西部警察を観る! 51〜75話

 

話数 副題 内容・感想 監督/脚本 壊れた車(内爆破) 死者
51 盗まれた青春 渡辺拓也/新井光
52 ギャングになった刑事 渡辺拓也/柏原寛司
53 特ダネの罠 長谷部安春/永原秀一
54 兼子刑事暁に死す

高校同窓会に出席するジン。そこで高校時代に親しかった速見あかねと再会して、ジンとあかねは急接近する。
一方大門軍団に、拳銃百丁の取引の捜査を本庁から命じられる。取引人はコウ・シュウゼンという人物、取引先は針尾組であった。大門軍団は取引に向かう針尾組を逮捕。そして針尾組の代わりに取引場所へ向かうが、コウは現れなかった。またもう一つの取引先である竜神会の取引にも、コウは現れなかった。
大門軍団の捜査でコウの代理人が元警官の速見、なんとあかねの父親であることが判明。速見の自宅を訪れていたジンが、知らずに捜査を漏らしていたのだった。大門はジンを捜査からはずす。裏切られたと思ったジンは、速見を追って独自に捜査を進める…

●今回はジン殉職の回。
●ジンが一人で取引を阻むシーンは、飛び込んで拳銃を放つジンをスローモーションで表現。銃弾を浴びるジンの迫真の演技に注目。
●迫真の演技でもう一つ注目したいのは、ジンの殉職を知ったあかねの演技。カメラもじっくりとあかねを捉えて、ジン殉職の悲しさを倍増させている。
●しかし、ジン殉職そのもののシーンは、案外あっさりしていたのが残念。やはりタツの殉職(30話)のインパクトが強すぎるのか?

長谷部安春/大野武雄 2(2) 1
55 新人ジョーの夜明け 小澤啓一/新井光
56 時間よ止れ!

西部署管内でバスの爆破事件が起こる。指紋から犯人は2週間前に横浜のデパート爆破事件の犯人と同一の井手であることを掴む。井手は高飛びした愛知で逮捕され、西部署に身柄を引き渡される。ゲンとジョーは井手の引き渡しのために名古屋に向かう。新幹線での護送中、ゲンとジョーは2人の不審な男に脅迫され、井手を奪い取られる。犯人達は新横浜で下車、逃亡。ゲンは犯人を追うが、途中で撃たれて重傷。
犯人は井手に爆弾を作らせるのが目的。西部署に脅迫電話がかかる。その後派出所が爆破される事件が起こる。犯人は西部署に100万ドルを要求。要求が通らない場合の爆破予告もする。そしてドル受渡しにジョーを指名する…

●派出所爆破モ現場の捜査モ西部署にかかる脅迫電話 というモンタージュの流れがスムーズすぎて、かえって緊迫感を生んでいる。リズムも良かった。
●犯人の一人・半沢を逮捕してジョーが連行するときに起きたハプニング(突然のトラックの衝突モ半沢逃走)は、実は大門軍団の作戦。途中まで視聴者も気付かない。これは今までのセオリーをいい意味で裏切ってくれて、かなりの意外感を出すことに成功している。
●あいかわらず爆弾処理のシーンは、絶対ぎりぎりで止めると分かっているものの、イキを飲んでしまう。これは時計の刻む音、大門達の汗ばむ顔、関係ない一般市民などをうまく組み合わせて編集しているからであろう。

小澤啓一/峯尾基三s 5(0) 1
57 挑戦

警視庁の射撃大会を目前に控えたリキは、ゲン、ジョーと共に射撃訓練をしていた。それを覗き見している不審な男・井原。井原は後に誘拐事件を起こし、身代金5000万円を要求。そして何故か金の受け渡しにリキを指名する。また、新宿駅で現金の受け渡しを指定。しかし井原のいいようにリキは新宿中を走り廻され、引きづり廻されてしまう。リキの体力が奪われたところを見計らって、井原はリキを襲い、現金とリキの銃が奪われてしまう。
井原はリキの銃の性能を調べ尽くした後に、なんと銃を西部署に返してしまう。一方都内某所で身代金をビル屋上からばらまく事件も起こす。全く犯人の狙いをつかめない大門軍団であったが、捜査が進むにつれ、警視庁射撃NO1であったリキを狙った犯行であることを掴む。

