三びきのやぎのがらがらどん/福音館の絵本

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三びきのやぎのがらがらどん/福音館の絵本


■第81回/三びきのやぎのがらがらどん

三びきのやぎのがらがらどん ロングセラー名作として、絵本好きの方なら必ず読んだことがある絵本だと思います。北欧民話…つまり昔話として伝わるお話なのでしょうが、えてして昔話というものには一種独特の世界があるものだと思いますが、この絵本もやはりある意味では独特の世界を持つ絵本ではないでしょうか。

 お話は同じ「がらがらどん」という名前の三匹のやぎが山の草を食べて太ろう思い、つり橋を渡るのですが、そのつり橋の下には恐ろしいトロルという怪物がいます。トロルはこのやぎたちを食べてやろうと狙っているのです。

 そしてまず最初にいちばん小さい一匹めのがらがらどんが橋を渡ろうとするとトロルが現れて、そのやぎを食べようとします。すると「あとからもっと大きいやぎが来るよ」と言います・トロルはそれなら大きいやぎの方がいいや…とばかりに一匹めのやぎを見過ごします。

 そして次に大きい二匹めのやぎが橋を渡ります。ふたたびトロルが現れて食べてやる!と脅かしますが、そのやぎは「あとからもっと大きいやぎが来るよ」と言います。トロルはそれならもっと大きいやぎの方がいいや…とばかりに、二匹めのやぎも見過ごします。

 そして最後にいちばん大きな三匹めのがらがらどんが橋を渡ります。トロルはまたまた現れて食べてやる!と言うと、大きなやぎは勇敢にトロルに立ち向かいます。そして、何とトロルをバラバラに蹴散らして退治してしまいます。こうして無事、つり橋を渡った三匹のがらがらどんは、太って歩いて帰るのもやっとのことになるくらいにたんまりと山の草を食べるのです。

 お話の展開は、一匹めのやぎから二匹めのやぎへ、そしていちばん大きな三匹めのやぎにバトンタッチしていって恐ろしいトロルからうまく逃れるのかな…と思わせますが、何と三匹めのがらがらどんはとても強く、恐ろしいトロルをやっつけてしまうのです。しかも、トロルをバラバラに引き裂いて谷川に突き落としてしまうのです。

 冒頭に、ある意味では独特の世界を持つと記したのは、この三匹めのがらがらどんがトロルをバラバラに引き裂いてしまうシーンなのですが、絵本にしてはややショッキングな展開です。でも、昔話には意外と「残酷性」が平然と表現されていることがあるので、そのように記したのですが、この「三びきのやぎのがらがらどん」も展開の中で、こうした残虐シーンを流してしまいます。しかもラストは何事もなかったように、たんまりと草を食べて、丸々太ってしまうやぎで終わります。

 筆者は、この絵本を読んだとき、話の展開から三匹のがらがらどんが、次々と申し送りをして、結果的に三匹とも無事にトロルから逃れてつり橋を渡り、歯ぎしりして悔しがるトロルが描かれておしまい…という結末を予想しました。多分、同じような予想をされた方が多いのではないでしょうか。

 ところが、昔話は一筋縄ではいきませんね。正直なところ、読後感は少々首をひねるものでした。しかし、これはもしかしたら大人の感覚なのだろうか?とも思います。このロングセラー絵本は子どもたちに大変な人気があるからこそ、名作として読まれているわけで、大人からすればすさまじいシーンも子どもには違った感性で受け取られるのかもしれません。

 筆者が予想したように、もし三匹のがらがらどんが順番にトロルを騙して、無事つり橋を渡っていたら、それは「頭脳プレー」であり、ある意味ではずるい作戦であり、このお話のように最後のいちばん大きながらがらどんが痛快にトロルを退治してしまったからこそ、名作なのかもしれません。

 まだお読みになっていない方は、お子さまと一緒に読んで、どのような捉え方の違いや反応があるか、確認してみるのもいいかもしれません。ちょっぴり不思議な昔話絵本…是非ご一読ください。


◆三びきのやぎのがらがらどん
●絵/マーシャ・ブラウン●訳/瀬田貞二●福音館書店刊●26×21cm●32P●1,050円(税込)
三びきのやぎのがらがらどん
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