福祉六法+1(旧)

改正前の法律です。

目次

社会事業法
生活保護法
児童福祉法
母子及び寡婦福祉法
身体障害者福祉法
精神薄弱者福祉法
老人福祉法
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社会事業法

・戦後における社会事業の特色は、富豪、皇族などによる恩恵主義による。組織としては、血縁、地縁によるものが大半である。
・当時の国家や公共団体の役割というものは、それからどうしても漏れるものの補充的に救済することであった。
・その後、GHQの指令により、現在のような社会福祉事業へと移行、改変された。


社会福祉事業法の概要
法の目的
・この法律はいわゆる福祉六法と互いに作用しあって、社会福祉事業が公明かつ適正に行われること。
・社会福祉の増進につなぐことを目的とする。そして、福祉ニーズに対して何らかの対策を規定する。法律でなくそれぞれの福祉法に共通する事項を一括規定する。
・言わば、福祉に関する基盤となる法律である。
・具体的には、住宅福祉サービスなどの支援体制の強化。
・福祉サービスが総合的に提供されるように社会福祉事業などを広範かつ計画的に実施する責務を負担する。
・また、医療、保健、その他の関連施策との有機的な連携により、地域にあった福祉の実現の責務が明確にされた。

社会福祉事業の定義、及び事業の経営主体
・国民の福祉の向上を図るうえで望ましいとされたもの
・社会福祉事業を、第1種社会福祉事業と第2種社会福祉事業のに分け、それ以外の福祉を目的とする事業は含まれない。また、社会福祉法人という名称の使用はできない。

・第1種は、国、地方公共団体または社会福祉法人が経営する。
・第2種は、国及び都道府県以外のものはその事業開始の日から1日以内に事業経営地を都道府県知事に所定の事項を届けることによって行う。

第1種と第2種の区別の基準
・漠然としたものであって、はっきりとした区別はつかない。
「事業の形態的あるいは運用の面から対象者に重大な弊害を及ぼすか、あるいは、その恐れがあるかどうかであり、それゆえに強い規制があるものかどうか。」
第1種の内容
・収容施設の経営のごとく、経営方針の如何によっては入所者の人権が侵害される恐れのある事業を含み、共同募金事業を加えたもの。
・経営主体としては、4条に明記。
第2種の内容
・1種以外の事業で、人権の侵害あるいは不当搾取などの弊害のない事業であり、それゆえに法的規制も緩く、経営者の自主性や創造性の取り入れを図っている事業と言えよう。
・経営主体は、届け出だけで、何人も経営できる。
・経営に関しては、本法が一般法としての性格をもっている。したがって、特別法に別に規定があればその規定に従うことになる。

社会福祉法人
・公益あるはその事業の収益を社会福祉事業の経費に充てることを目し、社会福祉事業法の定めるところに従い、設立される法人である。

社会福祉事業の趣旨
・国、地方公共団体、社会福祉法人その他、社会福祉事業を経営するものは、ノーマライゼーションの理念の実行、必要な福祉サービスの総合的な提供に心掛け、社会福祉を目的とする事業の広範、かつ計画的な実施、さらにその事業の実施については、医療、保健等との有機的な連携を考え、地域の福祉の実現に努める責務に関して規定している。
・公私分離の原則
1/公的責任の転嫁の禁止
・国あるいは、地方公共団体は、国民の最低限度の生活を保障する責任及び社会福祉の維持増進に努めなければならない。
2/不当関与の禁止
・民間の社会福祉事業を経営するものに対しては、その自主性を重んじ、不当な関与を行わない。
3/不当な公的援助要求の禁止
・社会福祉事業を経営するものは、国または地方公共団体に対して、不当に財政的管理援助を求めないこと。
・この原則の例外として、社会福祉協議会がある。コミュニティーオーガナイゼーション活動を行うためのものであり、民間の社会福祉事業者のほか、これに関する公的職員の参加をするもの。

