西部警察を観る! 26〜50話

 

話数 副題 内容・感想 監督/脚本 壊れた車(内爆破) 死者
26 友情の捜査線

ガソリンスタンドが、女を含めた4人組に強盗に遭う。被害額は少額で、その頃頻繁に起こっていた強盗事件と関連する。そんな中二宮係長に、友人で大学教授である稲村から電話がある。喫茶店で話を聞くと、なんと犯人の一人は、稲村の娘・ヒロミであると告白。進学問題などでもめて、家出したのだった。娘を助けて欲しいと懇願する。しかし二宮は警察官としてあくまでも娘に自首を勧め、逮捕に向かう。大門軍団は改造拳銃の線から捜査を進め、犯人の一人・片岡を追う。実は片岡のねらいは、稲村を脅迫することであった。強盗事件はヒロミをだますためのカムフラージュで、本人は強盗の金でバリ島に行くものだと信じていた。しかし片岡は5000万を要求していた。現金受き渡しの時、稲村は撃たれてしまう。二宮は責任を感じ、独自の捜査を行い片岡を追う。

二宮係長中心の話。フレームのすみに映る二宮の姿が、今回かなり意識して細かく演出されていて、二宮の焦り・不安などをうまく画面に出している。また今回は、音楽の効果でかなりしっとりとしている中、手持ちカメラを多用してドキュメンタリー的なライブ感・緊迫感をうまく引き出している。演出的にかなり良い作品に仕上がっている。

村川透/新井光 2(0) 2
27 傷だらけの白衣 渡辺拓也/新井光
28 横浜ベイ・ブルース

前島と田山が、針尾総業(暴力団)の幹部・結城を撃ち殺すという事件が発生。大門軍団は前島と田山を追うが、同時に針尾総業も独自に二人を警察よりも先に探し出そうとしていた。大門軍団は、針尾総業が二人を追う理由として、針尾総業の拳銃密輸に絡んでいることをつかみ捜査に乗り出す。一方、タツは前島の女であったというユミを追っていた。そして少しずつ接することに成功。そんな中、針尾総業の下っぱが、田山を射殺。次に前島を追って、ユミのもとに近づく。タツが一瞬目を離したスキに、ユミは針尾総業に拉致されてしまう…

●最初の導入がかなり工夫されている。ユミを探すタツモ西部署に証人喚問として取調室にいる、針尾総業幹部の増田モ増田の回想シーン。このように映像でことの成り行きを説明するその方法が、かなりインパクト強く、思わず物語に引き込まれてしまう。
●タツが公衆電話で大門に連絡するとき、同じショットの後方でユミがさらわれているのが映る。タツは気付かないが、視聴者が気付くというパターン。構図的に秀逸。このような一つのショットで2つ以上の情報を入れてしまうというのはかなり難しい演出で、思いつきそうでなかなか思いつかないもの。いいショットを作っている。

澤田幸弘/柏原寛司 1(0) 2
29 島唄の子守歌

タニさんに襲われたと、西部署記者クラブへ訴えに来る女性・サユリ。タニさんは何が何だか分からないまま、記者達から攻撃される。実は、タニさんは睡眠薬を飲まされていたのだ。それを知らないタニさんは、はめられたことに対してすっかり刑事としての自信を無くしていた。大門軍団は、タニさんが過去に扱った事件を洗うが、タニさんは現場のキャリアが長く、なかなか手がかりがつかめない。そこで木暮課長は二宮係長をさそって、サユリの勤めるキャバレーへ行き、客のふりをして事件の動機を聞き出す。そこでサユリから、過去に父親が殺人を犯しタニさんに逮捕されていたことを告白。タニさんに父親の恨みがあったのだった。それを利用したのが暴力団針尾組。針尾組の拳銃密売を追っていたタニさんを、サユリの恨みを利用して殺させようとしていたことが発覚。

●最初の走るサユリとバックに流れる子守歌。そしてナレーションでモンタージュする様は、思わず画面にのめり込んでしまう。また、大門とタニさんの過去やサユリの過去などの、フラッシュバックの表現。ロングテイクの多用。などなど、今回は落ち着いたいい展開といい、考え抜かれた構図といい、かなり映画を意識した作品になっている。
●大門がアコの劇画のアシスタントをしている風景が、妙に印象に残る。

