野 菜 か? 野 草 か?
(1998.10.23)
 
 カボチャやジャガイモといった野菜や、明らかに園芸種と思われる草花が荒れ地などで雑草に混じって見事に花を咲かせているの見掛けることがある。たいていは次の年には姿を消してしまうが、中には毎年花が咲いて、どう見ても自然繁殖していると思われるものがある。

 いささか季節がずれていて恐縮だが、写真は東京都大田区城南島の歩道のアスファルトの割れ目に生えていたニラの花である。ニラは中国原産のユリ科の多年草で、日本には野菜として輸入され、長い間栽培されてきた。そのニラが毎年夏の終わりの頃になると、道端や荒れ地のあちらこちらで花を咲かせているのが見られる。いずれも人が栽培あるいは管理している状態ではなく、どうも自然繁殖しているらしいのだ。
 畑で栽培されているのであれば、ニラは野菜である。しかし、道端で人手も借りずに花を咲かせるニラは、はたして野菜なのだろうか。

 植物に関連する言葉に「逸出植物」というのがある。栽培目的で外国から持ち込まれた植物が野生化し、自然の状態で繁殖するようになったものを指す。今は野草として扱われているものの中にも逸出植物に該当するものは数多くあり、例を挙げると、「野草探険」のページで取り上げているマツヨイグサ、コバンソウ、タカサゴユリ、ムラサキカタバミなどは皆そうである。いずれも今は野草の扱いを受けているが、元をただせば観賞用として輸入、栽培されていた園芸用の草花である。ニラも栽培目的で日本に入ってきたものであり、それが自生するようになったとすれば立派な逸出植物である。つまり、野草として扱ってもいいのではないかと思うのだが・・・

 とは言っても、果たしてそんなことを自分勝手に決めて良いものかどうか判断に迷う。そこでニラに限らず、野草かどうか判断がつかないときは複数の野草の本を調べてから決めることにしている。もし、その草を野草として掲載している本が一冊でもあれば、その草は野草とするし、そうでない場合には野草から除外することにしている。ニラの場合は、残念ながら野草として掲載している本には出会えなかった。どうやら今のところはニラは野草として認知されてはいないようである。

 それにしても、野草か野草でないか、一体誰がどのようにして決めるんでしょうか・・・ どなたかご存じの方が居られましたら教えて下さい。


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