最
初に米国経済が変調を来たし始めた。その検討。  Fより

米国は財政支出をあまりに早急に低下させれば需要が減少し、成長
が損われ、景気が二番底に陥る懸念が強まると心配した。この状況
を、フーバー、フランクリン・ルーズベルト両大統領が30年代に採
用し、大恐慌を長びかせた早過ぎる財政引き締めになぞらえて「フ
ーバー・モーメント」と呼び、警戒する。 

しかし、欧州はなりふり構わず、財政支出の削減に乗り出している。
G8サミットでも、財政出動による景気刺激策の継続を主張する米
国と、財政再建を優先したい欧州の間で意見が分かれた。

欧州諸国の財政縮小の影響から製造業では欧州向け輸出が低迷し、
企業の景況感は急速に冷え込んだ。景気後退から脱却しつつあった
米経済が、早くも息切れし始めたようだ。新規採用を手控える動き
も広がり、減少傾向にあった失業者数は再び増加し始めた。

非農業部門の就業者数は前月比12万5000人減と、昨年12月
以来、半年ぶりに減少した。減少幅は09年10月(22万4000人減
)以来8カ月ぶりの大きさになった。

また、6月の製造業景気指数は56.2となり、前月の59.7か
ら低下した。低下は2カ月連続で、6月の指数は6カ月ぶりの低水
準となった。

米FRB幹部も、米景気回復の失速を懸念し始めている。こうした
懸念によって追加の金融緩和という選択肢も温存せざるを得なくな
っている。

このような米国経済の変調を前にしても、欧州中央銀行(ECB)
のトリシェ総裁は、ユーロ圏の各国政府が同時に進める大幅な歳出
削減が景気を減速させるとの見方を否定した。しかし、ECBとし
て2011年より前に、緊急支援策を引き揚げる出口戦略が実施さ
れることはないと関係筋は述べた。

このような欧米の状況に対して、中国は6月の製造業購買担当者指
数(PMI)が前月より1.8ポイント低下して52.1%となっ
たことを明らかにした。PMI指数が前月比を下回ったのは2カ月
連続であり、GDPも9.8%増で、11%台の前四半期より減速
した。中国もEUへの輸出がユーロ安により減少している。このた
め、米国への輸出が相対的に増えている。

このため、今年1〜4月の米国からの輸出は前年比17%増に達し
たにも関わらず、5月の米国貿易赤字は前月比4.8%増の422億
7000万ドルと拡大し、特に対中赤字が拡大して2008年11月以
来の大きさとなった。

このような中国の輸出ドライブで、4月の報告で見送った中国の為
替操作国への認定を、「注意深く定期的に人民元の切り上げを監視
していく」とし中国の為替政策を注視する考えを示した。

このような欧米の状態から中国人民銀行も、積極的な財政政策と金
融緩和政策をまだ解除するべきではないとした。米国の為替認定に
対して警戒を示している。中国は労働賃金の上昇などから米国輸出
から内需拡大に成長戦略を切り替える必要がある。

このような時期にさらに景気を押し下げる米金融規制改革法案が成
立した。また、6月の米消費者物価指数(CPI)は、前月比で
0.1%下落し、3カ月連続のマイナスになり、デフレの様相を呈
してきた。

その上、米政府が欧州を批判しているのもかかわらず、米民主党上
院は15日、今年10月から始まる次年度の政府予算を140億ドル(約1兆
2000億円)削減する提案をした。

16日のニューヨーク株式市場は、米景気の先行き不透明感から売
られ、大幅続落し、円相場は一時1ドル=86円台後半まで急伸し
、16日の東京株式市場の日経平均株価は前日終値比277円17
銭安の9408円36銭になった。

日本の景気は日銀が発表しているように中国への輸出で持ち直して
きているが、米国経済の変調で今後がどうなるか、中国の景気動向
が重要なキーになっている。ここで、中国がバブル崩壊になると、
世界経済はまた、同時不況になる。逆に中国経済は堅調であれば、
日本経済もこのまま堅調に推移する。

中国経済が世界的な指標値になり始めている。米国より中国を見る
ことが重要になり始めているようだ。
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NY株が大幅続落、1万100ドル割り込む
 16日のニューヨーク株式市場は、米景気の先行き不透明感から
売られ、大幅続落した。

 ダウ平均株価(30種)は前日比261・41ドル安の
1万97・90ドルと今月7日以来、9日ぶりに1万100ドルを
割り込んで取引を終えた。ハイテク銘柄が中心のナスダック店頭市
場の総合指数は同70・03ポイント安の2179・05だった。