村川透/大野武雄 0(0) 0
30 絶命・炎のハーレー

爆弾を作っているのではないかというタレコミの電話が、タツとリキの非番中にかかる。現場に踏み込むが、タツをかばう形でリキが撃たれて、犯人に逃げられてしまう。リキは重態。タツはそれを自分のせいにしてやまない。知らせを受けた大門軍団は現場を捜査して、爆弾を作っていたのは光村と吉松であったことを掴む。昔、吉松が強盗事件を起こし、その時吉松の兄が東部署の秋口巡査に射殺されていた。その時の恨みを晴らすために、模範囚となって早く出所した吉松主犯の犯行であった。実際に、警ら中の秋口巡査のパトカーが爆発されて、秋口巡査が爆死する事件が発生。その事件の後、西部署に第二の爆破を予告するテープが届く。そのねらいは、吉松兄弟の計画した強盗事件を事前に東部署にタレ込んだ岸部であった…

●タツ殉職の回。タツは爆弾の仕掛けられた幼稚園バスを止めようとするが、後ろにいた吉松に邪魔されて運転を誤り転倒する。これが元でタツは瀕死の状態になりつつも、爆弾を処理。このときの瀕死のタツの演技が迫真! また爆発の瞬間、スローでタツが爆風にあおられる。息をのむ展開。そして殉職の瞬間も、舘の演技力のすごさをかいま見ることが出来る。
●舘だけでなく、今回演技力で注目したいのは、死の床にあるタツを見守る大門だ。しょげた顔、男泣きはすばらしくて、観ていてタツの死を改めて実感することが出来るという、見事な演技を見せつけてくれている。
●最後、タツの過去の映像に混じって、ハーレーに乗った顔色の悪いタツの映像も挿入されている。これはタツの幽霊的なものが連想できる。これがかえってタツの映像を印象づける働きを持っていると思う。

澤田幸弘/峯尾基三 4(1) 3
31 新人・リューが翔んだ!!

大門、タニ、リキ、ジンが、リキの全快祝いに飲み屋をはしごしていた。大門達はまだ殉職したタツが忘れられなく、どうしてもタツの話題が中心になってしまう。大門達の後をつけていた一人の男が目の前に現れ、突然大門達を慰めだし、そして次の後釜に期待するように忠告。しかし全然相手にされない。実はその男が、後釜であるリューであった。翌日、強盗事件が発生。財界の大物の息子(大学生)・笹森コウイチが、強盗に遭い殺される事件が発生。コウイチはかなりの軍事オタクで、拳銃と機関銃が盗まれた。そしてその銃を使った現金輸送車の強奪事件も発生。大門軍団が2つの事件を結びつけて捜査に乗り出したとき、リューは勝手に後をつけはじめる。そしてリューはまだ西部署配属前の身であるのに、単独で犯人逮捕に向かう。

●リュー初登場の回。とにかく事件よりも、リューの性格付けと、タツの死からまだ立ち直れない大門に、物語の焦点が当てられている。リューの性格付けとして、最初のシークエンスに特に集中していると言える。例えば、大門達に自分(リュー)のことを告げる機会を逃したり、箸がないのにカップラーメンを買ったり、勝手に西部署捜査課に入って木暮課長のブランデーを拝借したりなどの行動。

渡辺拓也/永原秀一 2(0) 3
32 俺の愛した小さい奴

総会屋・山科を殺した強盗犯・志村弘三を逮捕するために、志村の家族(妻・息子)の住むアパートに張り込みを始めるリキ。志村は元防衛隊で射撃のプロ。現在は政治結社新陽青年隊に入り、殺しの請負業をしていた。捜査するにつれ、山科の道路建設汚職が浮かび、志村に山科を殺す依頼をした運輸官僚が浮かぶ。一方、張り込み中のリキは、志村の息子・学と一緒に銭湯に行ったりプラモデルを作るなど、仲を深めていった。志村は家族と3年間連絡を絶っていて、学は父親が死んだものとして理解していた。だから一層リキを父親代わりとして、なついていたのだった。志村は事件に深く関わりすぎたとして、新陽青年隊の首領・黒川によって命を狙われる。そして志村は、リキの張り込むアパートに現れる…

