善法律寺
石清水八幡宮地図
ぜんぽうりつじ
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善法律寺

所在地:八幡市八幡馬場28

善法律寺は八幡馬場の男山中学校跡地の馬場運動広場南側にある律宗の寺である。

建物は本堂を中心に庫裡、阿弥陀堂、聖天童が配されている。その本堂は、弘安年間(1278〜1288)に石清水八幡宮の社殿を移して建立したものである。堂の柱がすべて中途で特殊な方法を用いて接いであるのは、耐震の工夫と考えられている。当初の丹朱塗は剥落しているが、純然たる鎌倉様式を伝えている。

寺は石清水八幡宮検校であった善法寺宮清が正嘉年間(1257〜1258)に私邸を喜捨して創立し、奈良東大寺から実相上人を招いて開山したことに始まる。室町時代には、善法寺通清の娘良子が将軍足利義詮に嫁ぎ、3代将軍義満の母となった。義満は神社信仰に篤く、特に八幡宮を崇敬したため、20数回も八幡を訪れている。以後の義教、義政も繁けく往来し、将軍家と善法寺家との密接な関係が続いた。従って律寺も足利家の庇護を得て隆盛を極めたのである。良子は善法律寺へ自分の好きな紅葉の樹をたくさん寄進したという。秋には深紅の葉が境内を染め、別吊「紅葉寺《と呼ばれ、親しまれている。

本堂に安置されている本尊の八幡菩薩(僧形八幡)は、明治元年に神仏分離が行われるまで石清水八幡宮の祭神とされていたものである。等身彩色の座像は、左手に宝珠、右手に錫杖を持っている。脇仏は上動・愛染の2明王で、本尊とともに鎌倉時代の作である。また、かつて大乗院にあったものとされる五輪石塔や石地蔵が池のほとりに並んでいる。


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