3341.中国の躍進と今後



中国の胡錦濤国家主席が欠席であったラクイラ・サミットで、逆に
中国の存在感の大きさが出ていた。中国と日本の関係をどうするの
かという問題を真剣に考えないといけないと多くのビジネス・パー
ソンは行ったと思う。ここでは中国の経済動向など多くの分野の状
況を見て、中国と日本の関係を考えることとしたい。
                津田より

0.はじめに
 中国は現時点でドイツを抜き、世界第3位の経済大国であるが、
1人当りの所得は発展途上国のレベルである。1人当りのGDPも日本
の1/10以下であり、約32万円である。ちなみに日本は340
万円である。そして、GDPでは2009年には日本を抜かすとも言われて
いる。

まもなく、米中の経済の2強時代になる。すでに、中国の経済市場
は世界から多くの鉱物資源や農産物、日本からは電子部品や工作機
械、建設機械を買っている。この中国近傍に日本が位置づけられて
いることで、米国市場の衰退になっても中国市場が活性化すること
で、日本の産業は生き残れる可能性が出ている。

しかし、中国は世界から大量の資源、農産物などを輸入するために
シーレーン防衛という遠洋海軍の構築を行っている。その遠洋海軍
の基地が、ミャンマーやパキスタンなどにできつつある。このよう
に米国に代わりえる軍事力の増強も行い、アジアの軍事バランスを
変えて、台湾などは中国との統一を視野にするしかないようになっ
ている。反対に軍事的な面では日本の防衛やシーレーン防衛をどう
するのか、大きな国家方針の転換点になっている。

それと、中央アジアからは天然ガス、石油のパイプラインが中国に
伸びる計画が進行するなど中央アジアへの中国の権益が拡大してい
る。アフリカでもアンゴラやスーダンなど多くの国で経済援助をし
て、その代わりに鉱物資源を手に入れている。

また、中国ではレアメタルなど今後の産業のコメといわれる資源が
多く産出しているが、輸出規制をして世界的な品不足と高騰を起こ
している。

しかし、一方ではウルムチの暴動など、民族間の対立が起きている
し、それも中央アジアとの接点でもある内モンゴル、東トルキスタ
ンという戦略的に重要な地点での対立であり、ここが中国の問題で
ある。民主主義ではなく、民衆を抑える統治には問題があるが、中
国共産党は一党独裁を捨てることは当分ないと見る。

このような中国に多くの日本企業は進出している。しかし、中国人
の性格は非常に強い個性と持っていて、この性格を理解しないと日
本人の感性では扱いが難しいし、反発されるだけである。日本とし
てはどうすればいいのか今後の結びつきをも含めて、検討したい。

1.経済状況
  中国は今まで世界の工場として、輸出産業を中心として発展して
きた。しかし、2008年10月のリーマン破綻以後、世界から特に米国
からの受注が減り、輸出の工場地帯である沿海部の落ち込みは大き
い。このため、約4兆元の鉄道、道路などの公共工事を行う景気刺激
策を取った。4月末までに3千億元支出をしている。この効果が内陸
部に出て、経済成長は6%以上にもなっている。

内陸部は沿海部に比べて所得格差があったが、その内陸部で所得が
増えて、新車販売が好調である。上半期で600万台を売り、年間では
1000万台以上の販売になり、世界最大の自動車市場に浮上した。自
動車産業は波及効果の大きな産業であり、この自動車の増産が全体
的な経済を潤している。このため、全体的な景況感も上向いている。

しかし、公共事業の需要を見込んで鉄鋼などが増産したことで、在
庫が増えるなどして、5月に鉄鋼の緊急減産を鉄鋼各社に政府が命
令している。政府の経済研究所もV字回復ではなく、U字回復であ
ると慎重な見方もしている。