●今回はリキ中心の話。かなり格好良く描かれている。
●リキと井原の新宿駅での現金受渡のシークエンスのおいて、新宿駅構内ではライトを使わずに青っぽい画面を作り、ゲリラ撮影的な雰囲気を醸している(実際にゲリラ撮影だと思うが)。また走るリキを追うカメラワークなども含めて、ドキュメンタリー的なライブ感を出して、緊迫感を演出している。かなりの迫力を出している。
●川崎球場を借り切っての撮影がまたすごい! 最後リキが井原に撃たれながらも射程距離に近づくために前進するシーンは、アフレコでリキのメートルのカウントを入れることで、更なる緊張感を生み出している。リキかっこいい〜。
●井原を逮捕した瞬間の飛行機の轟音が渋すぎる。

渡辺拓也/柏原寛司 0(0) 0
58 狙われる 渡辺拓也/永原秀一・平野靖司
59 残った一発の弾丸 宮越登/柏原寛司
60 男の子守歌

西部署管内で発生した宝石強盗事件が解決。その押収された宝石を、タニとジョーが西部署から外事省への輸送の途中に、襲われて宝石が奪われてしまう。外事省職員の山口が、所長から宝石輸送の話を聞いて先日から省を休んでいた。山口の捜索を開始する大門軍団。更に指紋から今井・村岡の名が挙がる。
捜査によって山口が村岡を必死に探していることが分かり、仲間割れをしている事が発覚。そんな中、元愚連隊長・植松の経営する居酒屋で殺人事件が発生。殺人容疑で植松が逮捕されるが、タニさんは何故か植松に対して気まずそうに接している。その後大門が植松の家宅捜査で、植松とタニが過去に何らかの関係を持っていたことをつかむ。

●植松の居酒屋に、山口・村松をかくまう時のシーンで、山口・植松が居酒屋に入った瞬間ストップモーションになる。それから今井を含めた3人の手配写真へと切り替わり、大門軍団の街中での捜査にモンタージュされる。この写真をきっかけにした一連のショット切り替えがスムーズに流れていて、気持ちがよい。
●タニや情報屋トクの回想シーンを全て赤いフィルタをかけて統一。見ていて分かりやすい。更にバックを流れる音楽が悲しげで、映像に深みを増している。
●今回の画面構成は、人のアップを主体としてじっくりと対象を追うショットが多かった。シナリオも、刑事と元愚連隊の男気といった、任侠モノをベースに描かれていて、じっとりとした物語になっていた。しかし反面、セリフ回しがやや説明的で回りくどい印象が残ったのは残念。

宮越登/大野武雄 2(0) 1
61 暁の陽動作戦 長谷部安春/柏原寛司
62 危険な情報(ネタ)

保険調査員・佐山が廃車置き場で死体となって発見される。佐山は、最近相次いで起きた高級外車の盗難事件を独自調査していた。その際に事件に巻き込まれ殺された。大門軍団は組織ぐるみの盗難事件に結びつけ捜査を開始。手がかりは、頬に刺し傷のある男の写真のみであった。
捜査中のリューは情報屋・サブとばったり出会う。サブは元暴力団で、リューは東部署時代、サブの後見人となって足を洗わせていた。サブはお世話になった恩返しに、刺し傷の男の情報を提供した。解散した暴力団組員・沼部であることをつかむ。
ジョーが沼部を尾行中、高級外車を盗む瞬間を目撃、逮捕する。しかし黙秘を続け、肝心な情報が浮かび上がらない。そこでリューはまたサブと会い、危険な情報を仕入れることを頼む。サブは気が進まないがリューのためならと危険を承知で快諾。そしてついにネタをつかんだサブは電話でリューに伝えようとしたが、その時犯人グループに拉致されてしまう…

●リューがサブとそば屋にいて沼部の情報をつかむ時のシーンで、バック音で明らかに西部警察のテレビ放送の音が入っている。制作者側の遊び心が感じ取られる。フレームにテレビが入っていたらなお面白いのではなかったろうか。いや、さりげないところがいいのかもしれない。
●サブが拉致されてから脅迫電話がかかるシーンで、リューは電話を取ろうとした大門を尻目に先に電話を取る。この辺は気の利いたシナリオで、リューの焦りがこの行動で伺える。またこの後、サブの懇願モ録音したテープレコーダへのモンタージュは見事。
●大門が初めて口うるさい係長に反抗。言われて黙ってしまう係長の困惑ぶりの演技が良い。
●パトカーが川を越えるカースタントを、スローでバック音無しでショットが構成されていた。突然のショットに観る方は一瞬とまどうが、画面に釘付けになってしまう。
●大門が最後黒幕を逮捕するシーンは、手持ちカメラでじっくりと追い、大門と黒幕のアクションが展開。これによって、大門の怒りが抑えられない様子を表現することに成功している。

