間接援助技術
社会福祉調査法について述べる

新たな福祉サービスの計画やニーズの発掘には社会福祉調査が必要である。社会福祉調査は社会調査の一応用分野であり、社会事象について現地調査により科学的な資料や統計推論のための資料を得ることを目的とした調査である。
基礎資料的接近
〜実態・意識:社会福祉業務報告・国民生活基礎調査・福祉概要・寝たきり老人実態調査など
問題解決的接近
〜答えを引き出すための調査:老人保健福祉計画などサービス料や整備などが盛り込まれたもの
理論構成的接近
〜一般仮説を得ることを目的とした調査
収集するデータは統計調査・事例調査に分かれている。
調査対象範囲における分類からみた種類では、全数(悉皆)調査(社会福祉施設等調査)、標本調査(抽出)、典型調査の3タイプに分かれる。典型調査は事例で、他は統計調査である。全数調査は信頼性が高いが時間や労力、費用がかかりすぎる。標本調査は悉皆調査に比べると誤差が多く、調査の回収率が低すぎれば母集団を反映できない。典型は事例研究を行うこと。
調査法には、質問紙法(配票・集合・郵送・個別面接・電話調査)、自由面接法、観察法(非参与的、参与的、統制的)がある。

社会福祉調査は問題解決を指向し、人々のよりよい生活及び福祉の向上を図ることに貢献しよういう価値意識が根底
にある。ニーズ充足のために個別に働きかけるニーズアセスメントの他、こうした運営やサービスの整備などの計画が必要であり、これが社会福祉調査の役割と言える。社会福祉調査はコミュニティワーク(地域援助技術)、社会福祉計画・施設運営管理(アドミニストレーション)とともに間接援助技術として位置づけられている。
狭義の社会福祉調査はいわゆる福祉対象者をめぐる様々な社会事象である。

標本調査
では、標本抽出(有意抽出法・無作為抽出法→系統抽出)、もっとも使われるのが系統抽出であり、例えば、8施設から無作為にしかし等間隔で数をそろえて抽出する方法である。有意抽出法は8施設のうち縁故のある1施設から標本としてサンプリングするため、母集団形成に保証がない。
質問紙法
は自記式と他記式に分かれ、自記式がほとんどであるが、質問内容の誤解や記入漏れなどが起こりやすい。ふだんの生活で字を読んだり書いたりする習慣の乏しい対象者から回答を得にくい等がある。また、質問紙法ではダブルバーレル(どちらとも取れるような意味を二つ以上含めた質問)を避けるなど留意する点は様々なる。質問紙の作成がよく練られたものであれば、不慣れな調査員であったもうまくやれることが出来る。また、質問紙法では、自由回答法と選択肢法(多股選択、複数選択、順位法、一対比較法)がある。さらに、キャリーオーバー効果にも気をつける必要がある。キャリーオーバーとは、質問の前後に影響を受け誘導される効果をいう。
こうして得たデータはその前にプリテストを行い信頼性を検証することが必要である。

面接技法
では、被験者とのラポールの形成が必要であり、また言葉どおりに詳しく記録していくことが重要である。さらにこの調査結果の整理と分析には、
図表化
(要因関連図・相関図・ソシオグラムなど)
KJ法
〜川喜田二郎により開発された資料・分析方法:収集した情報をカードに記入し、類似の内容の持つものをグループ化しカード群の論理的関連性をつかみ、図解したり、文章化したりするもの。
GT法〜グランテッドセオリー
ともいい、グレーザーとストラウスによって開発された質的研究法。記録ノートは、自分用、理論、方法論、観察にわけて用意し、コードを付与し、コードの集約の中で共通点や類似点、相違点を検討し、データの持つ意味を解釈する。さらに、中核となるコードを見いだし従属変数を見いだしていくという方法。
2005.12.10

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