もう1つ、中国の金融機関の融資残高が急拡大して、その資金が株
と不動産投資に回っている可能性がある。1〜6月の累計は7兆3667
億元(約101兆円)で、早くも2008年の通年実績の1.5倍に達した。
融資急増がバブルにつながるとの懸念があり、市場では「人民銀が
融資抑制に乗り出す」との憶測も出ている。事実、上海市場の株価
上昇が年初の70%の上昇となっている。

しかし、中国へ海外からの直接投資は、5月17.8%減で8カ月連続
のマイナスで、世界的な金融危機をきっかけに減少した対中直接投
資が回復する兆しはまだ出ていない。金融機関の融資の急拡大で、
経済成長をしているということである。

この中国を市場として見て中国へ輸出しようとしても、バイチャイ
ニーズ政策があり、話は簡単ではない。地方政府は地元優先主義で
あるので、工場を該当省に建てて、その工場からの製品しか使わな
い。しかし、中国は昔の帝国と同様にワイロOKの社会であり、ワ
イロは必要経費と考えないと、商売ができない。政冶上位、経済下
位の体制であると心得ることである。このため、非常に非効率な社
会である。共産党と行政府という二重の管理体制があり、その2つ
の組織からワイロを暗に要求されることになる。

コネが重要な社会であり、太子党の有名人が米国企業の中国子会社
の幹部になっているのは、米企業トップは中国を観察しているが、
どうも米国社会も中国と同様なコネ社会なのであろう。よく見ると
、米中はよく似た社会であるので、中国人の考え方を米国人は理解
できるようである。

この非効率が、1人当りのGDPが日本の1/10になる理由であ
る。また、昔の科挙と同じように有名大学に入ることが唯一出世す
る道でもあり、現在の中国を社会主義国と見るのではなく、昔の中
国の帝国と見れば理解できる。悪癖も昔と同様であるが、皇帝が一
代で変わることが昔と違うのだ。

2.元とドルの攻防
 中国人民銀行の周小川総裁が30人委員会のメンバーであるが、
その周総裁がIMFのSDR債を提案している。しかし、これは周
総裁の案というより、30人委員会での議論を通じて出た案である
と見ている。そのため、周総裁の提案したIMF債は、何の抵抗も
無く実行されることになる。この30人委員会にはガイドナー財務
長官やバーナンキFRB議長、サマーズNEC議長など米要人もメ
ンバーである。このため、周総裁の案は事前に知らされていた。
日本では世界的な問題を議論している30人委員会の情報が殆んど
出ないのが不思議である。

このIMF債を5兆円も買い、中国の実力を見せたように見えるが
、中国政府はこの周総裁の一連の行動を中国政府の見解ではないと
述べている。

中国外務省の何亜非次官は7月5日に訪問先のローマで、ドルに代
わる新たな基軸通貨の創設構想について「学界で議論されているだ
けで、中国政府の立場ではない」と表明し、当面、ドル基軸体制は
揺るがないとの認識を示した。

中国は現在7000億ドル以上という大規模な米国債等の米公共債
を持っている。この米国債の値下がりは、大きな損失を招くことに
なる。ロシアは高々1000億ドルの米国債しか持っていないので
米ドルの基軸通貨を破壊する提案をできるが、中国は自国の持つ米
国債の損失を最低限にするためにロシアの提言に乗ることができな
い。

もう1つ、米国との交渉を有利に進めることができるために、曖昧
な対応をする必要が出ている。5月にガイドナー財務長官が中国と
の交渉で直接中国に出向き、中国は元の切り上げを否定した。その
代わりに、今後も継続的に米国債を買うことで米国との交渉をまと
めたようだ。

米国は米議会から非難のある中国人民元の為替操作を現在も安め誘
導をしているが、このことで中国からの輸入品を止めることもして
いない。中国は米国が発行する米国債を一定量を購入している。
しかし、中国は長期米国債を売り、短期国債を購入するという作戦
に出てきている。ドルの暴落を予見して短期国債を中心に購入して
いるのである。また、金での外貨準備を積極的に積み増しているが
、この買取で金価格が上昇しているので、量的な拡大は徐々にしか
できない。

