3267.米国も時価会計緩和?



グローバル・スタンダードとして積極的に導入を推進していた米国
が時価会計を緩和するという。その検討。  Fより

米国財務会計基準審議会は、金融機関が「売買目的」で保有する金
融資産の評価額について、市場取引に基づく時価評価でなく、金融
機関の独自の見積もりで決められる対象を広げることなどが柱の時
価会計の緩和策を決定した。

1―3月期決算から新基準が導入され、証券化商品など手持ちの金融
資産の市場価格が大幅に下落しても、損失を計上しない。このため
、金融機関は評価損を圧縮できるため、損益は改善するが財務内容
が不透明になる。

米国は1990年代、日本のバブル崩壊時、銀行の不良債権が透明
化できないと時価会計導入を日本に強制していた。その米国が証券
化バブル崩壊して、時価会計を止めるという。不良債権透明化をす
ることが重要という米国の主張を取り下げた格好になっている。

ということは、米国の銀行が抱える不良債権は見えなくなり、日本
と同じように10年以上の時間を掛けて不良債権を解消することに
なる。日本の「失われた10年」をバカにしていた米国エコノミス
トが、それと同じことをするしかないようだ。

そして、4月のシティーの決算を見ると良く分かる。消費者向けロ
ーン部門が大幅赤字になっているが、証券投資銀行は大幅黒字にし
ている。価値の無い証券化商品の値段を大幅にUPさせて黒字化し
たことが分かる。

クルーグマン教授によると、米経済は日本の「失われた10年」と似
た境遇になり、「金融機関の損失処理には時間を稼ぐことが必要」
と容認した。そして、当時日本を悪く言ったが、自分たちも同じこ
とをせざるを得なくなったと告白している。

米政府は現在、19の米主要金融機関に対する健全性審査をしている
が、あまりにも銀行の内容が悪いので時価会計を緩和せざるを得な
かったと見る。米国は公的資金を70兆円しか投入していないが、
現時点の証券化商品の損失だけで400兆円以上、その上に消費者
ローン、企業債務が景気悪化で不良債権化しているので、その処理
を含めると、私は米国だけで1000兆円以上の損失になっている
と見ている。EUも同程度の1000兆円程度の損失があるので、
世界的には2000兆円の損失になっているように感じる。

日本のバブル崩壊時の損失が200兆円であり、GDP500兆円
で、10年程度の時間が必要でしたから、米国は日本の3倍のGDP
1500兆円で、日本の5倍以上の損失を埋めることになるので、
15年程度の失われた時間が必要になることが明白である。

同様に欧州も15年以上の時間が必要になるので、この欧米は世界
の経済的な中心から外れることになる。その代わりをするのが日本
、中国、インドなどアジア諸国になる。

そして、日本のお年寄りの1200兆円以上の貯蓄を狙った詐欺も
どき行為を行うという。証券化商品は実質的に価値が無いが、あた
かも価値があるようにして、それを日本に大量に売りつけようと悪
巧みする米大手資産運用会社が現れた。日本人はその証券化商品を
買ってはいけないし、そのような詐欺行為を日本政府は許してはい
けない。

さあ、どうなりますか??

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米、時価会計緩和を決定 1―3月期決算から導入 
 【ニューヨーク=山下茂行】米国の会計基準を決める米財務会計
基準審議会(FASB)は2日、時価会計の適用除外となる金融資産
の対象を広げる緩和策を決定した。1―3月期決算から新基準が導入
され、証券化商品など手持ちの金融資産の市場価格が大幅に下落し
ても、損失を計上しなくて済むケースが増える。

 米国基準を適用している日本企業も対象になる。金融機関は評価
損を圧縮できるため、損益は改善するが、財務内容が不透明になる
との懸念も根強い。

 FASBが決定したのは3月中旬に提案した時価会計の緩和策。主
に金融機関が「売買目的」で保有する金融資産の評価額について、
市場取引に基づく時価評価でなく、金融機関の独自の見積もりで決
められる対象を広げることなどが柱だ。 (01:27)
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米経済は日本の「失われた10年」と似た境遇 クルーグマン教授
 昨年のノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のポール・
クルーグマン教授は13日、ニューヨーク市内で講演し、米景気につ
いて「1930年代の大恐慌以来の厳しさ」との認識を示した。日本の
失われた10年と「似たような境遇に直面している」との見方も表明
し、米経済の深刻さを強調した。