●突然、リキの張り込みから始まる。そして記憶の糸を辿るように過去が挿入される。大胆でしかも分かりやすい展開になっている。
●物語上の真犯人である志村がなかなか登場しないというのは、今までと変わった展開と言える。
●張り込みのアパートが鉄道沿線というところは、かなり手の込んだ演出。リキがもう二度と学に会わないと心に誓って、ふて寝している時に重なる通過電車の音は、リキの悲しさ・むなしさを一層増大させる効果を生じさせている。

渡辺拓也/大野武雄 3(0) 3
33 聖者の行進

その外人の名は米国籍のヘンリー・ジャクソン。普段はジョーという偽名を使っていた。彼はクラブ・エンパイアに出入り、村越との銃の密売の容疑で取り押さえられる。村越には逃げられ、ヘンリーを西部署へ連行。ヘンリーはエンパイアで歌うマリの歌声を聞きたくて出入りしたと、犯行を否定。大門はヘンリーを疑い、ヘンリーが働くちり紙交換車の後を付けさせた。実はヘンリーは5年前、拳銃密売事件で大門に逮捕され、本国へ強制帰還させられていた。しかしエンパイアのマリのロッカーから銃が発見され、ヘンリーは追いつめられる。一方、大門軍団は村越も追う。捜査を進めるうちに、マリがヘンリーの子であることが分かる。もちろんマリはその事実を知らない。実は拳銃密売は主犯の辺見がマリを利用していることが分かり、ヘンリーは事件に無関係といくことが分かる。そして大門はヘンリーに捜査の協力を要請するが…

●最初のヘンリーのちり紙交換のシーンから始まり、徐々になぜヘンリーを追うかの説明がきれいになされる。前回(32話)と似たような出だし。しかし今回の方は時間的な説明が曖昧で、いつの間にか時間が戻っていた、という驚きがあって新鮮。これはこれでいい演出法だと思う。
●最後だが久々のカーアクションが観られる回。
●ヘンリーを疑ってしまった大門の表情がとてもうまい。ヘンリーに対する申し訳なさがすごく伝わって来る。

澤田幸弘/新井光 2(2) 1
34 長野行特急電車

その日の勤務を終えたリューは、昔リューが窃盗で逮捕した日高の家を訪れる。リューは日高が何か犯罪を犯しているのではないかと疑っていた。実際にリューの疑いが当たり、日高がそのことを告白しようとした時、二人の後を付けていた不審な人物2人に襲われる。日高は拳銃に撃たれて死亡する。この事件は東部署管内で起こり、リューはその時勤務を終えていたので、事件は東部署の捜査で進むことが決定。これに納得いかないリューは、大門公認の元、独自に日高の婚約者であったレイコを問いつめる。大門軍団も全員参加して捜査を進めるうちに、以前発生した宝石強盗の事件と結びつく。

●日高の犯行が何なのか後半まで分からない展開になっている。今回はサスペンス性を特に追求した回になっている。
●レイコがリューに追いつめられた時、コーヒーに異常な量の砂糖を入れる。これはレイコの動揺を、会話で表現せず小道具を使って表現する「シャレード」と呼ばれる表現法。視聴者に、レイコの心情を大変分かりやすく映像で表現している。ちょっと大げさな気もするが…
●ちょっとしたコメディータッチとてもいい。例えば大門がアコの原稿を汚したり、家宅侵入したリューを知らんぷりするリキとゲンなど。このことで、ドラマとのメリハリを一層際だたせていると言える。

澤田幸弘/永原秀一 2(0) 1
35 ゲーム・イズ・オーバー 西村潔/柏原寛司
36 燃える導火線

刑事被告人を乗せた護送車が、突然襲撃される。犯人はその護送中の被告人を逃がそうとして、犯行に及んだ。リューとゲンが犯人達の運転する車を発見して、追跡、逮捕。事件は解決したが、実はどさくさに紛れてもう一人被告人が逃げていたことが発覚。その被告人・坂田は、リューが三日前に強盗放火殺人で逮捕した男であった。坂田逮捕に焦りを隠せないリューは、また独自に捜査に乗り出す。しかし結果的に大門軍団のチームワークを乱してしまい、せっかく発見した坂田を逃がしたばかりではなく、関係のない市民を負傷させてしまう。リューはそのことに反省。そして坂田逮捕のために再び大門軍団は捜査を開始。リューはジンと共に坂田の女であるタエ子を護衛していた時、リューは坂田に襲われてしまい拉致されてしまう。