この中国の圧力で、オバマ米政権も野放図な米国債の発行ができず
に、3年後の財政赤字を半分にすると言わされている。しかし、現
在の米国の状態と国民皆保険の進行はそれを難しくしているように
見える。

どちらにしても中国と米国の通貨における攻防が起こっているよう
である。この問題は日本にも大きな影響を与える。日本は米国債を
6000億ドル規模も持っている。しかし、日本はドル通貨問題で
は全然、無視されている。国内に魅力的な投資先を持たない日本は
、米政権からも見透かされている。

3.軍事力増強
 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が
6月8日発表した2009年版年鑑で、中国の08年の軍事費が英国、フ
ランスを抜き、米国に次いで初めて世界2位となったことが明らか
にした。

中国の軍事費は推定849億ドル(約8兆1500億円)と前年に比べて
10%増えた。過去10年で3倍になるなど高いペースで拡大し、世界
全体の軍事費の5.8%を占める規模となったという。

このことからも米中が太平洋に向き合う大国として、その軍事力を
付き合わせる関係になっている。インド洋では、米国の海軍力は太
平洋に比べて弱く、徐々に中国海軍力がその実力を増強している。
この中国海軍の増強に危機感を持っているのがインド海軍である。

日本のシーレーン防衛は昔から議論されているが、具体的な防衛を
しないまま、インド洋唯一のデルガルシア島の米海軍力の庇護の下
に安住していたが、とうとう、インド洋では中国海軍のニコパル諸
島などの海軍基地ができて、中国は日本のタンカーをインド洋で攻
撃できる体制になってきている。

日本の現状では中国との戦争になれば、中東からのタンカーが通行
できなくなる。昔のABC包囲網と同じことになる。この対応策を
日本は検討もしていない。安全保障を無視すると大きな代償を払う
ことになるが、どうして国民の議論にならないのか大きな不安であ
る。

もう1つ、中国の東風21の核搭載ミサイルである。これも無視で
きない。通常戦力に空母も建設すると中国軍は述べている。この中
国にどう対応するのか、インド、日本、ロシア、東南アジアは考え
るべき時期に来たと思う。

北方4島返還が実現する前に、中国が日本を属国にする可能性を否
定できない軍事的な脅威があることを忘れるべきではない。それに
比べるとロシアの極東軍は脅威ではなくなっている。ロシアとの友
好関係は対中国関係では重要になっていると見るがどうであろうか?

4.中国社会の問題点
 新疆ウイグル自治区の暴動は、中国社会にある少数民族問題が解
決されていないことを示している。チベット問題といい、このウイ
グル族問題といい、漢民族が移住して現地に元からいる民族より多
いためと、移住した漢民族も何代もいる為に元の場所に戻ることが
できないため、軋轢が大きくなっている。もう1つが、漢民族が多
いので自治区といいながら、その書記長は漢民族か漢民族との混血
がなっている。中央集権体制である中国は、省長・書記長などは中
央からの指名である。

異民族支配体制は難しいので、このような自治区をうまく統治でき
るとチベット自治区の書記長であった胡錦濤国家主席のように共産
党上層部から認められることになる。あくまでも共産党内での能力
主義社会であるのが中国である。

今回の暴動は、6月下旬の広州での玩具工場従業員がウイグル族の
出稼ぎ従業員を襲って2人が死亡したことがきっかけになった。工
場での勤務態度がウイグル族人の方が良いために、漢民族の工員が
先に解雇されたことで、根に持った漢民族がウイグル族を襲ったよ
うである。

このような民族問題が今後、どう解決されるのかが中国の安定性を
決めることになる。

もう1つが、社会保障制度の完備が問題である。中国政府は国有企
業に対して、株式上場時に新規発行株の10%分を公的年金の財源に
拠出させることを決めたというように社会保障制度の不備がある。

