お七地蔵(地蔵菩薩立像)
(2007.12.11)
 
 今からおよそ300年ほど前に、恋しい人に会いたいばっかりに放火をして、火あぶりの刑で鈴が森の露と消えた”八百屋お七”の話しはあまりにも有名だが、 そのお七の霊を慰めるために立てられたのが、「お七地蔵」の通称で知られる地蔵菩薩立像で、鈴が森の近くの 密厳院という寺の境内にある。 お七の3回忌の供養のために、お七の住んでいた小石川の念仏講中が、わざわざ鈴が森に近いこの寺を選んで建てたものである。大田区の文化財に指定されている。
 このお地蔵さん、像高が約1.6メートル、蓮座、台石まで含めると2メートルを超える大きなもので、お七が若い娘だったことから振り袖姿である。 鈴が森にあったものが一夜で今の場所に飛んできたという、一夜地蔵の伝説もある。

 地蔵菩薩立像と並んで、庚申供養塔が立っている。 1662年(寛文2年)に造られたもので、庚申塔としては大田区で二番目に古く、また、塔身の阿弥陀如来の彫刻が庚申塔としては全国的にも珍しいものだそうで、 やはり大田区の文化財に指定されている。

 密厳院は真言宗の寺で、寺号は祈念寺、山号は八幡山。寺伝によると、開創は1448年(文安五年)。 現在は小さな寺だが、かつては広大な境内を有していたという。

 文字通り、恋いに身を焦がした”八百屋お七”の供養のために、機会があれば一度訪ねてみてはいかがでしょうか?  歩いて数分のところには、年末の酉の市には大変な人出で賑わう鷲(おおとり)神社や、 烏石で知られる磐井神社があり、ちょっと離れて品川水族館、 名所旧跡にはそぐわないかも知れないも平和島競艇場や大井競馬場もあります。
 
参考資料:学生社刊 大田区史跡散歩


所 在 地 東京都大田区大森北3-5-4
交   通 JR京浜東北線大森駅下車、徒歩15分 (地図を参照)
    京浜急行線大森海岸駅下車、徒歩15分 (地図を参照)