社会福祉事業の組織、運営
・福祉に関する事務所(福祉事務所)
・生活保護法など、福祉六法に規定する援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、知事の行うもの、市町村長の行うものについて、それぞれを担当し、福祉サービスの一元化を図っている。
・福祉事務所には都道府県、指定都市、市、特別区にはその設置が義務づけられている。
・福祉事務所の職員
・所長、指導監督を行う所員、現業を行う所長、事務を行う所員
・所長と指導監督の所員は社会福祉主事であることが必要。
・社会福祉主事制度
・都道府県福祉事務所−老人、身体障害者を除く、四法事務
・市町村福祉事務所−六法事務
・以上の公的社会福祉事業の運営については厚生大臣の諮問機関として、中央社会福祉審議会、身体障害者、児童審議会が置かれ、地方公共団体には、地方福祉審議会が設けられる。さらに、民間の社会福祉事業については、社会福祉法人制度を設ける。

その他の規定及び制度
共同募金、共同募金会
・共同募金とは「都道府県の区域を単位として毎年一回、厚生大臣の定める期間内に限って行う寄付金の募集であり、その寄付金をその区域内の社会福祉事業、更生、保護事業その他の社会福祉を目的とする事業を経営するもの(国、地方公共団体は除く)に配分することを目的にするものを言う。」
・契機;公私分離の原則が民間団体に対する国庫の補助を禁じたことに由来する。
・発展;地域社会の組織化運動の端緒となる。そして、さらにそれが社会福祉協議会の運動に移行する。

・したがって、共同募金会の任かに当たっては、その区域内の県の区域内の単位とする社会福祉協議会の存在が審査対象の1つになっている。
・共同募金会事業は法において、第1種社会福祉事業であり、その会が行う共同募金はあらかじめ、都道府県協議会の意見を聴き、その目標額、定配分者の範囲、配分の方法を定め、公告し、知事に属さなければならなし、その結果についても広告、及び報告の義務が課されている。

・配分;事業経営するものに限って行う。
区域において、社会福祉事業または更生、保護事業を経営するものの過半数に配分する事を原則とし、例外的に災害、復旧のため、特定の社会福祉に対する重点的配分する場合などを認めている。

社会福祉協議会
・地域ニーズに対応するために、福祉資源の組織化を図り、公私を通じる社会福祉事業の連絡とその調整などを目的とする。
・地域連帯活動をその主足る目的としている民間の自主的な組織。
・設置;都道府県、市町村、地区、協議会
・内容;社会福祉を目的とする事業の企画。総合調査、連絡、調整、助成、普及。
県−市−地域との連絡が大切である。

民生委員
・知事の推薦で厚生大臣が委託する。
・民生委員は社会奉仕の精神でもって、保護、指導のことをあたり、社会福祉の増進に努めるものとする。
・市町村に設置され、言わば社会奉仕の民間篤志家であり、活動には公権的な意味の強制力を伴わない。3年の任期
・内容;住民の生活状況の把握
要保護者に対する相談と自立更生のための援助
福祉事務所などの行政機関との協力

社会福祉・医療事業団体法
・同事業団が社会福祉事業施設及び病院、診療所などの設置、整備などに必要な資金の融通、社会福祉施設職員退職手当救済制度の運営。心身障害者扶養保険事業の実施に関する事務を行うほか、社会福祉事業施設、及び病院などに関する経営指導などの業務を行うことを定める。
・流れ
1953年
;社会福祉事業振興会法が制定
・民間の社会福祉事業の振興
・資金−全額国庫負担
1)法人に対する施設の修理、改造などを含む施設経営に必要な、その他の資金
2)施設職員などの福利厚生資金の貸し付け
1984年
;改正
・社会福祉事業振興会と医療金融公庫の統合
1988年
;更改正
・同事業団体の貸し付け対象が、社会福祉法人以外の者に及び、心身障害者のため、日常生活を営むのに困難な者に対しての居宅にて介護を行う事業を行う者に対しての資金の貸し付けを行う。
1990年
;更改正
・住宅福祉サービスなどの支援体制の強化。そのためのゴールドプランの一環としての長寿社会福祉資金の設置