●最初の護送車の接近するショットをローアングルで撮ったり、一つの場面をやたらと色々なアングルで撮ったり(特に火薬工場のシークエンス)と、構図に凝ったショットが多かったように思う。
●特にアングルを色々変えていくことは、結果としてモンタージュにリズムが生じて、テンポ良い展開になっていると言える。
●最初の捜査課の日常風景のショットも、構図的に面白いショットの一つだった。手前でジンが思いっきりそばを食べているショットだが、このような手前にモノをわざと置くショットが全体的に結構多かった。実はこれは大胆な構図で、手前にモノ(人物・物など)を置くことは、逆に画面の奥を強調することになり奥行きのあるショットが完成する。かなりこれを意識しているのではないか。

西村潔/峯尾基三 3(0) 3
37 炎の中で甦れ! 長谷部安春/大野武雄
38 遙かなる故郷

殺されると電話ボックスで110番する女・秋川よしえ。しかし何者かによって殺されてしまう。大門軍団が捜査に乗り出した時、ゲンにタレコミをする女・前川ちえ。ところが、デタラメなものであった。ゲンはちえに問いつめる。するとちえは「兄を助けて欲しい」とゲンに懇願する。ちえの兄・前川シンジは、5年前に東部署管内で起きた強盗殺人で死刑判決が下され、死刑囚の身となっていた。東部署ではうそつき女呼ばわりされていたちえだったが、ゲンは妙にひっかかる点があり、大門に再捜査を申し出る。ちえは、兄のアリバイを告白。5年前、ちえが働いていたスナックに、自分と兄の他にもう一人女性がいたことを大門に訴える。実は、その女性こそが、殺された秋川よしえであった。大門軍団は5年前の殺人事件の真犯人が口封じのために起こした犯行であると結びつけ、2日後の前川の死刑執行を前に、本格的な再捜査を開始する。

●東部署の刑事が前田の犯行を想像するときに、真犯人は違うのだが、前田が犯行をするという映像が流れる。このようにこの部分で「映像」という「虚実皮膜の芸術性」をうまく生かした演出をしていることが分かる。
●シナリオ的に、5年前の事件と今現在の事件を、うまく結びつけている。ただ、ちえのセリフが回りくどいのが難点。

長谷部安春/新井光 2(1) 1
39 消えた大門軍団

西部署に、本庁の宮川本部長、鬼頭警部らが訪れる。目的は、本庁でも手に負えない現金輸送車強奪事件の犯人が、次の事件を西部署管内で起こすという情報を手に入れ、大門軍団を使って犯人を誘き寄せる作戦を実行するためであった。本部長は、城西警備保障の社員の白石が、犯人グループと内通しているとにらむ。白石は強盗傷害の前科を持っていたからだ。しかし納得いかない大門。実は以前、白石を逮捕したのは大門で、今ではすっかり更生して大門が身元保証人となって今の就職先を斡旋していたのだった。
白石を訪ねる大門は、白石が罠にはめられていたことを知る。大門は白石を守ると約束して去った後、白石に真犯人から電話が。白石を陸橋の下に呼ぶ。一方、大門軍団は本部長の作戦を実行。しかし‘おとり’でない本当のルートで運ばれた現金が奪われてしまう。その奪われた場所が、白石を呼んだ陸橋の下であった。犯人グループは一人を残し逃走。現場に居合わせてしまった白石は、誤逮捕されてしまう。見事に白石を罠に落とし入れる。大門軍団は真犯人を鬼頭警部とにらむが、捜査権は本庁にあって西部署には無い。そこで大門軍団は…

●現金輸送車強奪事件の回想の映像が、白黒写真だけで、その写真に奪われた時の発砲する銃や車の音を重ねてる。これが意外とリアリティのある映像を作っている。
●大門が兄としてアコに食事をさせるシーンは、如何に大門が覚悟を決めているかを映像だけで推し量ることが出来る。
●細部に渡った細かい演出が光る回であった。例えばヒナさんが木暮課長の為にさりげなく電話線を切る動作、大門達の行動に慌てふためく二宮係長など。特に、事件が解決したときのシーンで、大門と木暮課長が煙草を口にくわえたときに、大門軍団達の腕がニュッとフレームインして火を付けるというショットのコミカルさが、この作品の緊張感を和らいでくれて、見事に作品にメリハリをつけている。ちなみにこのコミカルさは、映画でしか出来ない表現で秀逸!

