筋肉少女帯
筋肉少女帯

いまは「特撮」というバンドを組んでいる、大槻ケンヂの最初のバンド。といっても、私は筋肉少女帯の最初の方しか聴いていないし、解散した後にいろいろとあったらしいけど、それは聴いていない。いずれにしろ、私が高校の時にちょっとしたブームになっていて、聴いてみたら、誰も歌ったことのない事をしている稀有なバンドであった。
あのころ、一応まだバンドブームで、さすがにホコテンとかは無くなっていたが、プリンセス・プリンセス(プリプリ)もまだ頑張っていたかな…定かではないが、BOWYからXになって、バクチクとかジュンスカイウォーカーズとかユニコーンとか、エコーズとかZOOとかかな…いずれにしろ90年代初頭のあたりであった。いまもそうだけど、愛だの恋だの出会いだの、ときめきだのがうたわれている中、筋肉少女帯は、君は米を食べているかい!とか納豆にネギを入れるとうまいんだ〜とか。日本を印度にしてしまえ!とか、マキ上田はえらい!とか。一見全く理解が不能に聞こえるものの。すごく文学的で、しかも独特の世界を作り出している。上記のことを単なる歌うのなら、コミックバンドとかオチャラケバンドに成り下がってしまうが。踊るポンポコリンとか「たま」とかそういうのもいたな…。筋肉少女帯はそうはならなかった。というか、そうしたことだけを歌い続けた結果、それが売りになったのか…
同じようなケースでは、電気グルーブとかフランク・ザッパなんかが当てはまるけど、いずれにしろ、真面目に愛だの恋だのを切々と歌うのではなく、自分の音楽を指向した結果そうしたところに求めていったのかもしれない。
このような人たちに共通するのは、音楽に対しての自己表現にごまかしがない。もっとも、愛だの恋だのを切々歌っている人たちもごまかしているとは言うつもりはない(中にはいるかもしれないが)。しかし、筋肉少女帯のような歌詞でもって自分の世界を歌い上げるには、愛や恋などのようなコンセンサス(合意)をリスナーに求めるのが困難である。
電気グルーブはテクノ道を極めようとする迫力がある。フランクザッパはどんな高名な評論家でも歌詞の酷い中傷などには眉をひそめるものの、その音楽性は世界を代表する現代音楽家と同列に扱うほどの高さを認めている。筋肉少女帯は、そのレトリックや言葉の構築に求められると思う。それが、その当時にはやっていたヘビーメタルとかパンクロックとかをあざ笑うかのように、超絶的なテクニックを駆使しながら、おまえらのやっていることは恋愛ゲームだとしおままごとだと言わしめるかのような言葉の宣戦布告だったといまは思う。
といっても、無理矢理カテゴリーにするならプログレ・ヘビーメタル・パンクロックということになろうか。
大槻ケンヂは、昔オールナイトニッポンでパーソナリティをやっていたことがあって、その時自分の高校のときを話していたときがあった。友達がいなくて、休み時間の度に水を飲みに行って、手を洗いに言っていたと。また、文学少年で本ばっかり読んでいたそうな。時々テレビに出て話しているのを見ると、本来おとなしくて優しい青年だったろうと想像させられる。
脱線してしまったが、お薦めのアルバムは何かなと。解散してかなり時間が経ってしまったし、もうほとんど手にはいることが出来ないので…もし手に入るのであれば、ベスト版を購入してください。さらに、気に入った方にはデビューアルバム「仏陀L」がよい。また、「UFOと恋人」は最も売れたアルバムだと思う。「仏陀L」を聴きながら長尾謙一郎の「おしゃれ手帖」小学館YSコミックスを読む。これが今風の文学青年だと思う
2005.3.14

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