・国家や公共団体が宗教団体その他の「公の支配」に属さない教育事業、慈善、社会福祉事業に対して、財政的援助を与えることは禁止している。

社会福祉施設職員退職手当共済法
・単独で退職手当制度を創設するのは難しいため、関連施設との連帯、国または県がこれを補助をすることによって民間の社会福祉施設職員に退職金を支給できるようにしている。
・平成4年には、この制度について国、都道府県、事業主が各1/3
の負担になっていたが、この対象に職員のほかにホームヘルパーを含めることにした。

社会福祉士、介護福祉士法
・老人問題が増加する中、福祉に関する相談や介護を依頼できる専門的能力をもっている人材を育成、確保するための資格制度を定めるものである。
・増大する福祉ニーズに適当な対応をし、在宅介護の充実強化を図ることを目的としている。




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生活保護法
法の成立の概要
・我が国における救貧制度あるいは公的救済制度が近代国家のものとしての成立は昭和21年の旧生活保護法である。
・問題点−実施期間が市町村長とされていたが、実質的には民生委員が補助機関として規定され、公私分離の原則に反するようなものとしていた。
・現生活保護法はそれらの問題点を改正し、昭和25年として成立
する。

法の目的・基本原理・定義
目的
・生活保護法は国の直接責任であり、地方公共団体などにその責任において保護を行わせ、国は単に費用の財政援助だけではない。したがって、法上の事務は国家の事務である。
・国の直接責任と言っても、生活事務の決定及び実施に関する事務については、地方公共団体の長に委任するという、機関委任の形式をとる。
1/国家は保護に要する費用の3/4を負担する。
2/厚生大臣の各委任先の期間である地方公共団体の長に対する特別な指導監督権限を有する。

基本原則
保護請求権の原則
・すべての国民はこの法律の要件を満たす限り、この法律による保護を受けることができる。
・すなわち生活保護を受けることは単なる反射的利益として位置付けるのではなく、国民の権利として保障されることを意味する。
・生活保護法の適応は原則として日本国民を対象とするものであるが、外国人への適用もなる。
無差別平等の原則
・今原則は、憲法14条の「法の下の平等」にその根拠を有する。具体的状況に応じて対応すべきことが法の目的。
最低生活保障の原理
・本法1条「その最低生活を保障する。」
・本法3条「健康で文化的な生活基準を維持」
・どの程度が人間的に生きれるかは8条において厚生大臣が自由裁量規定することになっている。
・また「人間に値する生存」は客観的な基準として決定できるものと考えられる。
補足性の原則
・本法における保護を受けようとする者は、前提として、個人的に可能なすべての方法によって最低生活を維持できるようにするべき義務がある。それでもなお維持できない場合に限って保護を行うものである。
・言わば、保護を受けるための実質的な用件を規定するもの。
保護の原則−具体的適用
申請保護の原則
・生活保護が職権主義に基づくものでなく、要保護者、本人などの申請により開始されることを規定。
・申請方式−書面、口頭、手紙など形式にこだわらない。
・決定−福祉事務所の実施期間がその申請があった日から14日
以内に「保護の要否 、種類、程度、方法」を決定する。もし、30日以内に申請者に通知がない場合は却下され
たものと見なすことができる。
・不服申し立て;申請請求(都道府県に対して行う)→不服→再審査請求(厚生大臣に対して行う) ;審査請求は請求の日から50日以内、再審査請求は70日以内に採決する。同期間内に採決が
ない場合は、却下されたものと見なす。
基準及び程度の原則
・厚生大臣の自由裁量、最低生活の保障の原理に基づく細則。
・必要即応の原則
・第1条「・・・その困窮の程度に応じ、その必要な保護を行う。」
世帯単位の原則
・個々の困窮者からの保護の請求を受けた場合、その保護の決定については、世帯全体として行うこととする。
・世帯全員の最低生活費の基準の合計と収入などの認定合計をすることになる。
・また、法の趣旨と異なる場合において、要保護個人を単位として保護の認定をすることになる(形式にこだわらない。)
・また、本条の言う世帯とは、必ずしも扶養親族と言った一定の身分関係に立つもののみを指すものではなく、あくまでも生活の実態に沿ったものである。

