とうとうルビスのまもりを手に入れてしまった(イヤなんか)勇者2人組は、再び呪われた町ベラヌール(嬉しくない枕詞)に戻った。おさえは早くエンディングに辿り着きたいのか、加速装置をONにしたような勢い(分かるようでよく分からない比喩)で旅の扉へ向かおうとした....んだけど、振り返ると、案の定ゆたすけの姿が消えていた。また宿屋に戻ってりんご君の顔を見てるに違いない。おさえは踵を返して宿屋へと向かった。
「りんご君、君は覚えているだろうか。2人で空を飛んだ時のことをい。あのとき、君は震えていたね。ぼくは君を不安にさせないようにつまらない冗談を言っていたけど、実は、ぼくも怖かったんだ。あのとき、ぼくらは2人で震えていたんだね。ぼくたちは、雨が降る木の枝に寄り添う小鳥だったんだ。ぼくは、いつまでも忘れない」
「お前は『高校教師』の真田広之か」
「おさえ、いつのまに」
「さっきからずーっといたよ。ほら、いつまでもメソメソしてないで、冒険冒険」
「冒険なら1人で行ってくれ(今日の暴言)」
「ハーゴンを倒せば呪いも解けるって、口がバルサミコより酸っぱくなるほど言ってるのに」
「やだやだ。ぼくはここから動かないよ(子供か)」
「どーしてもここを動かないってか」
「動かないったら動かない。動かざること山の如し(誤)」
「イオナズ....」
「行きます行きますいま行きます」
2人のショートコントは終わった? (笑) そんなわけで2人は気を取り直して(笑)最後のダンジョンに再びチャレンジすることに。
冒険の前に買ったミンクのコートのおかげでおさえへのダメージも最小限に抑えることができ、2人はあっという間に最後の大地に辿り着いた。
しかし、それにしても、やはりハーゴンの城近辺のモンスターは強い。今の2人には強すぎる。しばらくは最後の祠の周囲でレベルアップに励まないと、ハーゴンの麗しき御尊顔を見ることすらできないかも知れない。
ゆたすけとおさえの、地獄の特訓が始まった。サイクロプスとの激しい攻防、たまにギガンテスやデビルロードなどの強敵との逃げたくなるような戦い(逃げんなよ)、そしてうさぎ跳び、ヒンズー・スクワット、ブルワーカー、人間椅子、重いコンダラ(誤)、カーロス・リベラとのスパーリングなどなど、2人は数限りないメニューを消化して行った。
その結果、2人は悪魔のよろいと悪魔のしっぽという、ちっともありがたくないアイテムを手に入れることができた。
「おさえ、これを装備してみろ」
「アイアイサー、ご主人様」
「(こいつ、とことんバカだなあ)」
おさえは疑うことなく悪魔のよろいと悪魔のしっぽを装備した。
「う....うげげ....」
「どうしたおさえ、気分でも悪いのか? (お前が装備させたんだろ)」
「ぐぐ....ぐげげ....」
「おさえ!! しっかりしろ!! (ちょっとヤバイと思い始めている」
「うーん、うーん」
「今すぐ祠に連れて行ってやるからな」
そう言うと、ゆたすけはおさえを背負って歩き始めた。しばらく歩いていると、おさえのうめき声がやんだ。まさか....死んじゃったんじゃないだろうな(縁起でもない)。ゆたすけは恐る恐る振り返ってみた。
「悪魔でーす」
訳が分からずにぽかーんと口を開けているゆたすけに、おさえは満面の笑みを浮かべて続けた。
「おさえの悪魔度がアップした!!」
おさえはこらえきれずに笑い始めた。苦しんでいたのは演技だったのだ。ゆたすけは、怒るよりも、安心したのとおさえのシュールなネタに、思わずつられて笑ってしまった。
2人は白い大地で笑った。ひっくり返って笑った。笑って笑って笑い続けた。
ゆたすけは思った。「こいつ、化物じゃないか」
ゆたすけは思った。「こんなに腹の底から笑ったのは久し振りだなあ」
そして、ゆたすけは思った。「おさえって、意外と可愛いな」
え、ええーっ!?
マジ? マジっすか!? そういう展開になっちゃうの!?
ということで、愛は本当に世界を救えるのか!? 次回をお楽しみに....。