3574.地域通貨どころじゃない



地域通貨どころじゃない
3月21日の講演者である森野さんは地域通貨の大家であるが、そ
の地域通貨も大変なことになっているようだ。  Fより
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自治体の財政ピンチ
AKです。

みなさんが思われている以上に自治体の財政はピンチです。自分か
らまいた種なんで自業自得なんですが、過去にした借金の猛烈な取
り立てにあっています。

ここ4年ほど自治体の総債務はごく僅かですが「純減」しています
。その分財政が改善しているように思われるかもしれませんが、そ
の実、借金の同額借換が出来ずにいるということです。

返した額より、より少ない借金しかできなくなっている。
ということは、いままで行政経費に回っていた分が借金払いに振り
向けられているということです。

そこへ来年度の大きな税収減。これは「確定」している。自治体の
税は去年の所得をもとに算定されます。

それでも2010年度はこれまでの経費をよりいっそう切り詰めてなん
とか帳尻を合わす予算を組むことができていますが、11年度はさら
に悲惨な状況が待ちうけている。

それにほとんどギリギリのお金しかないから、突発的な災害でもあ
ったときにはもはや打つ手がない。

そのいっぽうで維持補修費という一番削りやすい経費を徹底的に削
っているいるので、メンテが疎かになって故障・不具合が頻発。し
かし、お金がないのでパッチワーク的な対処しかできていない。結
果、最後に大きな事故になる。そうなると今度は修復と補償に大き
なお金がいる。

もう悪循環の極み。こういうのは来るときには一度に来ます。

とんでもない財政ギャップを埋めるお金をどこから出すのか?
しかしもう借金には頼れない。民草が「地域通貨どころじゃない」
という状況だから、自治体は「地域通貨しかない」という状況が迫
っています。
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地域通貨どころじゃない
森野

地域通貨どころじゃないというお話です。

地域通貨は決済の仕組みです。それを使って人は関わりを作ること
ができます。世の中には階層構造があります。豊かな人から私が過
ごしてきたような最底辺の生活まで。

昔風の言い方をすれば、地域通貨によってプチブルのサロンを作る
こともできるでしょう。金ぴかの交流まで作れるでしょう。また、
底辺の緩やかに連帯する支援の環さえつくれるでしょう。

たしかに我が国でも中産層の崩壊状況はひどいものです。

もういちど厚みのある中産層が作る健全な経済社会にしたいもので
す。そうしてできうれば、最底辺で自尊心のかけらさえもてずいく
つも掛け持ちで仕事せざるをえず、それでもやっとカツカツの生活
を送る人間がわずかでもいいから、もう少しラクな生活ができない
ものかと思います。

実際私自身、まだ元気で体力があったころ、日に二つも三つも仕事
をし、寝る間も惜しむくらいの過酷な仕事の連続でした。労働運動
のなかで強固に連帯した闘争が道を切り開くと考えていました。

新しい取り組みも始めました。労働運動の新潮流とかいわれて、研
究者がやってきました。彼らは極左政治団体の幹部級でもありまし
た。

私はいいました。研究はいい。この職場は働き手がいない、君たち
労働者になれよ、と。彼らは黙っています。そうか、君たちの職業
は革命家か。職革だよな、レーニンがいうように。じゃあ、我々を
指導するんだろう。なにを研究するんだい、論文書いてどうするん
だい、といいました。

彼らは現場に二度とこなくなりました。風のうわさではえらく権威
のある大学のせんせーにみななりたかったそうで、そうなったよう
です。

彼らは労働経済についての研究もものにしたことでしょう。しかし
私たちの現実はなんの変わりもありません。現場の条件が改善され
ることはいかようにいわれようが、望みでもありました。

そりゃー、稼ぎはだれでも多いほうがいい。こどもを少しはましな
学校に入れてやりたい。激烈な闘争も必要ならするが、そう何度も
牢屋に入るのはいやなもんだ。こちとらとにかく食っていくので精
一杯。

こどもがひどいアレルギーになった。しかたなく田舎にいくかとな
った。しかしどこも土地勘がない。土地勘があるのは三里塚くらい
だ(笑)。それで千葉の奥のほうに越した。しかし、生活水準の違
う人たちばかりだ。こどもにとってもよくないと思い、貧乏人の集
積し、労働力のバッファ(マルクスの場合なら農村という外部環境
が調整機能を果たすと考えたんだが、そんな田舎は日本の労働者に
は存在しない)となる都市の下町に舞い戻った。ま、これは個人的
なこと・・・