保護の種類及び範囲
保護施設

保護の機関と保護の実施
・国民の生存権に関する事務−国の責任
・生活保護法上の保護の決定及び実施に関する事務の委任
・知事市長、社会福祉法に規定する福祉事務所を管理する町村長
・実施に当たっては、福祉事務所所長にその権限を委任しており、その受権の範囲以内において所長は保護の実施期間となる。
・保護実施機関の補助機関、及び協力機関
・本法施行についての指揮及び監督機関
・厚生大臣は知事市町村長を。知事は市町村長を指揮監督する。

・医療機関及び助産機関
・厚生大臣は国の開設した病院等について、知事はそれ以外について、解説者、または本人の同意を得て医療扶助のための医療を担当させる機関を指定できる。
・さらに厚生大臣、または知事は診療内容や医療費の適否調査のために必要とあらば指定医療機関の管理者に対して必要な事項の報告あるいは立ち入り検査ができることになっている。

被保護者の権利、義務
権利
義務

費用
・県、市町村の支弁すべき費用は19条1・2・6条の各規定に基づく保護の費用。各地方公共団体の設置する保護施設の設備費、人件費、行政事務費。国は保護費。保護施設事務費、事務委託費については、県、市の支弁した費用の3/4の負担。設備費についてはその1/2を補助する。




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児童福祉法

法の成立の背景、および目的、理念
・特殊な児童を対象とする、児童保護思想から、児童一般を対象とする、その健全育成と福祉の増進を図ることを基本理念として、「次代の社会を担うものとしての児童」を意識したものである。
・戦後における児童対策は浮浪児対策から始まった。

法律の内容
・児童が心身ともに健やかに生まれ、育成されることを全体の義務として、また、同時に権利として規定され、その権利は、保護者、国、地方公共団体により保障される。

法律の対象となる児童
・18歳未満の者を児童としている。
・児童保護のための労働条件法の規定、年少者の証明、少年法規定の「成年と同じ条件の下に労働し、独立、自活できない。」

法の執行及び実施機関
・給付責任は中央政府あるいは自治体。したがって、国と自治体の行政機関による事務分担。 (専門行政機関、補助機関)
・専門−児童福祉審議会、児童相談所、福祉事務所
・補助−児童福祉司、児童福祉主事
・協力−児童委員
・児童福祉の措置及び保障
・身体に障害が有る児童−視、聴覚、平衡機能、音声、言語、肢体不自由、内部障害や軽度の障害をもつ児童

措置の内容
・助産施設、母子寮、保育所への入所措置
・前者の2つ都、県、市及び福祉事務所を設置する町村、後者は市町村

要保護児童の措置
・非行、養育環境に問題が有る心身障害児
・一般国民の通知義務、児童相談所、家裁などに

福祉事務所の取るべき措置

・児童相談所長が取るべき措置
・都道府県の取るべき措置
・対象児童が26条1項1号、または少年法18条2項の規定に有る送致にあった児童に対して、措置をする。
・また、保護者の児童虐待などにより、著しく児童の福祉を害する場合においても措置を取る。
・知事の取るべき措置
・児童福祉施設に入所中の児童につき、一時保護またはその施設の長の親権行使として認められる場合を除き、どうしても児童の行動を制限し、またはその自由を奪うような強制措置が必要な場合に限られる。→家裁に送致
・知事の権限の委任をしていれば、児童相談所長が行う。また、そのような強制措置を行える児童相談所は一部の教護院に限られている。
・児童福祉施設への在所措置(在所期間の延長措置)
・県は各児童の状況に応じて、27条1項3号の規定により、養護施設、精神薄弱児施設、その他、施設に入所した児童について満20歳に達するまで、国の設置した精神薄弱児施設に入所した児童については社会生活に順応できるようになるまで在社期間の延長を取ることができる。