 同時にこのほど緩和が決まった時価会計については「金融機関の
損失処理には時間を稼ぐことが必要」として一定の評価を与えた。
日本では不良債権の実態把握が遅れたことが長期の経済停滞を招い
た一因とされ、米国の時価会計の緩和も金融危機の全体像の把握を
遅らせるとの見方があるが、クルーグマン教授は当面の危機回避の
ために容認する姿勢を示した。(ニューヨーク=山下茂行)(13:34) 
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米不良資産購入基金の資金、日本から1000億円 米運用大手 
 米政府が民間投資家と共同で金融機関の不良資産を買い取る計画
に、日本の資金が投入される見通しとなった。米大手資産運用会社
、ブラックロックが日本の機関投資家から約10億ドル(約1000億円
)をメドに資金を集めて「官民投資基金」に出資する。ローレンス
・フィンク会長兼最高経営責任者(CEO)が14日、日本経済新聞
記者と会見し明らかにした。 

 「官民投資基金」はガイトナー米財務長官が打ち出したオバマ政
権下での米金融安定化策の柱。住宅価格の下落を受けて値下がりし
ているローン債権と証券化商品を買い取ることで金融機関のバラン
スシートから切り離し、金融機関への信頼回復をめざしている。 
(07:02)
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米金融大手、健全度で4分類 米政府検討、問題行に資本注入
 米政府が19の米主要金融機関に対する健全性審査(ストレステス
ト)を終えた後、経営の健全度による4分類の対応を検討しているこ
とが明らかになった。健全度が最も高いグループの公的資金返済を
容認する一方、健全度が低いグループについては追加資本注入など
の公的救済に踏み切る。米政府の支援がさらなる大型再編につなが
る可能性もある。

 複数の国際金融筋が明らかにした。審査対象はシティグループ、
バンク・オブ・アメリカなど。米政府が2月に発表した金融安定化策
の一環で、ほぼ作業を終えつつある。5月初旬にも結果の一部を公表
する方針だ。経営再建中のシティなどの扱いが焦点になる。(10:27
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米金融機関、業績悪化に一服感 1―3月、超低金利など下支え 
 【ニューヨーク=財満大介】米金融機関の2009年1―3月期決算で
、市場予想を上回る結果が続いている。米シティグループは6四半期
ぶりに黒字に転換した。住宅ローンを裏付けとした証券化商品など
の損失がピークを過ぎ、証券部門が復調。超低金利政策などの下支
え効果もあり、業績悪化に一服感が生じている。だが今後は景気悪
化に伴う融資の焦げ付きが本格化するため、まだ予断を許さない。

 大手金融機関の事業は、個人や企業にお金を貸し出す銀行部門と
、証券の売買やデリバティブ(金融派生商品)業務を手がける証券
部門に大きく分かれる。1―3月期の業績を支えたのは証券部門だ。
(08:30) 
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金融情報(シティの黒字と株急落)【nevada】
【シティ】は1−3月期で1600億円もの黒字になったとの決算
を発表しましたが、株価は9%急落の$3.65で終わっています。
なぜでしょうか?
答えは簡単です。
今回の黒字決算を金融専門家は誰も信用していないからなのです。

今回の黒字決算内容を見ますと以下のようになっています。

合計1,593億ドル

1)クレジットカード部門 +417億ドル(1年前 +1226億ドル)
2)消費者向けローン部門 −1226億ドル(1年前+  52億ドル)
3)証券投資銀行     +2833億ドル(1年前−6357億ドル)
4)資産運用部門     + 261億ドル(1年前+ 294億ドル)

これから分かりますことは、1年前に比べ≪クレジットカード部門
≫の黒字が819億ドル、≪消費者向けローン部門≫は1278億
ドル落ち込んでいるということです。

即ち、この【一般消費者】部門を併せますと、2097億ドルもの
<マイナス要因>になったことが分かります。

これだけのマイナス要因を打ち消したものが≪時価評価先送り≫です。
証券投資銀行部門で9190億ドルもの<プラス>要因となってい
るのです。

実際には部門別の詳しい内容が公表されていませんので、
この<9190億ドル>の詳細は分かりませんが、一般的に証券化
商品の時価は事実上<ゼロ>と言われており、本来なら数千億ドル
もの損を計上してもおかしくはなかったのです。

今回、急遽決められました【いかさま会計:時価会計先送り】で、
表面上の決算が好転しているように見えるだけであり、このため、
今回【シティ】株が売られたものなのです。

今や金融機関の決算は表面からは分からない状態になっており、
今後突然巨額の損が表面化することもあり得、専門家は「金融株へ
は手出し無用」としています。

*因みに今日更に2つの地銀が破たんし、今年に入り24行が経営
破たんしたことになります。
時価会計を見送りましても経営実態がよくなるわけではないのです。



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