八 景 坂 と 天 祖 神 社
(2007.12.11)
 
 JR大森駅の西口を出ると、すぐ目の前の通りが八景坂(池上通り)。 通りの向かい側の急な石段を登ると天祖神社である。

  八景坂とは、現在の池上通りの山王2丁目から山王3丁目にかけての坂道のことで、かつては坂の上からの眺めが見事で、江戸近郊の名勝とうたわれた。 しかし、今は道の両側に建物が立ち並び、ひっきりなしに車が行き交い、昔日の眺望は望むべくもない。 ただ幸いにも広重が絵を残してくれたので、それらの絵から往時をしのぶことはできる。


 天祖神社は、その名の通り祭神が天照大神。草創の年代は明らかではない。
 八幡太郎義家が奥州征伐におもむく途中、この社で戦勝の祈願をしたが、 そのときに境内にあった松の木の枝に鎧を掛けたと言われる”鎧掛の松”の伝説がある。 この松の木は安藤広重の絵になって、八景坂とともに名勝として広く世間に知られていたが、残念ながら枯れてしまった。 昭和の初めまでは境内に根株だけが残っていたそうだが、今はその痕跡もない。

 近くには、大森貝塚山王草堂記念館などがあり、 一度立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
 
参考資料:大田区立郷土博物館編集 馬込文士村ガイドブック
学生社刊 大田区史跡散歩


所 在 地 東京都大田区山王2-8-1
交   通 JR京浜東北線大森駅下車、西口を出てすぐ(地図を参照)