渡辺拓也/永原秀一・永海秀国 6(0) 4
40 手錠のままの脱走

何故か護送車に手錠をつながれ乗り込むリキ。実は4日前に発生した現金輸送車強奪事件で逮捕した片岡の主犯を逮捕するために、片岡をワザと逃走させて同時にリキをおとりに使う作戦を実行したのだった。リキと片岡の二人は手錠でつながれたままの逃走となった。しかし逃走途中で、誤ってリキと片岡は川に流されて、大門軍団は見失ってしまう。片岡は仲間であった若林の元にたどり着くが、そこで仲間割れをしてしまい、その時リキは脚を撃たれてしまう。そしてまたも逃走を続ける。片岡は若林の女を襲い、事件の黒幕である米軍少佐ヒギンズの存在をつきとめる。その課程で片岡とリキの絆が深まっていく。

●「なぜいきなりリキが手錠をつながれて護送車に乗るのか!?」という意外なシーンで始まるのがすごい。物語が進むにつれ、何気なく4日前のシーンを挿入して、いきさつを説明する。それに対して最後は、一人になった片岡とそれを追うリキの平行モンタージュが、物語にうまく緊迫感を与えている。今回はモンタージュに気を使った話であった。
●リキと片岡の絆の深まりを、片岡が何気なくリキの脚を治療していたり、自分からリンゴを渡すなどして、片岡の心が開いていく様をさりげなく映像で表現されている。
●通過列車を使って手錠を切ろうとするシーンは、素直にその発想とそれを実行してしまうところがすごい。ちなみにこのシーンはうまくモンタージュを利用して、迫力あるものになっている。

渡辺拓也/宮下潤一 10(0) 1
41 バニング・レディ

ジンがお見合いが失敗。酔って帰るジンは途中でケンカを目撃。ボコボコにされるつつも女性を助ける。その助けた女性はバニング・カーに住み、ジンはその女性と仲良くなるが実は売春婦であることが分かり、あきれたジンは思わず飛び出してしまう。その後ジンはその女性を更生させようと奮闘する。一方、夜中の銀行を襲った金融強盗事件が発生。拳銃発砲事件から犯人を追いつめる大門軍団。実は犯人の一人・矢沢とバニング・カーの女性がつながっていることが判明。それを知ったジンは、真相を知るためにバニング・カーに走る。その時女性は矢沢に金目当てに利用されていたことに気付く。しかしそこでジンは襲われて拉致されてしまう。そして第二の犯行に利用されてしうが…

●カメラの長廻し(ロングテイク)で対象を捉えているショットが多い回であった。また、最後の逮捕のシーンもスローで捉えて、今回はアクションよりも役者の演技をじっくりと捉えている傾向があった。
●そんな中、少しだが裕次郎さんのアクションが見られた。裕次郎さんのケンカのスタイルが日活アクション時代そのままだったのが印象に残る。

村川透/柏原寛司 0(0) 2
42 ピエロの名演

ゲンに北村から電話。北村とゲンは、1年前に北村がチンピラにからまれていたのを助けたのが縁で親しくなっていた。その北村の勤めるストリップ劇場に殺しの予告状が届いていたのだった。その予告状通りに拳銃の発砲が起こる。その時使われた拳銃がなんと数日前にサラ金強盗に使われた銃と一致。北村は何も知らないと言い張る。大門は北村が何かを隠していると睨む。
大門軍団は捜査によって、北村を狙っていたのは河合であることを知り河合の居場所を突き止めるが、河合はアル中で入院していた。大門は北村が実は胃ガンであり余命少ないことを知る。そのことをゲンは知らない。
北村には心臓病の妹がいて、手術代が1000万円必要であった。そこで北村は自分自身に1000万の保険を掛けていたが、今すぐ金が必要の北村の保険は自殺した場合は無効になる。そこで自作自演の事件を起こして、自ら河合に化けてゲンに殺されことによって生命保険の金を下ろそうとした。しかし一方で北村に拳銃密売をした松井組が北村の命を狙っていて…