このため、将来保証がない国民は貯蓄を増やして将来への備えをす
る。この過剰な貯蓄が投資資金となり、世界に押し寄せることにな
る。失業すると失業保険もないし、年金も国営企業や国の機関以外
では公的年金はない。

社会保障制度の整備が無いために、失業率がある限界点になると暴
動など社会不安を起こすことになる。

民主主義ではないために自由な意見が言えないことで、不満が暴動
に結び付きやすい。

5.日本の対応
 中国との関係は貿易面や観光面で友好的な関係を作るしかないが
、軍事面、民生面などには警戒をする必要もある。ASEAN+3
を発展させた東アジア共同体の構築や東アジア共通通貨などの推進
には日本と中国の友好関係を築かないと構築できない。欧米諸国の
時代が過ぎ去り、アジアの時代が来ている。この時代を作るのは日
中印の3ケ国の政治的な行動で決まる。

しかし、中国への警戒も必要である。特に安全保障の問題が大きい
。空母などを持つ計画の遠洋海軍を構築している中国軍の動きは大
いに警戒するべきである。日本一国で中国と対峙することは不可能
であるので、インド、ロシア、オーストラリアなどとの共同安保体
制を取ることが必要になっているように感じる。

というように中国との関係は当分難しい関係の中で、友好的な関係
と安保体制をどう築くか、日本に付き付けられた課題は多い。

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中国の新車販売、600万台突破 1〜6月17%増、半期で初の世界一

 【広州=阿部将樹】中国の2009年上半期(1〜6月)の新車販売
台数(商用車含む、中国内生産分のみ)は609万8800台と前年同期比
17.7%増加し、過去最高を記録した。上半期で600万台を突破したの
は初めて。1月から6カ月連続で米国を上回る販売台数を記録して
おり、半期ベースで初めて世界最大の自動車市場に浮上した。

 中国国営の新華社通信が9日午前、伝えた。政府が1月下旬に講
じた小型車減税など複数の消費刺激策が奏功し、中国の自動車市場
は活性化が鮮明になっている。販売店には平日でも多くの顧客が訪
れ、販売好調の一部のメーカーは在庫不足の状態になっている。

 日本勢では、日産自動車の中国合弁会社、東風日産乗用車(広東
省)の今年上半期の販売は22万5074台の41%増と急伸した。現在の
中国市場では比較的価格の安い小型車が売れ筋の中心となっており
、このクラスの車種を豊富にそろえるメーカーが軒並み販売を伸ば
している。(12:43) 
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中国国有企業、株の1割を公的年金に拠出 社会保障の原資に 

 【重慶=戸田敬久】中国政府は国有企業に対して、株式上場時に
新規発行株の10%分を公的年金の財源に拠出させることを決めた。
これまで実施した分も対象で、近く上場企業の株主に対して計84億
株、639億元(約8900億円)の拠出を求める。株式拠出の義務づけに
より社会保障制度の要である年金の拡充を急ぐとともに、株式市場
の需給引き締めも狙う。 

 中国では公的年金は地方政府が手掛けており、農村地域を抱えて
資金余力が少ない内陸地方では公的年金のカバー率や給付水準が低
い。年金制度が未整備だと将来に不安を抱き、消費促進・内需拡大
の足かせになり、社会不安の火種にもなる。国有企業に年金財源を
拠出させることで早期拡充をめざす。 (15:43)
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中国への直接投資、5月は17.8%減 8カ月連続マイナス 
 【北京=高橋哲史】中国商務省は15日、5月の海外から中国への
直接投資額(実行ベース)が前年同月比17.8%減の63億7900万ドル
(約6300億円)だったと発表した。減少率は4月の22.5%より縮小
したが、8カ月連続のマイナス。世界的な金融危機をきっかけに減
少した対中直接投資が回復する兆しはまだ出ていない。