その他の措置と保護

事業と児童福祉施設
・法の規定する施設は14種類ある。これらは児童厚生施設を除き、
いずれもその対象とする児童の特殊性によって分類された施設目的をもっている。(助産施設、母子寮、保育所、児童厚生施設、乳児院、養護院、精神薄弱児施設、教護院等)
・また、1990年の在宅福祉サービスの法律家によって、国や地方公共団体以外の者は、児童居炊く生活支援事業を行うことができるようになり、支援の委託を受けた場合には正当な理由がない場合、それを拒めないものとされている。

費用
・大部分が国や地方公共団体が負担する−公的責任の原則
・最も大きい比重を占めるのは「措置費」大体は国庫1/2、地方公共団体1/4が原則

児童福祉法の課題
・児童福祉法の掲げる基本理念とその具体化のための規定との間にずれがあり、あいまいである。
・政令に安易に委任している。
・実際の法適応の段階でも、施設不足や財政上の理由で必要とされるサービスが受けられない。
・またそれらに対する有効な救済手段や訴訟手段が欠いている。
・また、貧富の差に関わらず、だれでも利用できるという理念により、安易な権利の横暴化に陥り、積極的な権利保障が形骸化している。

その他の規定及ぶ制度
母子保健法
・母性、乳児、幼児の健康の保持とその増進を目的とする。母子健康手帳の交付、保健指導、訪問指導など
・この責任は国と地方公共団体にあるが、主要な実施者は都道府県、又は、保健所を設置する市にある。
・費用は国である。

児童手当法
・義務教育前の児童を含む2人以上の児童を養育している者に児童手当を支給し、家庭生活の安定、児童育成に目的を置く。
・対象は第1子2子は月額5千円、第3子以降は1万円を3歳未満まで支給する。
・費用は、国、地方公共団体、市町村及び事業主がそれぞれの割合により負担。

児童扶養手当法
・父の死、障害児、離婚のため生活貧困などからの児童の救済。
・月額35100円、該当児童が複数である場合、2人のときは5千円。
3人以上は3子以降は1人当たり2千円を加算した額→物価変動によりその額は上下する。
・費用は国3/4、地方公共団体1/4負担
・特別児童扶養手当などの支給に関する法律
・心身に重度の障害をもっている児童(20歳以下)と(20歳以上)の同様の状態の養育者に対しての救済。
・1級、重度障害者に対して、障害児1人につき、月額43580。
2級に対しては29050円となる
・費用は、その割合により、国、都道府県、又は福祉事務所を設置する町村がそれぞれの割合によって負担する。




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母子及び寡婦福祉法

法制の歴史について
・明治7年恤救規則、同37年下士兵家族扶助令など。昭和12年母子保護法など存在していた。これらの規定は、一般扶助か軍事厚生としての扶助対象であり、現在のような個人の人格の尊重に基づくものではなかった。

・その後の動向として、昭和24年の衆参決議、−戦後の女子の救済
・戦後は母子家庭が多いうえ、女子(未亡人)の扶助額は男子の半分であるなど不平等であった。

母子福祉対策要綱
・憲法における平和主義に基づく対策、遺族中心、配偶者と死別し、18歳未満の子女を扶養する者、又はこれと同様の社会的条件にある子女を抱えた婦人を含む。
・公的扶助などもA〜Cと同じ政策
・母子福祉資金の貸し付けに関する法律
・上記の法制を具体的にするための制度

