3071.次の産業革命は電池



次の産業革命が迫っている。その検討。   Fより

自動車が使う内燃機関から鉄道の電車などに使うモータに主役が交
代することは前々から、このコラムではモータの先生を取材し、記
事化してきたが、モータやその制御系の研究は完成して、電池の競
争にシフトしてきている。

2次電池の分野では、リチュームイオン電池とニッケル水素電池が
鎬を削っているし、メーカとしては三洋電機、東芝、松下、日立、
ソニー、川重、NEC、GSユアサなどがこの分野を研究している。
鉛蓄電池となると、新神戸、古河などの名前も浮かぶ。

しかし、電池のエネルギー密度は一番高い金属空気電池でも300
Wh/kgであり、リチュームイオン電池は180Wh/kg程度であり、石油の
15000Wh/kgで内燃機関の効率30%であっても、4000Wh/kgになるのと
比較すると、効率が10倍以上も違い、悪すぎる。しかし、石油のよ
うな効率を得ないと自動車にモータを搭載した電気自動車は主役に
はなれない。

産業革命は、エネルギー資源の交代で起こっている。木を燃やして
いた人間が、高温を得られるようにしたのが木炭であり、これでで
きたのが鉄である。次の産業革命は石炭であり、これで蒸気機関が
できて、鉄道や海運の効率が上がる。次の産業革命が石油であった。
小型の内燃機関を得て、自動車、飛行機などが誕生して、交通機関
の発展が現在を支えている。

しかし、石油の枯渇や価格の高騰で、電気にエネルギーの主役が代
わる可能性が出てきたが、自動車や飛行機にモータを搭載しても、
電池の性能が弱いために、その航続距離が短く、使い物にならない。

この解決には、どうしても電池の革新的な研究が必要になる。この
研究をトヨタが行うという。しかし、電池の原理である化学反応を
用いたイオン化では限界がある。どうか、画期的な原理を見つける
電池の研究をトヨタと京都大学などは、してほしいと思う。期待し
たい。

それにしても日本は、この系統の研究を昔から行っている。太陽電
池、燃料電池、リチュームイオン電池、ニッケル水素電池などで日
本は先頭を走っている。このため、次の原理の電池も日本から出て
くる可能性が高いと見ている。

電池だけは、電気技術者だけでは生まれない。化学者などの協力が
今までは必要であったが、今後の研究には材料物性の研究者や技術
者が必要になっているように感じる。

いろいろな研究が出てくるのを楽しみにしているが、NEDOやRITEで
は、このような研究は行っていない。トヨタなどの民間企業から出
てくるのであろうか??
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トヨタ、電池研究部を新設…金属空気電池などを研究
2008年6月11日 esponse
http://response.jp/issue/2008/0611/article110350_1.html

トヨタ自動車の渡辺捷昭社長は11日、東京で開いた「トヨタ環境フ
ォーラム」の席上、次世代2次電池の開発を強化するため、今月下旬
に「電池研究部」を新設すると発表した。

リチウムイオン電池よりはるかに高い性能をもつ電池の基礎開発に
取り組むもので、静岡県の東富士研究所に拠点を置く。当初50人の
研究員で発足、2年後には倍以上に増やす。

電池メーカーにとどまらず、「国内外の研究機関や大学の研究者な
どと広く連携する」(瀧本正民副社長)方針という。研究対象のイ
メージとしては「全固体電池」や「金属空気電池」などを挙げてい
る。 《池原照雄》
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空気亜鉛電池
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

空気亜鉛電池 (くうきあえんでんち)は、一次電池の一種で単に空気
電池とも呼ばれる。現在では主にボタン型電池として利用され、使
用時には電極に張られているシールを剥がして用いる。一度剥がし
たシールを貼り直して保存することはできない。

概要
正極に空気中の酸素、負極に亜鉛を使用するものを言う。電解液に
はアルカリ金属水酸化物が使われるが、現在では水酸化カリウムを
用いるものが主流。ドライタイプとウェットタイプ(現在はドライ
タイプのみ)が在る。

化学反応としては、
正極: O2 + 2H2O + 4e- → 4OH-
負極: Zn + 4OH- → Zn(OH)4 → ZnO + H2O + 2OH- +4e-
という反応である。電圧は1.35〜1.4V。


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