最終更新日/Up Date : 12/07/2009
鉄道好きにとってイタリア北部のミラノといえば、市内を網の目のように走るアーバン(市内)・トラムの路線網とそこを走る「ピーターウィット」と呼ばれる窓の大きな旧型電車を思い浮かべますが、かつては市内のトラム網と郊外の町々を結ぶ大規模なインターアーバン・トラム(Tramvia Interurbana)の路線網もありました。
道路の脇をのんびり走るインターアーバン・トラムは自動車の普及や地下鉄の延伸で廃止が進み、殆ど姿を消してしまいましたが、今でも市北部に2路線24.7kmが現存しています。
一つはミラノのニグァルダ(Niguarda-Parco Nord)とデージオ(Desio)を結ぶデージオ線(178系統)で、もう一つはミラノのアッフォリ(Affori)とリンビアーテ(Limbiate)を結ぶリンビアーテ線(179系統)です。両系統はかつてはミラノ市内のヴァルテッリナ通り(Via Valtellina)に共通のターミナルを有していましたが、1999年4月に市内への乗り入れが廃止され、現在の形になりました。デージオ線は同線の市内廃止区間を使ってLRT(Metrotramvia)化された市内トラムとニグァルダで接続(軌道は繋がってますが、車止めで分離)していますが、リンビアーテ線は軌道網から孤立した存在になっています(市内廃止区間で地下鉄3号線(M3)の延伸工事が進められています)。
車両は、両線とも1940〜50年代に両運転台の電車として製造され、1961-4年に3両固定編成(Tc-M-Tc)に改造された500形・800形が専ら使われていますが、リンビアーテ線では学校のある平日朝に戦前製の旧型電車がトレーラー4両を牽くという、往年のインターアーバン・トラム全盛時代を髣髴させる通学列車が一往復運転されています。
さて、時代に取り残された様な存在のインターアバン・トラムですが、2008年にデージオ線の近代化計画が公表され、路線の一部複線化やデージオ市街の先にある鉄道駅前への延伸、車両の新型低床車への置き換え、ミラノ市内中心への乗り入れの復活などが盛り込まれました。同線を運営しているミラノ市交通局(ATM)の発表では、近代化の工事は2009年1月にも正式決定され、その後3年半ほどの工期を経て完成するとのことでした。
しかし、このところの世界的な不況のせいか(正確な理由は不明ですが)、2009年に入ってもデージオ線の近代化工事は着手されていません。ここでは一足先に公開済みの2008年11月に撮影した写真に、2009年03月に再訪した際に撮影した写真も加えて再編し、インターアーバン・トラムの様子をご紹介いたします。
2012.01補足
地下鉄3号線(M3)の延伸に伴い、2011.03.26よりリンビアーテ線(179系統)のミラノ側起点のアッフォリ〜コマジーナ(Comasina)間が廃止になり、コマジーナでM3に接続する形になりました。
デージオ線(178系統)は近代化工事着工に伴い2011.10.01よりバス代行になっています。
2012.07補足
安全性の問題(?)から、2012.05.14よりリンビアーテ線(179系統)が運行休止、バス代行になっています。
朝の務めを終え、ヴァレード車庫(Varedo Deposito)で入れ替え作業中のリンビアーテ線の92号。92号はこの形式の最終番号車で、1928年製造の古豪。(車庫の敷地外の公道から撮影)
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