2918.金融危機回避の結果



米国の株価が高くなってきました。この理由を検討しよう。Fより

どうもおかしいと思いませんか??
金融混乱が拡大すると見ていたが、銀行の損失が想定の範囲に収ま
っている。FRBバーナンキ議長が時価会計を中止しようとG7経
済閣僚会議で呼びかけたが、それが合意できたという報道が無かっ
た。しかし、現実の状況を見ると、時価会計の停止が事実上行われ
ている。

その仕組みを英国の中央銀行イングランド銀行が示した。銀行が保
有する住宅ローン担保証券500億ポンド(10兆円強)を最長3年間、
信用度の高い英国債と交換し、銀行の資金繰りを支援するというの
だ。

この交換価格は、住宅ローン担保証券の簿価である。と言うことは
値下がりが著しい担保証券価格ではなく簿価相当の国債価格で会計
できるので、国債は値下がりしていないので時価会計にはならない
。これと同じ仕組みを欧米諸国の中央銀行が行っている。

銀行の時価会計を一時停止したが、それでも大幅な損失が出ている
。この原因は、住宅ローンの焦げ付きなど担保証券以外の損失が、
多数あるためで、もし、この損失に担保債権の時価会計で損失を出
したら、ほとんどの銀行は大幅な損失になるはずであった。

この処置は金融市場の混乱と信用収縮を止めただけで、まだ根本の
問題である担保証券の損失を穴埋めできている状態ではない。
しかし、担保証券の損失カバーをしないと、日本がバブル崩壊後回
復までに15年と言う長期を要したようなことになる。それを知っ
ていてもバーナンキ議長はそうせざるを得ないほど、銀行の状態が
悪いのである。

そして、英国も同様な状態であるし、その他EU諸国も同様なので
ある。しかし、その仕組みを知らない投資家は金融混乱は収まった
と株を買い始めている。欧米諸国は長期の停滞が確実になったのに
である。

英米金融機関の貸し渋りは当分続くことになり、欧米諸国の景気は
長期間に停滞することになる。欧米は金融産業が停滞するので、次
の儲ける産業として鉱業、農業を選択している。ヘッジ・ファンド
をけし掛けて、農産物価格や鉱物資源価格を大幅に上昇させている。
東、東南アジアを中心として作る工業製品の儲けを小さくする方向
で結託している。

普通、欧米の景気が後退すると資源価格は下落するはずが、大幅上
昇をしている。このことの意味を新興国需要増大と説明しているが
欧米景気がおかしくなると東アジアの景気も落ちることになる。よ
って、世界的な需要が落ちるのに、その部分の論理を無視した上昇
になっている。ここに、欧米の戦略性を感じる。

国内企業融資を主にしているドイツ金融業はあまり儲けていないの
で、被害は英米の金融業に比べて小さいが、次の産業として省エネ
ルギー産業を仕掛けている。このため、ドイツは経済的に強い。
これと同じ状況にあるのが日本である。この2ケ国が世界を引っ張
っていくことになるはずである。

このような欧米戦略を読んで、日本の戦略を考えることである。
金融混乱で、世界的な地殻変動が起きている。

さあ、どうなりますか??
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英銀大手HBOS、損失6千億円か サブプライム関連
2008年04月28日22時19分(ASAHI)

 【ロンドン=尾形聡彦】英銀大手のHBOSが、サブプライム住
宅ローン問題に端を発した金融市場の混乱で、最大で約30億ポン
ド(約6200億円)の評価損を出す可能性があると28日、英主
要メディアが報じた。29日にも発表する見通しだという。スイス
金融大手のUBS、英大手のロイヤル・バンク・オブ・スコットラ
ンド(RBS)などに次ぐ巨額の追加損で、欧州でサブプライム関
連の損失が拡大している形だ。 