・昭和34年「国民年金法」−母子年金など様々な制度を創設したが、必ずしも十分な母子福祉が実現したとは言いがたい。
・上記の制度は遺族中心の母子対策で限界があった。そして、積極的には「母子福祉のあるべき基本原理の明定とそれに基づく総合的な母子福祉施策を規定した法律を規定する」必要があった。

母子福祉法とその後の改正
・対象が20歳未満のこのいる母子家庭であったが、子が成人しても資金の低利貸し付けを受ける制度の創設が必要になっていた。
・そこで、昭和44年から40歳以上の寡婦を対象とした寡婦福祉資金貸し付け制度が予算措置で創設された。

母子福祉の関連法
−国民年金法、児童扶養手当法、母子保健法、労働基準法、育児休業法など

法律の内容、概要
法の原理
・1条−生活の安定と向上のために必要な措置を講じ、もって母子家庭の福祉を図る。
・2条−母子家庭の児童には心身ともに健やかな育成をその母には健康で文化的な生活の保障
・3条−その責務が国と地方公共団体にあること。
・用語の定義
・寡婦−配偶者のいない女子でかつて子女を扶養していたことがある人。

母子福祉の機関
・母子福祉審議会−地方公共団体に設置が義務づけられていて、積極的な機関。母子の事項の調査、厚生大臣の質疑などに対する答申。
・母子相談員−都県の設置が義務。非常勤が原則だが、社会福祉主事、児童福祉司の資格をもつ者は常勤できる。福祉事務所におかれる。母子世帯の発見、面接、調査、訪問、指導
・福祉事務所−第1線の現業機関
・児童委員−民生委員と意味を同じくする

母子福祉施設
・母子福祉センター;児童相談所、福祉事務所、職安所など
・母子休養ホーム;レジャーに関する道具、文具を備えるのが望ましい。(母子寮の規定)

施設の設置主体
・特別な制限がない。ただ、これらのものの設置義務については、主体の如何を問わず任意の設置となる。

母子福祉の措置の種類
・主要なものは1である。理念の現実化として実効性がある。額の妥当性の問題。給与水準の問題、雇用に関する課題など今後の課題はある。

父子家庭の福祉
・対策としては公営住宅への配慮、児童相談所での指導や保育所、乳児院、養護施設への入所措置、父子家庭介護人派遣事業などの生活指導、税制上の寡父控除の制度の創設など




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身体障害者福祉法

戦後の立法
・昭和24年に本法の成立を見る。また、傷痍軍人に対する救済からその原因を特定しない身体障害者という特徴を有する者に対して平等に適応する。
・ノーマライゼーションの理念「文化的に標準である個人の行動や特性を可能な限り確立するかあるいは維持するために文化的に標準となっている手段を可能な限り利用すること」

法律の目的
・身体障害者の自立と社会行動への参加の促進をするために身体障害者を援助し、必要に応じて保護を行うことにより身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とする。
・社会活動の参加とは、独立を意味するものではなく、あくまでも促進である。
・ノーマライゼーションによる社会参加が望ましい。

身体障害者の定義
・身体障害者福祉法施行規則第5号の類型のいずれかに該当すること。18歳以上であること。都県の交付する身体障害者手帳をもつ者。
・身体障害者には次の障害をもつものが含まれている。
視覚、聴覚、平行機能、音声、言語、咀嚼機能障害、肢体不自由、
内部障害

