2863.米国の状況と大統領選挙



現時点、米国の状況から目が離せない。     Fより

米国のサブプライム問題の広がりで、景気後退が明確になっている
し、米国大統領選挙で、共和党マイケンと民主党クリントン、オバ
マの戦いで、米国がどうなるのか来年以降を予想できる。

まずは、景気の動向であるが、米小売り大手のリストラが加速して
いる。1月の売り上げが同月として過去最低の伸びとなるなど販売
不振に歯止めがかからないために、人件費を抑えるために人員削減
や不採算店舗の縮小の動きが相次いでいる。
それに追い討ちを掛けているのが、金融機関の融資基準の引き締め
で、企業のキャシュフローを厳しくして、赤字店舗からの撤退を促
している。設備投資も大幅になくなる傾向にあり、景気後退に拍車
を掛けている。

ポールソン米財務長官は金融機関の損失早期発見と金融機関の自助
努力による資本強化を促すとして、米国政府が公的資金を金融機関
に投入する考えはないと表明している。米財政赤字は拡大している
ので16兆円以外の景気対策を大々的に打てないでいる。

この米財政赤字の原因であるが、軍事費の膨張で、戦後4番目の高
水準にある。アフガン・イラクでの戦争経費が大きくのしかかって
いる。しかもアフガンでは兵力の増強が必要な状態になっている。

金融機関は、中東やアジア、中国の政府系ファンドからの資本増強
に頼るしかない。中国系政府投資会社は米ファンドと組み4000
億円基金を作るという。現時点ではポールソン米財務長官の思惑通
りに推移しているが、米国の内部には中国系政府ファンドへの警戒
感が高まっている。中国も米国内の雰囲気を知って、今回は米ファ
ンドと組んだようである。

しかし、ブッシュ大統領の任期は後1年であり、住宅価格の下落が
2〜4年程度続くことを考えると、任期中、景気後退が続くことが
明確である。景気対策費もそれほどないとなると、次の大統領候補
に焦点が当たることになる。

共和党マイケン候補は、小さい政府を志向しイラク戦争を継続する
と言っている。民主党のクリントン、オバマ候補はイラクからの撤
退と言っている。国民皆保険というクリントン候補は大きな政府を
志向し、オバマ候補は保険制度は作るが負担できる人たちだけと言
うので中規模の政府となるようだ。

この内、軍事費を景気浮揚に回せるのが、オバマ候補だけであるこ
とがオバマの飛躍に繋がっていると感じる。クリントン候補の政策
では国民皆保険の原資に消えることになる。マイケン候補は現ブッ
シュ政権とあまり変わらないで、軍事産業を中心とした国家戦略に
なる。クリントン候補はベンチャーや金融を国家戦略の中心に持っ
てくるが、オバマ候補は若い世代を変革というスローガンで取り込
んだが、まだ明確な構想を感じない。3候補とも脱石油戦略は共通
であろう。

さあ、どうなりますか??
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米小売り大手、リストラ加速
(nikkei)
 【ニューヨーク=杉本晶子】米流通業界で人員削減や不採算店舗
の縮小の動きが相次いでいる。1月の売り上げが同月として過去最低
の伸びとなるなど販売不振に歯止めがかからず、決算期末越えを機
に固定費の削減が待ったなしとなったためだ。小売り大手シアーズ
・ホールディングスの最高経営責任者(CEO)が更迭されるなど
人事の刷新も加速。不振組を中心に再編が進むとの観測も浮上して
きた。

 1月は幅広い業種で減速が表面化し、消費が踊り場にあった昨年よ
り後退感が強まった。主要小売業の既存店売上高は前年同月比0.5%
増と、1月としては1969年以来最低の伸びとなった。雇用市場の悪化
や株式相場乱高下など悪材料が重なり、消費者心理に冷水を浴びせ
たため。(06:26) 
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米銀、融資基準の引き締め急増 1月のFRB調査(ASAHI)
2008年02月05日22時49分

 米連邦準備制度理事会(FRB)が4日発表した1月時点の米金
融機関の貸し出し状況調査によると、融資の基準を引き締めた銀行
が急増した。サブプライム問題による金融不安が、事業信用でもク
レジットクランチ(与信収縮)に波及する兆しをみせている。企業
の設備投資への悪影響や、減速している景気をさらに下押しするこ
とが懸念される。 
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財務長官、米金融機関の資本増強「速さ重要」
(nikkei)
 【ワシントン=実哲也】ポールソン米財務長官はワシントンで日
本経済新聞と会見し、信用収縮の広がりを懸念する声が市場で高ま
っていることについて「金融機関にできる最善のことは損失を素早
く明らかにし、資本を調達することだ」と述べ、米金融機関の資本
増強が経済回復に重要との見方を示した。公的資金の注入論では「
(ほかの国はともかく)米国には当てはまらない」と指摘、あくま
で自助努力による資本強化を促す考えを強調した。
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米財政赤字拡大、43兆円・予算教書提出 
(nikkei)
 【ワシントン=藤井一明】米国のブッシュ大統領は4日、2009年度
(08年10月―09年9月)の予算編成方針を示す予算教書を議会に提出
した。08、09年度の財政赤字はそれぞれ4000億ドル(約43兆円)超
の高水準で推移すると報告した。07年度には2000億ドルを大きく下
回るところまで縮小した赤字は一転して膨らみ、過去最高の04年度
(4130億ドル)に迫る。

 赤字額は08年度に4100億ドル、09年度は4070億ドルと予測した。
今回の予算教書はイラク戦費や社会保障費の増大などの懸案に加え
、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を受
け、急減速の恐れが強まる景気への対策をどう見積もるかが焦点だ
った。政府は先に減税を柱とする総額1500億ドル(約16兆円)の緊
急景気対策をまとめており、09年度に関連の費用を計上した。
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中国政府系ファンド、米社と4000億円基金・金融機関に出資 
(nikkei)
 【欧州総局】中国の政府系ファンド、中国投資有限責任公司
(CIC)が近く米投資ファンドのJCフラワーズと組み、40億ド
ル(約4280億円)規模の基金を創設することが8日分かった。業績が
悪化している金融機関に出資する。CICは米ファンドを経由した
間接投資とすることでリスクを軽減する狙いがある。

 8日付の英紙フィナンシャル・タイムズが報じた。欧米の大手金
融機関に相次ぎ出資する中東やアジアの政府系ファンドを巡っては
、各国で規制論が浮上している。CICはこれまで単独で米モルガ
ン・スタンレー証券などに出資してきたが、今回は米国のファンド
と組むことで政府系ファンドへの警戒心を和らげたい考えだ。
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米国防費、戦後4番目の高水準・09会計年度 
(nikkei)
 【ワシントン=丸谷浩史】米国防総省は4日、2009会計年度(08年
10月―09年9月)の予算案と、08会計年度補正予算案の詳細を発表し
た。09会計年度の国防費は5150億ドルと、国内総生産(GDP)に
占める割合は3.4%。第2次世界大戦後では朝鮮戦争(11.7%)、ベ
トナム戦争(8.9%)、湾岸戦争(4.4%)に次いで4番目に高い水準
となった。


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