辛口?コラム なぜ福祉系の大学卒や資格所持者は嫌われるのか。

 たびたび2chや書き捨てごめんの掲示板を見ると、現場に勤める福祉系の大卒(以下、大卒)や社会福祉士やケアマネがこき下ろされていることが多い。また、私も職場に勤めているが、短大卒や専門学校卒と大卒では微妙な距離感を感じる。それがなぜなのかをかなり主観と偏見がはいっているが、考えてみた。また、自省も込めて書いてみた。

■大卒編
1. 私は大卒なのよという態度を示す。
 あるいは、短大卒や自分よりも学歴が低い人をこき下ろす。
 けどさぁ、大学では勉強してきたかも知れないけど、仕事をしてから何かおまえは勉強しているのかといいたい。勉強をしなくなれば、人はあっという間にバカになる。
 仮に勉強したとしても、それを活かさないと意味はない。そして、活かすためにはみんなが分かるようにかつ協力してもらえる形で伝えないといけない。物を教えてやるという態度になりがちになるけど、そんな態度では鼻につくだけで、誰もあなたについてきませんよ。
 確かに、福祉現場では勉強しない人が多い。しかし、それはしかたのないことだと思う。だって、何をどう勉強したらいいのか分からないし、その日をこなすので精一杯なのだから。まず、求められるのは、あんたも勉強していないという事実を受け入れて謙虚になって欲しいと言うこと。そして、勉強したとしても、分かりやすく、ためになるように、そして仕事の奥深さを伝えるように努力して欲しい。

2. やたら先輩面をする。
 後輩から一言。いや、あんたのお世話になったこと無いし、何も学んでいないから。
 えてして、○○大学のネットワークがあるから君の面倒を見るよなんていって、従うことを強要する。あるいは、飲み会の席で、こいつ俺の後輩なんて言う。なれなれしいし、うっとうしい。その目的が派閥づくりだったりするから手に負えない。
 派閥作ってどうするの?自分のやるべき仕事をしっかりと知っていれば、そんなの邪魔なだけでしょ。派閥を作るってさぁ。結局、自分に自信がないからだよね。自信がないから、誰かを排斥して身を守ったり、卑しめたりして自分の位置を確かめたりする。時には、仲間に引き入れた人に忠誠心を求めて安心したりする。仮に、かみつかれたりすると、すごく心配になって、その反動で相手を過剰に攻撃する。だけど、そんなあなたはミジメだと思う。
 ちなみに、この傾向は女だろうが男だろうが変わらないらしい。誰でも誰かに偉ぶりたいし、見栄も張りたい。結局、自分よりも下と思う人には1のような態度に、同じ大学には先輩面を。そして、自分よりも学歴や学校が上だと思うと、やっかみやねたみなどで排斥する。そうやって、狭い世界で仲良しこよしをしていなさい。
 しかし、繰り返しになるけど、良い仕事って、そういう事じゃないと思う。そして、従わせるよりも、仲間として鍛えるという態度をとって欲しいと思う。それには、自己研鑽が必要だし、自己研鑽に裏つけられた知識と実践がないといけない。もしあるとしたら、それは先輩とか後輩とかではなく、職場みんなのために活かして欲しいと思う。それが頼もしい先輩だと思う。

3. 大学・知識自慢をする
 どんな良い大学なのか、どういう有名な先生がいるのかを得意げに話す。そして、学んだことをそのままカタカナ語にして羅列したり、制度用語を並べてもったいぶったりする。
 だけどさぁ、それがどうしたの?有名なのはその先生であって、あんたじゃないでしょ。それに、そのカタカナ語本当に分かっているのって思う。
 この言葉のには、1も2にもあるのだけど、現場をバカにしている。私はこんなところにいる人じゃないと思っている。じゃ、どこにいるのだとつっこみたい。まぁ、高度な研究をしてきたと仮定して、現場ではそれが理解できない人がいるし、現場には理論がないと嘆いてみる。しかし、本当に試されるのは、現場に通用する自分なりの理論を作ることなんだけどね。高名な先生に教わって終わりではない。自分でその理論をアレンジして確認しながら使えるものにしていく努力をしないといけない。そして、たいてい、大学で学んだ理論はそのままでは使えない。だから、そこから自分で勉強をしないといけない。大学では、いろんな事を学ぶのだけど、一番学ぶべき事は、たぶん、自分で問いをたてて、調べて、まとめる事だと思う。
 まずは自分の言葉でお話ししろと言いたい