援護機関、及び実施態勢
・身障者が居住を有する場合−都道府県、市町村が管轄
有しない場合−都道府県が実施機関
・諮問機関−身体障害者福祉審議会
・援護機関−身体障害者厚生相談所、福祉事務所、身体障害者福祉司
・1990年の改正により、援護施設への入所決定、身体障害者の発見、相談、関連機関への紹介、サービスの利用指導、厚生訓練費、医療、補装具の給付等の事務の町村への委託により市町村が在宅福祉サービスが行えるようになり、きめ細かい指導が行えるようになる。
・都道府県の事務としては手帳の交付、手当の支給、更生医療の担当機関の指定など限られた、機関委任事務になる。
・身体障害者厚生相談所は、指定都市に置かれ、身体障害者の医学、心理学、職能判定、併せて、身体障害者に対する専門的な知識や技術を必要とする相談指導を行う。
・身体障害者福祉司を平成5年4月1日からこの機関に設置することになり、地域的にも広域な範囲として入所措置を取る。
・協力機関−福祉事務所を設置しない市町村、民生委員、身体障害者相談員
・これらは相互関連を欠いて発達してしまい。コンビネーションに欠けるところがあった。その欠陥を補うために成立した法律が、「心身障害者対策基本法」である。

身体障害者更生援護施設
入所施設

利用施設

その他の本法によらない施設
・盲人ホーム−あんま、針、灸師等の免許をもっているのに、施術所を解説できないでいる盲人のための自立更生を目的とする共同施術所

費用
・国が1/2以内、都道府県が1/4以内の補助ができる。
・町村の支弁する身体障害者更生援護施設の入所に要する費用は、国が1/2、都道府県が1/4負担する。
・市及び福祉事務所を設置する市町村については、国が1/2、市が1/2の負担

その他の関連法律
・心身障害者対策基本法
・障害者の発生の予防、医療、訓練、保護、教育、雇用の促進。文化的諸条件の整備や国民の理解に関する事項を定め、彼らに対する総合的促進を図る。また、国や地方公共団体の責任を明らかにしている。




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精神薄弱者福祉法

本法の目的
・精神薄弱者の背負っているハンディキャップは、精神薄弱者による社会生活上の困難だけでなく、法律、制度、施策などの欠陥、不備に基づく社会的経済的な障害が重ね合わさった社会的に制約された困難と言われている。
・しかも、資本主義にあっては、「自助の原則」で貫かれているため、その困難は本人だけでなく、家族単位で負担することになる。
・そして一般に扶助能力の弱められた家族の中にあって、家族の外に出て、治療や訓練を受けたり、社会参加の機会を得ることも困難な状況にある。−その救済を目的とする。

精神薄弱者の定義
・定義はない。
・あえて、「精神薄弱者とはいろいろの原因により、精神発達が恒久的に遅滞し、このため、知的能力が劣り、事故の身辺の事柄の処理、及び社会生活への適応が困難な者」のことをいう。
・この必ずしも明確でない精薄の範囲に該当するものの受けるべき援助の内容

精神薄弱者福祉法の基本法
・本法で言う更生は、自活のみを意味するものではなく、日常生活における身辺の処理の自立をも意味する。
・また、保護は経済的保護に止まらず、介護をも含む広い意味

福祉の機関
・身障者福祉法と同じく、居住の有無による管轄は同じ。福祉事務所の窓口にて行われる。

援護の実施機関
A;福祉事務所
1.実情の把握−精神薄弱者の福祉に関して必要な実情の把握
2.福祉放談−相談に応じ、必要な調査、指導
・所長は、医学的心理的判定を必要とするとき、精神薄弱者更生相談所の判定を求める。
B;精神薄弱者更生相談所
1.精神薄弱者に関する相談
2.18歳以上の精神薄弱者の医学、心理、職能判断を付随する必要な指導
3.1.2.のような相談、判定、指導の事務を巡回する。

事業及び施設
・精神薄弱者居住生活支援事業の法的整備による在宅福祉サービスの位置付けの明確化−(ホームヘルパー、グループホーム)
援護施設

精神薄弱者福祉法による福祉の措置

費用及び徴収
・市町村の支弁する居宅における介護の措置に要する費用については、国が1/2、都道府県が1/4以内の補助ができる。
・県が支弁するショートスティについては、国が1/2以内の補助。