 HBOSはこれに伴い、40億ポンド(約8300億円)の増資
を検討しているという。同社は住宅金融大手ハリファクスと、バン
ク・オブ・スコットランドが合併して01年に発足した。
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欧米22金融、増資12兆円・昨年下半期以降、資本欠損補う
(nikkei) 
 【ニューヨーク=松浦肇】米シティグループなど欧米の主要金融
機関が普通株や優先株の発行などを通じて財務体質の改善を急いで
いる。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン
)問題の深刻化に伴う自己資本の欠損分を補う狙いがある。昨年下
半期から発表した増資額は主要22社の合計で1200億ドル(約12兆4000
億円)程度に達し、同期間に計上した関連損失額(約2600億ドル)
の半分弱を埋める形となった。 

 損失計上は住宅担保ローンからLBO(借り入れで資金量を増や
した買収)融資など様々なローン債権に広がっているだけに、今後
も各金融機関は積極的に増資に踏み切る可能性が高い。自己資本の
不足は信用不安につながるうえ、日米欧の金融当局で構成する金融
安定化フォーラム(FSF)が今月発表した報告書でも早期の自己
資本拡充を求めている。 (11:18)
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ヘッジファンドへの資金46%減
(nikkei) 
 【ニューヨーク=米州総局】米ヘッジファンド調査会社ヘッジフ
ァンド・リサーチ(HFR)によると、1―3月期の世界のヘッジフ
ァンドへの資金流入額は前期と比べて46%少ない165億ドル(約1兆
7000億円)にとどまった。前期比の減少は2007年4―6月期以降4四半
期連続。減少幅は拡大を続けている。金融市場の混乱を受けて運用
成績が悪化したファンドが多かったことを反映した。 (18:21)
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米メリル、9800億円調達・米メディア報道、信用収縮で損失
(nikkei) 
 【ニューヨーク=財満大介】米大手証券メリルリンチが、社債と
優先株発行で約95億ドル(9800億円)を調達することが22日明らか
になった。米メディアが報じた。信用力の低い個人向け住宅融資(
サブプライムローン)に端を発する信用収縮で、巨額の損失を計上
したことを受け、財務基盤を強化する。
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バンカメ、77%減益・1―3月、サブプライム関連損失67億ドル 
(nikkei) 

【ニューヨーク=松浦肇】米大手銀バンク・オブ・アメリカが21日
に発表した1―3月期決算は純利益が12億1000万ドル(約1250億円)
と前年同期比77%減少した。信用力の低い個人向け住宅融資(サブ
プライムローン)問題の深刻化に伴い、信用収縮に関連した損失が
約67億ドル発生した。赤字決算は回避したが、自己資本のうち普通
株など質の高い部分の比率(Tier1)が低下したため、バンカ
メは今後、資産の圧縮を急ぐ見通しだ。
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英中銀、10兆円強の金融支援策・最長3年信用補完 
(nikkei)
 【ロンドン=吉田ありさ】英国の中央銀行イングランド銀行は21
日、銀行の貸し渋りを和らげるための金融支援策を発表した。銀行
が保有する住宅ローン担保証券500億ポンド(10兆円強)を最長3年
間、信用度の高い英国債と交換し、銀行の資金繰りを支援する。

 政府と金融当局が信用を補完することで住宅ローン証券市場を支
え、銀行が個人や企業向け融資を抑制して実体経済に悪影響が広が
るのを防ぐ。 (20:48) 
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信用デリバティブ市場、62兆ドルに拡大
(nikkei) 
 【ロンドン=田村篤士】企業が破綻して社債などが償還されない
信用リスクを取引する信用デリバティブ(金融派生商品)市場の拡
大が続いている。業界団体の国際スワップ・デリバティブズ協会に
よると、みなし元本である想定元本は2007年末に62兆ドル(約6400
兆円)となり、1年前に比べて8割増えた。世界的な信用収縮で信用
リスクへの警戒度が高まるなか、金融機関がリスク回避に向けて活
発に取引している。

 信用デリバティブとは経営破綻などで債務が返済されない可能性
に備え、別の金融機関に保証料を払ってリスクを引き受けてもらう
取引。米国の住宅ローン問題を発端にした今回の信用収縮では金融
機関経営の不透明感が強まり、それに合わせて信用リスクを活発に
取引する流れが強まっている。取引の中心であるロンドン市場では
保証料率が跳ね上がり、企業の資金調達コストも押し上げた。
 (18:11) 


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