(2010年7月17日05時12分 読売新聞)
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外為・株式:東京外為 ドル売られ一時86円台−−7カ月ぶり
毎日
 16日の東京外国為替市場は米国経済の減速懸念からドル売り・
円買いの動きが強まり、円相場は一時1ドル=86円台後半まで急
伸。東京市場としては昨年12月以来約7カ月ぶりに1ドル=86
円台を付けた。午後5時時点は、前日比70銭円高・ドル安の
1ドル=87円23〜25銭。16日のニューヨーク外国為替市場
でも一時1ドル=86円台前半まで円高が進んだ。

 円高進行を受け、16日の東京株式市場の日経平均株価は一時、
前日終値比293円安まで値を下げ、9400円台を割り込んだ。
終値は前日終値比277円17銭安の9408円36銭。
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米上院民主党、140億ドルの政府予算削減を提案
2010年07月16日 15:05更新IBtimes

 オバマ米大統領率いる米民主党上院は15日、今年10月から始まる
次年度の政府予算を140億ドル(約1兆2000億円)削減する提案を発表
した。これは米民主党下院による提案額70億ドルの2倍となる削減案
である。

 なお、米上院歳出委員会は15日、在沖縄海兵隊のグアム移転に関
する経費については、約1億700万ドルとする次年度軍事施設建設に
関する予算歳出法案を可決した。これはオバマ大統領が当初要求し
ていた額を75%削減した額となった。

 グアムへの海兵隊受け入れについては、米政府側はグアムのイン
フラ改善に対する日本の貢献の重要性に関して説明する書簡を送っ
ている。米軍普天間基地の移設についての不透明さが移転費への予
算割り当てを圧迫しているとみられる。
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6月の米消費者物価、3カ月連続のマイナス
2010年7月16日22時26分

 【ワシントン=尾形聡彦】米労働省が16日発表した6月の米消
費者物価指数(CPI)は、前月比で0.1%下落し、3カ月連続
のマイナスになった。エネルギー価格が同2.9%下落したのが主
因だ。変動の激しいエネルギーと食品を除いたコア(中核)指数は
、前月比0.2%上昇し、2カ月連続のプラスだった。 

 消費者物価指数は前年同月比では1.1%上昇した。 

 米国では、景気減速への警戒感が強まるなかで、米経済も日本同
様のデフレに陥ることを懸念する議論が出始めている。ただ、コア
指数が上昇したことで、市場では当面は安心感が広がりそうだ。
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米金融規制改革法案が成立へ 上院が可決
2010.7.16 07:56サンケイ

 【ワシントン=渡辺浩生】米上院は15日、1930年代以来の
抜本的改革となる金融規制改革法案を賛成60、反対39の賛成多
数で可決した。法案はすでに下院を通過しており、近くオバマ大統
領の署名を経て成立する。金融危機の再発防止のため、大規模金融
機関の監督強化や高リスク取引の制限などを柱とし、金融界の今後
の収益モデルや国際的な金融規制にも影響を与える内容。オバマ大
統領にとっては内政上の大きな勝利となった。

 採決では野党共和党の3人が賛成に回った。可決後、オバマ大統
領はホワイトハウスで、「消費者を守り、より強固で安全な金融シ
ステムの基礎となるウォール街の改革に私は署名する」と表明した。
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下期の中国経済、予想より大幅な減速の可能性=中国証券報
2010年 07月 15日 10:00 JST

[北京 15日 ロイター] 15日付の中国証券報は論説記事で
、中国経済が下期に予想より大幅に減速する可能性があると指摘し
、中国政府はこれ以上の引き締め政策を講じるべきでないとの見方
を示した。

 同紙は1面に掲載した論説記事で、中国政府が金融危機の最悪期
に導入した積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策の継続を訴
えた。

 また、第2・四半期の国内総生産(GDP)伸び率について、前
年比約10%となり第1・四半期の同11.9%から減速するとの
予想を示した。
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5月米貿易赤字は08年11月以来の大きさ、対中赤字膨らむ
2010年 07月 14日 01:10 

[ワシントン 13日 ロイター] 米商務省が13日発表した5
月の貿易赤字は前月比4.8%増の422億7000万ドルと、予
想外に拡大し、2008年11月以来の大きさとなった。

 市場では、赤字が前月の403億2000万ドルから390億ド
ルに縮小すると予想されていた。輸出が08年9月以来の水準に増
加する一方、対中赤字が膨らみ赤字額を押し上げた。輸入の増加が
内需の底堅さを示す半面、需要の多くが海外製品に向かった。
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米、中国の為替操作 10月再判断
人民元切り上げへ駆け引き
 【ワシントン=岡田章裕】米財務省は8日、主要な貿易相手国・
地域の為替政策に関する為替政策報告書を公表し、人民元相場の弾
力化方針を評価した上で、中国の為替操作国への認定は見送った。
ただ、「注意深く定期的に人民元の切り上げを監視していく」とし
、引き続き、中国の為替政策を注視する考えを示した。