療育手帳に関する制度
・精神薄弱者の福祉の増進を図ることを目的とし、彼らに対して一貫した指導と相談を系統的に行うことと、援助措置を受けやすくするための制度として療育手帳がある。
・手続きは精神薄弱者の居宅を管轄する福祉事務所長を経由して、知事に申請。
措置

・知事は交付後の障害の程度を確認するために原則として2年毎に各相談所において判定することになっている。

その他の関連法律
・精神保健法−精神薄弱者等の医療及び保護を行い、その社会復帰を促進し、彼らに対する福祉の増進を図る。
・内容−精神保健指定医、医療及び保護。
精神障害者社会復帰施策等について規定
 



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老人福祉法

本法制定の背景
・昭和38年−高齢者対策;養老院への収容保護、各種の老齢年金
・高齢者問題、人口、核家族、出生率の低下、老親扶養に関する国民意識の変化
・原因−家制度の廃止、過疎化、都市部における老齢者の増加
・積極的にならざるを得ない、所得保障、医療の充実、生きがいの付与、住宅の確保、(豊かさを内容とする福祉対策の確立)
・ゴールドプランの確立−高齢者保健推進10カ年戦略
・地域中心の福祉
・要介護老人対策、老人の生きがいと健康

法制度の内容
・次代の流れの中で、その要請に応えるため、本法は老人への福祉サービス給付の内容、及び適応の拡充
・本法の目的と理念−安らかな生活安定、敬愛、社会参加の機会の提供;老人の福祉を実現することを目的とする。
・対象「老人概念」;一般的な社会通念場の把握概念に委ねられている。−個別的に規定(抽象的)

老人福祉サービスの実施機関
・責務は、国、地方公共団体
・主たる機関として社会福祉主事、福祉事務所、民生委員
・入所措置権は、市町村に委譲され、介護派遣事業、ホームヘルプサービスは、団体委任事務とされていた、ショートスティ、ディサービスに関する在宅福祉の措置が、在宅サービスを同じレベルに位置付け、市町村に置いて、老人サービスを一元的に実施されることになった。

本法の規定する措置の内容
・老人のもつハンディキャップの補填を目的にしている。
・所得保障、個別的なサービスの提供、重介護老人の激増、
・市町村の行う福祉の措置
・入所決定権−町村→要介護老人、老人ホームへの入所措置の総合的な実施についての努力義務
・Aを一括して規定し、それらの事業の開始、廃止、休止等についての規定をし、これらの事業を行う者、及び施設の創始者は措置の受託義務がある。

老人福祉計画
・保健事業については、40歳以上の中高年がその対象となる。
・医療に関しては、各種医療保険加入者で70歳以上。
・ただし、受診料が無料から一部負担となる。

老人福祉サービスとして、老人保健法の定める施設
*有料老人ホームは本法の範囲に入らないのだが、指導などを行う。また、設立に際しては、事前届け出制にする。また、老人は申請により入所させるのではなく、要措置老人の発見に努めるという方針を採用している。

指定法人
・老人健康保持事業を推進するために、厚生大臣が民法法人を指定し、老人が積極的に社会参加できる事業を行うことを目的として、法人制度を創設した。
・長寿社会開発センターなど
・有料老人ホームに関する規定の設置
・利用者と施設の契約−選択制
・ホームのメンバーによって構成される協会を設立し、サービス向上に努める。
・入居者に対する不当処遇、又は、利益を害する行為については厚生大臣などはその改善に必要な措置を取るべきことを命じられる。
・規定に反する場合は、罰則規定が設けられている。

老人福祉の費用、貯源、及び費用の徴収
・居宅生活支援、入所措置については、国1/2、地方公共団体1/4
・国家予算中の貯源の比率を上げる→国民徴収→地方自治体の超過負担→受益者負担となる可能性がある。


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