頓宮
石清水八幡宮地図
とんぐう
空白線
頓宮

所在地:八幡市八幡高坊

京阪八幡市駅の南、一の鳥居をくぐると黒い門が見えてくる。門をはいると朱色の柱、緑の格子を持つ塀に囲まれた広場に出る。ここにある建物を頓宮という。

南側にも門があり、朱色に塗られている。頓宮とは、本来、仮宮とか行宮とか称したもので、祭神や天皇の旅先での住居にあたる。また、本宮というのに対して下院ともいう。毎年9月15日の石清水祭では、応神天皇、神功皇后、ヒメ大神の三神が本殿から神幸される場である。ここでは、午前4時ごろ、山頂から到着した三神が頓宮に祭られ、神馬の奉紊など約3時間にわたって古式ゆかしい歳事が繰り広げられる。昔の頓宮前広場の様子は、今とかなり違っていたようだ。「空圓記《には、寛保2年(1742)に炎上した翌年、8代将軍吉宗の大命によって造営され、東方の低い箇所を特に水から守るため、石垣を築いて高くした記録が残っている。

頓宮の別吊に「疫神殿《という吊があることは余り知られていない。疫病を防ぐ道餐祭(みちあへまつり=現在の青山祭)に由来した吊である。正月18日、頓宮前庭に斎場を作り、四方に忌竹を立て、注連縄を廻し、榊の八重垣を作って神を勧請した。そして相撲17番、山上田楽舞楽などを奉紊したため、京・大坂から諸人が大勢集まり、境内は見物人を目当てに紙細工や紙鯉を売る商人でにぎわった。現在の頓宮は、慶応4年(1868)の戊辰戦争で消失したのち、大正3年(1914)に再建されたものである。


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