 商務省の姚堅報道官は同日の記者会見で「手続きの簡素化などを
通じて良好な投資環境をつくりたい」と述べ、外国企業の対中投資
を促していく考えを強調した。

 1〜5月の累計は前年同期比20.4%減の340億5000万ドル。減少率
を地域別にみると、中部地区が35.7%減ったほか、西部地区も30.2
%減と全国平均を大きく上回った。 (01:16) 
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【中国】4月末までに3千億元支出、約4兆元の景気対策で
5月25日8時30分配信 NNA

 国家発展・改革委員会(発改委)はこのほど、今後2年で約4兆元
(約57兆円)に上る景気対策についての途中成果を発表、4月末まで
に約3,040億元を支出したことを明らかにした。重点投資7分野のう
ち「鉄道・道路・空港の整備」が全体の4割近くに上った。今後、景
気対策の第2弾として中小企業支援が盛り込まれるとの見方も出てい
る。【北京・西原哲也】

 発改委によると、政府は昨年第4四半期に1,040億元、今年第1四半
期に1,300億元を支出。さらに4月末までに、3回目となる700億元を
各地方に支出し、計3,040億元の財政出動を行ったとしている。
 
 投資項目の内訳は◇安価に提供できる住宅建設◇農村の水道・電
気など公共インフラ◇鉄道・道路・空港の整備◇医療衛生・教育文
化の社会事業◇省エネ・生態系保護関連事業◇創造型産業の創出・
産業構造の調整◇四川大地震の復興事業――の7項目。
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中国企業の景況感、1年ぶりに改善 4〜6月期 

 【北京=高橋哲史】中国国家統計局が9日発表した4〜6月期の
全国企業景気指数は前期に比べて10.3ポイント改善の115.9となった
。企業景気指数の改善は2008年4〜6月期以来、1年ぶり。政府が
昨年11月に打ち出した4兆元(約54兆円)の景気刺激策の効果が表
れ、製造業を中心に景況感の改善が鮮明になっている。

 企業景気指数は全国の約2万社を対象に実施した生産・経営状況
に関するアンケートに基づいて算出する。日銀の企業短期経済観測
調査(短観)に相当する。

 景気指数は金融危機の影響で昨年7〜9月期から急激に悪化。今
年1〜3月期には1998年の調査開始以来の最低となる105.6まで落ち
込んでいた。 (00:40)
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中国、鉄鋼を緊急減産 各社に政府命令「余剰生産能力3割」
2009/05/19 
 【上海=下原口徹】中国政府は国内の鉄鋼各社に減産の緊急命令
を出し、生産調整に乗り出した。鉄鋼業界全体で約3割の余剰生産能
力があると指摘。減産命令に従わない場合は罰則を適用する。中国
では鉄鋼輸出が落ち込み内需も伸び悩むなかで、鉄鉱石や鋼材の在
庫が積み上がっており、深刻化する需給のミスマッチを解消するの
が狙いだ。

 中国工業情報化省が大手鉄鋼メーカーや中国鉄鋼工業協会、地方
政府の工業管理部門に需要減に対応して減産するよう緊急通達を出
した。中国政府が鉄鋼の緊急減産命令を出したのは初めて。(07:00) 
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中国の銀行融資、6月も大幅増 1〜6月で100兆円、08通年の1.5倍 

 【北京=高橋哲史】中国人民銀行(中央銀行)は7月8日、6月の
人民元融資の増加額が1兆5304億元(約21兆円)になったと発表し
た。1〜6月の累計は7兆3667億元(約101兆円)で、早くも2008年
の通年実績の1.5倍に達した。融資急増がバブルにつながるとの懸念
があり、市場では「人民銀が融資抑制に乗り出す」との憶測も出て
いる。

 人民元の融資増加額は3月に1兆8900億元と単月ベースで過去最
高を記録した後、2カ月連続で1兆元を下回り、いったんは落ち着
く気配をみせていた。6月の急増を受け、人民銀や銀行業監督管理
委員会(銀監会)は融資審査を徹底するよう銀行への行政指導を強
化している。 (01:21) 
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新機軸通貨の創設、「政府の立場ではない」 中国外務次官 