●今回は岩城滉一さんが西部警察2度目の出演。ゲンのセリフに「昔、お前に似たヤツがいた」と明らかに第9話『ヤクザ志願』を意識したセリフ。ちなみにこの時の監督も村川透氏であった。
●タニとジンがキャバレーで張り込みをするシーンで、2面マルチというかなり珍しいショットが観られた。また今回は映画的に突然のカット割りなどが目立ち、かなりモンタージュに実験的な姿勢が見られた回であった。モンタージュに不思議なリズムが生じていた。
●コーナー・ラウンジの「♪お酒の味もー」と歌う薫ちゃんがなんと歌以外のセリフを! 初演技だと思う。
●最後、松井組を捕まえるシークエンス全体に、クラッシックを流したのは、これまでにない試みではないだろうか。これによって北村の最期がしみじみと心に残る。

村川透/大野武雄 0(0) 1
43 4号岸壁の殺人

おびただしい血の跡を捜査する大門軍団。しかし死体が見つからない。その被害者の車が海から上がる。車の中には2体の死体が。実は使用された拳銃が西部署の警ら課の佐川・千葉両巡査のものであることが判明。その日の未明に西部署に訪れたチンピラの相手をしている間に盗まれたと供述。何故拳銃の保管場所を犯人が知っていたのか気になる大門は、リキとゲンに2人の後をつけさせる。佐川の元に拳銃を返すという電話がかかる。そして佐川は息子のゲンタと4号岸壁に釣りを装って出かけるが、何者かに射殺されてしまう。自分の父親が無実だと信じるゲンタは、大門軍団の捜査に協力。ゲンタは犯人の顔を覚えていたのだった。大門は千葉巡査が盗難の手引きをしたとにらむが、なんとゲンタは一人で千葉の住む独身寮を訪れる。そこで千葉は犯人達に射殺されてしまう。犯人達はトラックで逃走するが、なんとゲンタはそのトラックの荷台に乗り込んで犯人を追跡するが…

●ミステリアスな展開で、視聴者に佐川が拳銃の盗難の手引きをしたと臭わせて、実は全然シロという見せ方は意外性があってすごい。しかしどうもセリフ言い回しがくどくどした感じがするのは仕方ないのか…
●ゲンタの悲しい気持ちを、雨を降らせることで映像で説明しようとしている。なかなかナイスな演出。
●最後の犯人逮捕のシーンは、手持ちカメラに長廻し(ロングテイク)を使用して、かなり緊迫感ある迫力な映像を作っている。

西村潔/新井光 6(1) 3
44 ロング・グッドバイ

未明、大雨の中墓場で襲われる男・吉田。その朝、大門軍団は捜査を始めるが、大雨のために証拠が残っていなかった。吉田はキャバレー・キャッスル・クレーで働いていたので、大門は経営者である小出を訪れた。実は小出と大門は同じ高校の出身で、一年違いで大門の方が先輩であった。小出は元ヤクザで、大門は小出を別件で逮捕したことがあり、現在は見事に更生していた。小出の話によれば、吉田は4ヶ月前に店をやめていた。
その後の調べで吉田は3人にゆすりをしていたことが分かった。そのうちの1人・由美子は、昔小出とは恋人関係であった。それを知った大門は小出を訪ねる。小出は5年前にふられて以来、一切関係ないと言う。
由美子をゆすっていた犯人は吉田だけではなく、他に服部と加山が共犯だった。依然由美子はこの2人から脅迫を受けていた。由美子をはっていたリキとゲンは、2人を発見して追うが逃してしまう。捜査を進めるうちになんと服部が殺されているのが発見される。由美子をゆすった犯人達を次々と殺していたのは、実は…

