一つ石
一つ石地図 ひとついし
空白線
一つ石

所在地:八幡市八幡高坊

 石清水八幡宮が鎮座する男山山上。その山上の「三ノ鳥居」がまたぐ参道敷石のほぼ中央(やや東寄り)に自然石がはめ込まれている。その形は長方形に近く、長辺は約90センチ、短辺は約60センチ。周りの敷石から最大5センチほど盛り上がっているが、地下部分にはどれほどの大きさの石が埋まっているのかは定かではない。
 この石は、5つもの名を持っている。ひとつは、通称名である「一つ石」。この名は、かつて南総門の真下にあった「五つ石」に対する呼称であった。ふたつめは「亀石」という。この名は、その形が亀に似ているからだという。みっつめは「お百度石」という。お百度参り、お千度参りの起点になっていたことによる。蒙古襲来の時には人々がこの石と本殿前を往復し,「道俗千度参」を奉修したという。よっつめは「勝負石」。八幡市民図書館の1階階段部分に掛けられているところの江戸時代に描かれた「八幡山上山下惣絵図」にはこの名が見える。それと、いつつめの「下の駒留石」の名は、この石が走馬(そうめ)・競馬(くらべうま)の際の出発点となっていたことによるものらしい。ちなみにそのゴールは五つ石で、この名に対峙して「上の駒留石」とも言ったようだ。
 さて、男山考古録によると、江戸時代に本殿参拝を終えた参詣人が、この「一つ石」の前で再び本殿に向き直って拝礼するという習わしがあった。そうしたニーズに応えて、この石の上に大きな賽銭箱が置かれた。これを置いたのが、この近くにあった菊坊であったという。当時、賽銭の収納などの雑役を担当していた仕丁座との間で争論となり、神社の上層部が中に入って賽銭箱の撤去をしたという。(石清水八幡宮「石清水アラカルト」を参考)


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