 オバマ大統領は6月下旬の主要20か国・地域(G20)サミッ
ト(首脳会議)後の記者会見で、中国の切り上げ姿勢は、「3か月
ではっきり分かる」として、期限を明示した上で中国側に対応を迫
っている。10月の次回の報告書発表までの人民元相場の動きを見
定めた上で、切り上げペースが不十分なら、為替操作国に認定する
ことも辞さない構えとみられる。
(2010年7月10日 読売新聞)
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緊縮財政で景気が減速することはない=ECB総裁
2010年 07月 9日 18:55 JST

 [フランクフルト 9日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)
のトリシェ総裁は9日、ユーロ圏の各国政府がほぼ同時に進めてい
る大幅な歳出削減が景気を減速させるとの見方を否定した。
 米政策当局者は、世界経済の回復の勢いを損ねないために刺激策
の継続を求めている。また、多くのエコノミストの間では、ギリシ
ャなど欧州の一部の国が進めている緊縮財政策がユーロ圏の景気回
復に水を差すとの懸念がある。
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オバマ大統領、輸出戦略に手ごたえ 前年比17%増
2010年7月8日10時19分

 【ワシントン=尾形聡彦】オバマ米大統領は7日、今年1月に打
ち出した「国家輸出戦略」の進捗(しんちょく)状況について演説
し、「確かなスタート」を切ったとして、米産業界などに一層の努
力を求めた。今年1〜4月の米国からの輸出は前年比17%増に達
したという。 

 国家輸出戦略は、今後5年で輸出を倍増させ、200万人の雇用
を支える目標を掲げている。オバマ大統領は「我々は前進している
」と、輸出増を歓迎。「(輸出は)いまの雇用を生み出すばかりで
なく、将来の雇用も生み出す」と述べた。米国は6月の雇用統計で
、非農業部門の就業者数が半年ぶりに減少に転じるなど、再び懸念
も台頭している。オバマ大統領は輸出増を通じて雇用創出を図る考
えを改めて鮮明にした形だ。 
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ECB、2011年まで出口戦略は実施せず─関係筋=MNI
2010年 07月 7日 05:10 JST

 [フランクフルト 6日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)
は2011年まで緊急支援策を引き揚げることはない。マーケット
・ニュース・インターナショナル(MNI)が6日、ユーロシステ
ムの複数の関係筋による発言として報じた。
 MNIによると、同関係筋のうち1人は、多くの銀行が依然とし
てECBの貸し出しに大きく依存している状態で、この依存度を徐
々に引き下げるための努力はなされていないと指摘。「こうした状
況は(緊急支援策を引き揚げる)出口戦略のタイミングに支障をき
たす」と述べた。そのうえで「ECBの決定を常時、見極め続ける
」としながらも「2011年より前に出口戦略が実施されることは
ないと予想している」と述べた。
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中国、まだ緩和政策を解除する時期ではない=人民銀行高官
2010年 07月 7日 13:31 JS

 [北京 7日 ロイター] 中国人民銀行(中央銀行)の高官は
、中国は積極的な財政政策と金融緩和政策をまだ解除するべきでは
ないとの見解を示した上で、秩序のある出口戦略に向けて徐々に準
備を進める必要があると指摘した。
 人民銀行の経営管理部門責任者、Yang Guozhong氏は、人民銀行が
発行している中国語誌チャイナ・ファイナンスに寄稿し、中国政府
は、出口戦略を段階的に行い、金融政策をまず引き締め、その後財
政刺激策を解除するべきだと指摘。

 「中国は、積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策を調整す
るための経済的基盤をまだ有していない」と語った。

 中国は今年に入って銀行の預金準備率を3回引き上げているが、
政策金利は据え置いている。

 景気が再び減速することへの懸念が浮上するなか、アナリストの
間では、中国が今年いっぱい政策金利を据え置くとの見方が強まっ
ている。
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6月の米ISM製造業景気指数は低下、半年ぶり低水準
2010年 07月 2日 05:39 JST

 [ワシントン/ニューヨーク 1日 ロイター] 米供給管理協
会(ISM)が1日発表した6月の製造業景気指数は56.2とな
り、前月の59.7から低下した。低下は2カ月連続で、6月の指
数は6カ月ぶりの低水準となった。
 ただ、景気を見極めるうえでの分岐点となる50は、11カ月連
続で上回っている。