●今回はシナリオ的にも映像的にもかなり濃密。吉田を殺した真犯人は最後まで分からない仕掛けになっているが、誰が真犯人かは映像で推し量ることが出来るというスタイルを取っている。
●雨の中で吉田を殺すというシーンは、殺した犯人の気持ちを雨で怒りに燃えているということ表現していると言える。墓場であるというだけでも気持ち悪いのに、雨をプラスするという演出はすごい。
●由美子と小出の登場するシーンに必ずと言っていいほど同じ曲がかかっていたり、オーヴァーラップを多用するなど、映像で人と人の心(心境)を繋げようとする試みをしていたように思う。最後の由美子と小出のすれ違いに3度のストップ・モーションを入れたのはその究極ではないだろうか。映像的に秀逸。
●セリフの対応関係にもかなり気を使っている印象が残る。リキのセリフの「ドジドジドジ!!」もそうだが、注目したいのは大門と小出のやりとり。小出が犯人だと思われてないときに訪れた大門には「昔の話を酒の肴にしよう」というが、一方小出が犯人だと疑われて大門が由美子の話をしたときには「昔の話に触れるな」と言う。この一言でドラマに重い緊張感を与えて、良いドラマに仕上げている。

西村潔/柏原寛司 3(0) 2
45 大激走!スーパーマシン

殺人事件が発生。逃走に使われた車・クーガが目撃されていただけで、これという手がかりがつかめなかった。捜査が難航する中、捜査課に新人が入り大門が更迭される噂が流れていた。一方銀行強盗が発生。その強盗を狙うクーガ。たちまち強盗は殺されて、現金はそのクーガに乗る犯人達に盗まれてしまう。犯人達は拳銃を売って、その拳銃を買った人に強盗をさせその金を狙うというしたたかな作戦で、そのため捜査の手になかなか付かなかったことが分かる。しかもクーガを運転する犯人は元レーサーであった。車を改造していたため、西部署のパトカーでは手も足も出なかった。そこで木暮課長は噂の新人を用意した。と言っても人ではなく、実は警視庁の科学技術の粋を集めたスーパーマシン・マシンXであった。しかしそのマシンXを使ってクーガを追いつめるが、なんとクーガは突然姿を消し、マシンXの科学力を持っても発見できず、犯人達は姿を消してしまう。捜査を警戒していると考えた大門は、おとり捜査で犯人を導き出す作戦を提案。実行に移すが…

●今回の見所は何と言っても東名高速を245km/hで飛ばすマシンXに尽きる。このために物語を作ったとも思える展開。本当に245km/h出したかどうかは疑問だが、そのカースタントはすごい迫力。めちゃめちゃに車を追い越し、路肩にまで出てしまうという始末。道路交通法を超違反しただけあってすごい映像になっている。(思うに撮影に当たり本当の警察に提出した始末書の一つはたぶんこれでしょう…)
●高速を降りたら降りたで、今度はマシンXとヘリによる追跡。これは映像的に強烈。すごすぎ。しかも最後はクーガを爆発させるというすごい結末。

長谷部安春/新井光 4(1) 4
46 消えた一時間

タニは街中で、15年前に死んだと思われていた強盗殺人犯・古谷を偶然発見する。この犯人は、15年前タニの拳銃を盗んで犯行に及んでいたが、事件後事故を起こして焼死していたと思われていた。タニが直接会ってみても、本人は否定する。しかしタニは彼が犯人だということを確信していた。そして古谷は15年前他人を殺害して偽造事故を起こしたと推測。そしてそれは事実であるということが、大門軍団の捜査で明らかになる。タニも疲労で医者から絶対安静を言い渡されていたが、無理を押して捜査に参加していた。だがあと3日で時効成立という壁が立ちふさがる。時効成立当日、いよいよ証拠がそろって古谷を連行するが、なかなか口を割らない…

●渋谷(?)での久々のゲリラ撮影。終始手持ちカメラが、西部警察開始当初を思い出させる。
●タニが古谷を押さえる時のシーンで、雨を降らせていた。この時の雨の効果は絶大。タニの必死の心情を効果的に引き出している。
●時効(時間)との闘いになった時から、時計をやたらと強調。今でいえば、王家衛(ウォン・カーワイ)のような演出になっていた。
●大門は時計や時報を仕組んで狂わせ、古谷に時効が成立したと勘違いさせる、今回のヤマ場のシークエンス。勘違いした古谷をカメラは斜めで撮る。ある種異常な心理状態を見事に表現していると言える。また、古谷が真実を知るととたんに取調室が暗くなった。この辺の光と影(闇)の使い方は興味深い。うまく古谷の心境を表現したと言えよう。

