『ホッピーでソフトボール』           
                   ☆村上豊和

 僕が所属しているスローピッ
チ・ソフトボールチーム「ピク
ニックス」は、善福寺川緑地公
園の少年野球場をホーム球場に
している。シーズン中はほぼ毎
週ここで試合を行うのだが、試
合終了後は、高円寺パル商店街
のそば処「秀月」→「黒潮」→
ガード下「どん兵衛」へ流れる
と決まっていた。語尾が過去形
なのは、昨シーズンよりヤング・
ギャルが多数加入し、カラオケ
ボックスが3次会会場として急
に有力候補になったためである。
 この新しい流れは、実は個人
的には少し残念なのだ。という
のは「どん兵衛」にはホッピー
があり、それまでさんざんビー
ルを飲んだあとに、焼酎のホッ
ピー割りでくだを巻くのが定番
だったからだ。
    わがピクニックスは実に飲み会
が面白い。女性がいようがいなか
ろうが下ネタ連発、メンバー同士
の罵り合い、野球談義の末の殴り
合い。時には店内の女性客をナン
パしまくり、道を行く一般市民を
大声で怒鳴り、ラーメン屋を停電
に追い込む。とにかく、その暴れ
ん坊ぶりは止まるところをしらな
いのだ。
 カラオケではこんなことはあり
えない。お店にとってはいい迷惑
かもしれないが、焼酎のホッピー
割りがあったからこそ、成り立っ
ていたのだと思う。変にベタベタ
しすぎずどこかライトで、それで
いて猥雑な感じのするピクニック
スの人間関係には、ホッピーこそ
が潤滑油なのだと、僕は信じてい
る。
          ☆村上豊和


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