 【北京=高橋哲史】7月6日の中国国営新華社によると、中国外務省
の何亜非次官は5日に訪問先のローマで、ドルに代わる新たな基軸
通貨の創設構想について「学界で議論されているだけで、中国政府
の立場ではない」と表明した。当面、ドル基軸体制は揺るがないと
の認識を示した。

 何次官は8日からイタリア中部ラクイラで始まる主要国首脳会議
(サミット)に出席する胡錦濤国家主席に同行している。金融市場
では中国がサミットの場で基軸通貨の問題を正式な議題として取り
上げるよう求めるのではないかとの憶測が流れていた。

 何次官は「ドルは世界で最も重要な準備通貨であり、当面そうあ
り続ける。それが現実だ」と強調。中国人民銀行(中央銀行)の周
小川総裁が今年3月に示した国際通貨基金(IMF)のSDR(特
別引き出し権)を基軸通貨に育てる構想はあくまで私的な構想にす
ぎないとした。 (01:44) 
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中国、SDR建てIMF債を購入へ ドル不信の表れ? 

 中国国営の新華社は6月5日、中国政府が外貨準備を使って国際
通貨基金(IMF)の発行する債券を最大500億ドル(約4兆9000億
円)購入すると伝えた。債券はIMFの準備資産であるSDR(特
別引き出し権)建てになる見通し。IMF債の購入を通じて、ドル
に偏った外貨準備の運用を多様化する狙いもあるとみられる。

 金融危機で途上国支援の資金が足りなくなっているIMFは、先
月27日に創設以来初めて債券を発行すると発表した。既にロシアが
最大100億ドル分を購入する考えを表明。中国はロシアに続く購入表
明となる。

 SDRはドル、ユーロ、円、英ポンドの4通貨で構成する合成通
貨単位。IMFが金やドルなどを補完する二次的な準備資産として
1969年に創設した。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は3月
、SDRをドルに代わる基軸通貨に育てる構想を発表。ドルの信認
が揺らぐ中で、にわかに注目を集めている。 (20:22) 
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中国、人民元上昇を容認せず 国内輸出企業の支援策

 【北京=高橋哲史】中国政府は世界的な経済危機で苦境に立つ国
内輸出企業向けの新たな支援策をまとめた。人民元相場の安定を維
持する方針を盛り込み、元相場の上昇を容認しない姿勢をにじませ
た。5月31日からのガイトナー米財務長官の訪中を控え、中国とし
て「元相場の安定維持」が譲れない一線であることを示す狙いもあ
るとみられる。

 新たな輸出企業の支援策は6項目からなり、温家宝首相が主宰した
27日の国務院(政府)常務会議で決定した。輸出代金が焦げ付いた
場合に損失を補てんする短期の輸出信用保険について、今年の引受
枠を840億ドル(約8兆円)とすることや、輸出税の軽減を一段と進
めることなどを盛り込んだ。(09:25)
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中国主席、サミットを欠席 新疆への対応を優先 
 【北京=佐藤賢】中国外務省は7月8日、イタリアを訪問中の胡
錦濤国家主席が予定を切り上げ帰国すると発表した。大規模な暴動
が起きた新疆ウイグル自治区の問題への対応を優先するため。イタ
リア中部で開く主要国首脳会談(ラクイラ・サミット)の関連会合
には戴秉国国務委員が出席する。 (08:26)
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中国、地方にも「バイチャイニーズ」呼びかけ
 中国政府が景気刺激策の実施に伴う政府調達で、中国製品を優先
的に購入するよう指示する通達を出したことが波紋を広げている。
米景気対策に盛り込まれたバイアメリカン(自国製品優先購入)条
項を厳しく批判した中国だが、自らも「バイチャイニーズ」を義務
付けてきた実態が浮き彫りになりつつある。