 ロイターがまとめたエコノミスト72人の予想中央値は59.0
だった。

 雇用指数は57.8と、前月の59.8から悪化。新規受注指数
は58.5と、前月の65.7から低下した。

 価格指数が急低下したことで、米連邦準備理事会(FRB)が超
低金利政策の解除を急がないとの見方が裏付けられた。
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FRBは景気回復失速懸念で立ち往生、緩和オプション温存
2010年 07月 2日 14:15 JST

 [ワシントン 1日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)
幹部らは、米景気回復の失速を懸念し始めている。先行きが見通せ
るようになるまで様子見スタンスをとっているようだ。
 ここ数日のインタビューや講演内容をみると、米連邦公開市場委
員会(FOMC)メンバーの多くが景気回復ペースの明らかな鈍化
を指摘しており、欧州ソブリン債務問題の影響を懸念していること
がうかがわれる。

 たとえ米経済が持続的に回復し、いずれは利上げという基本シナ
リオが変わらなくても、こうした懸念によって追加の金融緩和とい
う選択肢も温存せざるを得なくなっている。
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米雇用統計:就業者12万人減 半年ぶりに悪化−−6月
毎日
 【ワシントン斉藤信宏】米労働省が2日発表した6月の雇用統計
(速報値)によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業
者数(季節調整済み)は前月比12万5000人減と、昨年12月
以来、半年ぶりに減少した。減少幅は09年10月(22万4000
人減)以来8カ月ぶりの大きさ。市場の事前予想(11万人減)を
上回る減少幅で、米経済の雇用回復力の弱さを印象づけた。ただ、
失業率は9・5%と5月(9・7%)から0・2ポイント改善、
09年7月(9・4%)以来の低い水準となった。
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中国6月のPMI、1.8ポイント低下2010年7月2日16時7分

 中国物流購買連合会は1日、6月の製造業購買担当者指数(PM
I)が前月より1.8ポイント低下して52.1%となったことを
明らかにした。PMI指数が前月比を下回ったのは2カ月連続。中
国物流購買連合会の専属アナリスト、張立群氏は「PMI指数の低
下は中国経済の伸びが着実に鈍化していることを示しているかもし
れない。これは経済成長の安定性・持続可能性の向上につながる」
との見方を示した。 
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米景気、減速感強まる=欧州危機が波及、金利低下鮮明に
7月2日8時29分配信 時事通信

 【ニューヨーク時事】戦後最悪の景気後退から脱却しつつあった
米経済が、早くも息切れし始めた。巨額の財政赤字にあえぐ米政府
・金融当局には、超低金利政策以外に打つ手は少なく、景気の二番
底や長期低迷を予想する声も出始めた。
 最大の圧迫要因となっているのが欧州諸国の財政危機。製造業で
は欧州向け輸出が低迷し、企業の景況感は急速に冷え込んだ。新規
採用を手控える動きも広がり、減少傾向にあった失業者数は再び増
加し始めた。
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成長の手法、米欧割れる 景気刺激か財政再建か G8
2010年6月26日15時0分

 【トロント(カナダ)=大月規義、西山公隆】主要国首脳会議(
G8サミット)が25日午後(日本時間26日未明)、トロント近
郊のムスコカで始まり、各国の経済成長を持続させることが重要だ
との認識で一致した。その手法を巡っては、財政出動による景気刺
激策の継続を主張する米国と、財政再建を優先したい欧州の間で意
見が分かれた。 
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歳出めぐるG20の戦い─「フーバー・モーメント」再現を懸念す
る米国
2010年 6月 22日 18:45 JST 
WSJ
 米国は20カ国・地域(G20)首脳会議で、財政引き締め計画へ
の移行を慎重に行うよう参加国を説得する計画だ。米高官らは「フ
ーバー・モーメント」の再現を懸念している。 

 オバマ大統領のエコノミストは、政府歳出の割合があまりに早急
に低下すれば需要が減少し、成長が損われる上、景気が二番底に陥
る懸念が強まる、と指摘。関係者はこうした状況を、フーバー、フ
ランクリン・ルーズベルト両大統領が30年代に採用し、大恐慌を長
びかせたと批判される早過ぎる財政引き締めになぞらえて「フーバ
ー・モーメント」と呼ぶ。 

 欧州ではソブリン債のデフォルト懸念が根強く残る。英国では高
水準の歳出を維持すべきかどうかが5月の総選挙の争点となった。
すぐにでも歳出を削減すべきと主張する保守党が選挙で勝利し、22
日に今後数年間の歳出削減と増税の計画を明らかにする。 


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