以前、ゲゼル研究会に、ドイツのシュタイナー学校にはずいぶん日
本の若者が送り込まれているらしく連絡がありました。ゲゼル関係
の資料を訳してやるからいくらくれるかという問い合わせでした。

聞くと、えらくカネがかかるらしくカネが要るとのこと。そういわ
れてもゲゼル研究会はカネなど一銭もない団体だ、といったらピタ
ッとなにも言ってこなくなった。

日本でもずいぶんカネをとるらしいと聞いた。豊かな中産層はこど
もをシュタイナー教育とやらに任せることができるのだろう。この
経済危機で中産層が苦しくなった。地域通貨どころじゃない、とい
う前に、シュタイナー教育どころじゃないということではありませ
んか。芋虫はじぶんのからだに合わせて繭を作ります。地域通貨は
繭です。

私のような人間にも地域通貨の可能性はあり、豊かな方々、没落し
はじめた方々にもその可能性はあるでしょう。

もしそれどころじゃないというのなら、これまでのそれが、恵まれ
た交流会だったからではないでしょうか。人の状況が変われば、作
り上げる繭もちがってきますが、繭に違いはないのだと思います。

ちなみに、我が家のこどもはふつうのがっこーに行きました。びん
ぼー続きでしたからシュタイナー教育どころじゃない(笑)。

もっともカネに余っていてもやりぁしませんけどね。

エンデも道に迷って(ブレヒトの目が怖かった?)80年代にゲゼ
リアンなどにすり寄らなければ、今以上に特定の方々に崇拝されて
いたかもしれません。

> そこで、物価が安く,人情味があり
> すごしやすい田舎に引っ越す事にする人たちがいます。

地方はこんな甘いもんじゃあありませんよ。こ〜いう方々がどんな
問題を巻き起こしているかご存じですか。

地方と農業を立て直さなければ、いくらベーシックインカムをくば
っても、一粒のコメも食えず、買えるものはシュタイナー教育だけ
ということになりますよ。

ジョン・ラスキンがいったように、小麦がない島で小麦が入手でき
る貨幣を作ったところで、小麦は手に入らないんですから。

地域通貨どころじゃないという場所もあれば、もう地域通貨なしに
は地域がたちゆかいくらいになったという場所もあります。どちら
も現実です。

重農主義闘争同盟の昔から真のゲゼリアンは「市民の基本生活が守
られるか」とは表現しません。農民を含む勤労諸階級の基本生活を
守り、公正な社会をいかに実現するか、それがテーマです。
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森野
ギリシャならゴールドマンサックスが協力して財政の帳尻ごまかし
してくれたが(これも露見しちゃったが)、日本の自治体は相手に
してくれんだろうし、そもそも日本の各自治体のCDSなどを商いたい
向きがいても受け手の保険業者など出てこないだろう(笑)。
PIIGS諸国、米カリフォルニア、他人事ニアラス。
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> ご無沙汰しています。
> 大阪の難波駅OCATのマルチヴィジョン前で、地域通貨
> のシンポジウムをしたのは、もう10年以上前ですね。

なんだか不思議ですが、巡る時間というものがありますね。
10年経って、同じ地点に戻ってきているような感じですね。
しかし以前とはちがった環境でまた10年を始められる。

> 今度は、本当に大阪で地域通貨を使う時代が来たように
> 思います。現在、大阪市の排出量取引制度の事業委託を
> 受けていますが、排出量をエコポイントというか、原資にし
> てWIRのように運営するのがベターだと考えています。

排出権取引を基礎におくとやりやすいですね。

> 後は生協さん、商店街などとのリンクですね。
> 大阪の商人が、WIRを使いだせば面白いと思います。
> 先日、お話ししていました懐徳堂、適塾も阪大と一緒に
> 復活できればと思います。そうすれば、福沢諭吉さんも
> 動き出すと思います。

そうですね。
人アリテ後(のち)事アリ、事アリテノチ字アル(山片蟠桃)
字という情報のみ扱う人も多いですが、とにかく事を起こすことで
すね。

> また、大阪でシンポジウムをしたいと考えていますので、
> また、お知恵を拝借したく思います。
> 柴田




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