 その通達は5月下旬、目立たない形で全国の地方政府に発出され
た。「公共投資に伴う政府調達では、国内で手に入らないか、合理
的な条件で買えない場合を除き、中国の製品やサービスを購入すべ
きだ」。通達はこう明記し、バイチャイニーズと批判されても仕方
のない内容だった。(北京=高橋哲史)(07:00) 
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中国の軍事費、世界2位に ストックホルム国際平和研調べ 
 【ロンドン=岐部秀光】スウェーデンのストックホルム国際平和
研究所(SIPRI)が6月8日発表した2009年版年鑑で、中国の
08年の軍事費が英国、フランスを抜き、米国に次いで初めて世界2
位となったことが明らかになった。

 中国の軍事費は推定849億ドル(約8兆1500億円)と前年に比べて
10%増えた。過去10年で3倍になるなど高いペースで拡大し、世界
全体の軍事費の5.8%を占める規模となった。年鑑は「中国の軍事費
は大国志向を背景に経済成長とほぼ並んで増えている」と分析した。

 米国もブッシュ政権下で軍事費が拡大。08年は世界全体の41.5%
を占める6073億ドルに達した。イラク、アフガニスタン両国におけ
る米軍の戦費は累計9030億ドルに達したという。 (22:37) 
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中国・新疆の情勢で懸念を共有 日米外相が電話会談 

 中曽根弘文外相は7月9日朝、クリントン米国務長官に電話し、北
朝鮮による4日の弾道ミサイル連射について「日本にとって直接か
つ重大な安全保障上の脅威であり、容認できない」との認識で一致し
た。北朝鮮に出入りする船舶への貨物検査の実施などの追加制裁措
置を盛り込んだ国連安全保障理事会決議1874の全面的な実施の重要
性も確認。韓国も含めた連携を強化していくことも申し合わせた。 

 多数の死傷者が出ている新疆ウイグル自治区の情勢では、懸念を
共有するとともに、今後の事態の推移を注視していく考えで一致。
国際原子力機関(IAEA)次期事務局長に天野之弥(ゆきや)在
ウィーン国際機関日本政府代表部大使が当選したことを受け、IA
EAを積極的に支援していくことでも合意した。 (11:15)
==============================
広東の工場衝突、ウイグル族襲う容疑者15人拘束 

 【北京=多部田俊輔】中国広東省韶関市で6月下旬に漢民族の玩
具工場従業員がウイグル族の出稼ぎ従業員を襲って2人が死亡した
事件に関与したとして、同市公安当局は7日までに容疑者15人を拘
束した。中国国営の新華社が伝えた。同事件は5日夜に新疆ウイグ
ル自治区ウルムチで発生した大規模な暴動の引き金となった。

 容疑者15人のうち3人が新疆ウイグル自治区出身という。ウイグ
ル族の男性が漢民族の女性に乱暴をしたというデマが広がったのが
衝突の原因とされ、15人のうち2人はデマを流した容疑で拘束され
た。 (01:29) 
==============================
中国1人当たりGDP初の3000ドル突破「発展の新段階に」
2009.3.7 17:51
  中国の国営新華社通信は7日までに、中国の1人当たり国内総生
産(GDP)が2008年に3266ドル(約32万1000円)
となり、初めて3000ドル台を突破したと伝えた。これについて
中国国家統計局では、3000ドルに達すると産業構造や消費形態
が変化し中国経済と社会は発展の新段階に入ると分析している。

 中国の名目GDPは07年にドイツを抜いて米日に次ぐ世界3位
となった。しかし昨年末の人口は13億2465万人で、1人当た
りGDPの水準としては100位以下。依然として貧富の格差が大
きいことが課題となっている。  中国の1人当たりGDPは03
年の1000ドルから06年に2000ドル超えた。1000ドル
から3000ドルまでわずか5年だった。新華社によると日本は
11年を要したという。(上海 河崎真澄)

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