塩酸ミアンセリン mianserin hydrochloride(JAN) 四環系抗うつ剤 1179i
【組成】
[錠]:1錠中10 mg,30 mg 塩酸ミアンセリンは白色〜帯黄白色の結晶又は結晶性の粉末で,においはなく味は苦い。メタノ−ルにやや溶けやすく,水又は無水エ
タノ−ルにやや溶けにくく,アセトン,氷酢酸又は無水酢酸に溶けにくく,トルエ
ンにほとんど溶けない。ラセミ体である。融点:約265°(分解)
【適応】
うつ病・うつ状態
【用法】
1日30 mgを初期用量とし,1日60 mgまで増量し分服(増減)。また,1日1回夕食後あるいは就寝前に投与できる
【作用】
(1)薬効薬理:うつ病・うつ状態に対する作用機序は,脳内でノルエピネフリンのturnoverを亢進,またシナプス前α-アドレノレセプタ阻害により神経シナプス間
隙へのノルエピネフリン放出を促進,受容体への刺激を増進することによると考
えられる
(a)レセルピンに対する作用:マウスでの眼瞼下垂,低体温,ネコの外側膝条体で橋-膝条体-後頭野(PGO)スパイク発生等を指標とした実験で,レセルピン
に対する著明な拮抗作用は認められていない
(b)カテコ−ルアミンのturnover高進作用:ラットでのカテコ−ルアミン合成阻害剤を用いた実験及び放射性同位元
素で標識したカテコ−ルアミン前駆物質を用いた実験で,ノルエピネフリンのturnoverを亢進することを示唆
(c)カテコ−ルアミン放出の促進作用:3H-ノルエピネフリンを取り込ませたラット大脳皮質切片での電気刺激によるノルエピネフリ
ン放出に対し,促進作用。また,この促進作用はシナプス前α-アドレノレセプタ
阻害によることを示唆
(d)カテコ−ルアミン取り込みに対する作用:in vivoでラットの脳についての取り込み実験,in vitroでウサギ脳切片及びラット脳細胞の
シナプトソ−ムを用いた実験などでは,カテコ−ルアミン取り込みに対し作用を
示さないか,あるいは弱い抑制作用
(e)その他の薬理作用()抗セロトニン作用:マウス,ラット,ウサギでの行動観察,体温測定及び脊髄ラットの後肢伸展反射を指
標とした実験などで,トリプタミン,5-HTP(5-hydroxytryptophan)等に対し拮抗作用,抗セロトニン作用がある()抗コリン作用:マウスの行動観察でピロカルピン,
トレモリン等に対し極めて弱い拮抗作用しか示さない。また,ウサギで脳波覚せ
い反応実験で,フィゾスチグミンに対し拮抗しないなど抗コリン作用は弱い
(a)臨床試験成績(二重盲検比較試験を含む,各種うつ病・うつ状態に対する有効率):1日分割投与(76施設)で57.8%(252/436),1日1回投与(32施設)で60.
3%(111/184)(b)副作用:1日分割投与で13.4%(1,163/8,679)に,眠気6.2%,口渇2.9
%,便秘,めまい・ふらつき各1.7%,脱力感1.3%,GOT上昇・GPT上昇・γ-GTP上昇各0.
2%等。1日1回投与で33.7%(62/184)に,眠気16.3%,口渇10.9%,めまい・立ちくらみ
・ふらつき8.7%,脱力感6.5%,便秘5.4%,GOT上昇,GPT上昇各0.5%等
【製品・薬価】
テトラミド錠10mg 三共 10mg1錠 24.20