3324.農耕の始まり



NHKのサイエンス・ゼロで、「農耕の始まり」を放送していた。
                   Fより

人類が発生してから少なくとも300万年をへていることが確実とされ
ているが,その大部分の期間を人類は狩猟と採集で生活していた。
農耕が始まったのは今からおおよそ1万年前,最終氷河期が終わり
世界の気候が温暖になり,植物や動物が急速に変化したころであっ
た。

1万1千年前の農耕以前であるトルコ南東部ギョベクリ・テぺ遺跡
では、間違いなく共同体の儀礼行為であったといえるような非常に
興味深い証拠が得られている。共同体の多くの人たちが一箇所に集
まり、そのための食料が大量に必要であったと思われる。このため
、この定住民と集まった人たちの食料問題で農耕が始まったと総合
地球環境学研究所の佐藤洋一郎教授は見ている。

人間が農耕を始めたのは1万年前であり、トルコのアナトリア地方
の麦と中国の長江の稲である。

一度、農耕が始まるとその地域には野生動物は近づかないために、
仕方なく農耕を続けるしかないことになった。洪水や地震など自然
災害が多発しているのが大和川・今池遺跡の水田跡で見える。この
遺跡は弥生時代前期から近世までの長い期間のことが分かる。

アフリカの狩猟民族は週2.5日で1日6時間しか働かない。非常
に優雅な生活ができたが、農耕民族は365日休まずに働く必要に
なる。

また、中央アジアでは農耕によって塩害を起こして耕作ができなく
なる土地も出てきている。このように農耕を始めたことで環境問題
が起る。自然を人間は作り変えている。このため、自然を破壊する
ことになった。

昔の気候を調べるのに、喜界島のハマサンゴの化石を見ると分かる。
ハマサンゴはストロンチュームとカルシュウムを海水から摂取して
基礎を作っている。このハマサンゴは、ストロンチュームを温度が
下がると多く摂取する性格がある。この化石を採取してストロンチ
ュームの量を各年代毎に計ると今25度Cであるが、5000年前
は26.5度Cになり、4000年前は24度Cになっている。
長江文明が滅亡したのも4000年前であり、温度低下で農耕に影
響が出た可能性がある。

さまざまな環境変動のなかで,人類は新たな食糧源を求めて、これ
までの生活様式を改めていかねばならなかった。そしてアジアの東
(長江の稲)と西(トルコの麦)の地域で,植物の栽培化が実現し
,農耕が始まったというのである。


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