長谷部安春/峯尾基三 1(0) 2
47 笛吹川有情

ヤミルートの宝石ブローカー・長谷川が、野崎に殺される事件が発生。長谷川が持っていたダイヤの原石は野崎に奪われてしまう。大門軍団は野崎を指名手配。一方、妙子を訪れる野崎。妙子の父はプロのダイヤモンド研磨師で、野崎達に誘拐されていた。その妙子に奪った原石を預けて、甲府の旅館に取引に出かける。妙子はその事実を西部署にタレコミ。しかし父が誘拐されている以上、あまり詳しくは話せない。リューとゲンはタレコミの通りに甲府の旅館に向かい、野崎を逮捕する。しかし西部署へ護送の最中に、ダイヤ取引先の者達によって野崎を奪い返す為に襲われてしまう。そして大門軍団は事件解決の為に甲府に向かう。原石を持った妙子は野崎の元に向かうが…

●長谷川の殺された現場写真に、音声のみで大門と木暮課長のやりとりのシーンから物語が始まる。いきなりこの始まりは意外性があって、思わず物語に引き込まれてしまう。
●今回は西部警察初の地方ロケ。山梨の甲府で撮影がなされた。
●野崎が奪われる時のシーンで、ショットの切り替えで降っていないはずの雨が次のショットでいきなり雨が降っている(しかも地面がすごく塗れている)。これはアクシデントだろう。地方ロケの醍醐味といえば醍醐味だが、制作側にとってはかなり困惑したと思われる。
●滝の所での逮捕劇では、大門は体をはってのアクションがすごい! 一方、ホテル内を縦横無尽に駆け回る大門軍団と犯人のシークエンスでも、かなり細かく撮っているのに編集でうまくつながって見える。このように今回は、役者と制作両方の技術の総力を使った回であったように思う。また中古車会場のカーチェイスは見ていて爽快! すごすぎというかやりすぎ?
●何かと話題の大門軍団のヒゲダンスは今回見られる。
 

渡辺拓也/永原秀一 11(4) 5
48 別離のブランデーグラス

西部署入り口で、木暮課長の上着を着たゲンが、狙撃される事件が発生。翌日、西部署に木暮宛に脅迫電話が。「小林夕子(犯人の女)を寝取った」という犯人。木暮は訳が分からない。実は2年前に木暮は夕子に財布をスラれたことがきっかけで、夕子を更生させていた。今でも夕子は更生して食堂で働いている。木暮は自ら手がかりを掴むために夕子と再会。犯人は丈治という名で、1週間前に出所。服役中に面会で夕子はふざけて木暮と結婚すると言っていたことを告白。しかしその後夕子と丈治は結婚を約束していた。
木暮を狙った本当の動機が他にあるを睨む大門軍団。丈治の手がかりとしてクラブ「女王蜂」の名が挙がる。実は2週間前に木暮はそこで麻薬を常習しているホステスを発見していた。つまり丈治は、「女王蜂」の支配人に命令されて、木暮の口を塞ぐために殺そうとしていたのだった…

●夕子を捜すために、大門軍団が街中を聞き込みするシーンで、夕子の写真と聞き込み場面をオーバーラップさせていた。映像的におもしろい表現ができあがり、秀逸。
●渡さんと裕次郎さんのアクションシーンが観られる貴重な回であった。やはりこの2人がそろうと怖い…
●全体的にローアングルを多用していたことに注目したい。またアングルをいつもより様々に変えていたのが印象に残る。かなり構図的に凝ったショットが多かった。
●裕次郎さんの「ブランデーグラス」の歌が聞けたのは、ある意味貴重か!?

宮越登/大野武雄 0(0) 3
49 俺だけの天使 渡辺拓也/宮下潤一
50 少女の叫び 宮越登/峯尾基三
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