長谷部安春/峯尾基三 0(0) 1
63 生きていた刑事魂 宮越登/新井光
64 九州横断大捜査網!! 小澤啓一/永原秀一・新井光
65 博多港決戦!! 小澤啓一/永原秀一・新井光
66 17年目の誘拐 宮越登/宮下潤一
67 狙われた小暮課長 渡辺拓也/大野武雄
68 地獄からの使者 渡辺拓也/永原秀一
69 マシンX爆破命令 長谷部安春/新井光
70 チンピラブルース 長谷部安春/柏原寛司
71 燃える罠からの脱出 小澤啓一/宮下潤一
72 命をつなぐ鎖 小澤啓一/峯尾基三
73 連続射殺魔 渡辺拓也/永原秀一
74 出発(たびだち)

リューのパリ・インターポール試験合格通知が西部署に届き、吉報に大門軍団は盛り上がっていた。
その一方で、「銀行強盗をやらないとマンションが爆発される」という通報が捜査課に入る。大門軍団がそのマンションに到着した時、爆発が起こってしまう。通報者はまじめなサラリーマン・元山。事情聴取で元山は、ある男3人組に脅されて銀行強盗をやらされたと供述。卑劣な犯行に怒りを隠せない大門軍団は、その時使われた東南アジア製の拳銃の線から捜査を開始。水上の名が浮かぶ。
水上を張り込み中、逮捕のチャンスが訪れる。犯人はリューの方へ走るが、肝心のリューが合格に浮かれていたことが原因で逃がしてしまう。自分の不甲斐なさにショックを隠しきれないリューは、自分でまいた種を自分で解決するべく、大門軍団として最後の捜査に奮闘する。

●場面展開が非常にテンポがいい。特に張り込み中の水上を取り逃がした時の音響と編集にリズムが生じていて、観ていて小気味が良かった。
●リューの最終出演の会だけあって、話もそうだがカメラワークもリュー中心で展開している。
●リューとタニさんの屋台のシーン。ここでリューはショックを受けている。この時、屋台に八代亜紀の歌が屋台のラジオ音楽として流れているが、これがリューの気持ちをうまく表現していて良い効果を生んでいる。
●情報屋サブ(62話)の友情出演が観られる。この辺の脚本の気遣いはすばらしい。
●最後の金沢(黒幕)とリューの一騎打ちは、まさに西部劇を連想させる。意識的に作られたショットであろう。

渡辺拓也/新井光 0(0) 2
75 平尾一兵、危機一髪

イッペイは西部署の初出勤のその日、遅刻してまでナンパに熱中していた。喫茶店でナンパの続きをしていた時、その喫茶店の隣の銀行で強盗が発生。強盗犯は犯行後その喫茶店に侵入してしまう。イッペイは事件に巻き込まれてしまった。
大門軍団は喫茶店の前に対策本部を置き、万全の対策を立てる。犯人達はなぜか落ち着いた行動を見せ、大門の電話にもなめてかかる。
犯人は木暮課長の車・ガゼールを要求。ガゼールの低い車高を利用しての逃走を企てていたからだ。しかしイッペイの活躍もあって、人質を取って逃走という最悪の事態は免れた。こうして犯人達だけで計画的な逃走を開始して、それを大門軍団が追う。

●今回は、犯人が覆面をかぶったままでなかなか素顔を見せなかったり、計画自体も観ていてもよく分からない構造になっており、ドラマのサスペンス性が重視されている。特に字幕や時計による時間表限が、これに一層の拍車をかける。
●今回初登場のイッペイのキャラクター付けも重視されている。一言で表現すれば頭脳明晰な側面と女たらしの側面の対立であろう。特に頭脳明晰な部分では、犯人が覆面を脱いだ瞬間の静止画に、イッペイの見開いた目のショットをつなげて、彼の明晰さを演出している。
●ガゼールの車高を利用したカーチェイスは見事。シナリオ的に物すごく良いアイディアであったと思う。
●今回、捜査課の風景をそっくりそのまま対策本部のバスの中に移す。係長のコミカルな行動・反応が全体に貫かれている。

宮越登/柏原寛司 3(0) 0
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