■ 資格編
1. とりあえず資格自慢をする
 資格を取ることは大変である。しかし、だからって自慢しちゃいけないでしょ。
 あくまでもそれはあなたが勉強した成果であり、それはたいした物である。しかし、それは始まりの一歩である。そこから、資格に見合ったどういう仕事をするのか。それは、やはり継続的な勉強が必要である。勉強については、大学編で書いたので省く。
 しかし、資格を取りたくても取れない人、がんばりたいけどがんばっていない人を見下してはいけない。だって、かれらにもそれなりの仕事への誇りがあるのだから。まずもって、資格を取った人は謙虚になるべきだ。ただでさえ、資格を取ったことで、周りはやっかみとか警戒をする。そして、チームワークを大切にして、自分を活かしていくことに注意を払うべきである。資格を取って頑張っている姿、謙虚なあなたは、最終的には、認められることになると思う。まわりに認められてこそ、初めて資格は生かされると思う。

2. 知識自慢をする
 これは、大学編の3と同じである。要するに、おまえ、勉強したことをそのまましゃべっているだろって思う人が多い。それは明らかにいろんな意味で勉強不足だと思う。

3. 名誉欲でもなく自分自身のために
 資格を取れば、介護職から解放されるとか、もっとステイタスの高い仕事が出来ると思っている人がいる。社会福祉士は、その辺がかなり鬱屈しているが変なプライドだけは高い。ソーシャルワーカーがケアワーカーよりも専門的だと思っている。
 業務的には、ケアマネは分かりやすいが、やはり介護職よりも格上だと思っている人が多い。しかし、あくまでも業務上の分担であって、それ以上でもない。そして、格上だと思っているあなたを現場の職員は決して良い目では見ていないだろう。
 誰のために仕事をするのか。上を見て仕事をしても未来はない。だって、上は間違いなくあなたよりも早く退職をするのだから。だから、下を見て仕事をしなさい。下があなたの仕事を評価するその力を侮ってはいけない。あなたが信用に足る人間なのかどうか。これは、あなたが経験年数を積み、 誰かの上に立ったとき重要な事だと思う。
資格を取るためにがんばっている姿、それからも利用者について悩み、がんばっている姿を見て後輩達は育っていくのである。

4. 実習生への指導について
 実習に対して色々な意見があるが、私は実習にきて、こうした現場に勤めたいと学生が思えるように指導することが大切だと思う。それには、ただ職員の補助をさせ、利用者と触れ合いをして楽しい思いをして「さようなら」をするのはいけないと思う。
 現場には勉強するに足ることがあると思ってもらうこと。そして、勉強した結果、利用者のことをもっと知りたいと思えるようになることが大切だと思う。
 それには、仕事がどんなにきついかとか実習生の覚悟が足りないとか叱責するのは逆効果だと思う。いかに仕事はおもしろいか、そして興味が尽きないのかをそれまでの実践と知識を融合した形で誇りを持って提示することだと思う。
 そして、資格を取ることでどんな意味があるのかをはっきりと教えてあげることだと思う。それは実習生にとっての一番のモチベーションになると思う。

■ まとめ
 結局、傲慢になってはいけないって事だと思う。大卒にしろ資格保持者にしろ、より謙虚に仕事に打ち込めって事なのだと思う。学問に対して、謙虚になればまず、自分の実力不足に気付くだろう。そして、現場を良くしていくのは、講釈をたれることではなく、仲間を大切にしていくことだと思う。それは、これまで頑張ってきたことを還元しながらも、自分なりに実践と理論を積み重ねていくことだと思う。

2006.10.22

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