鳳来の岩場を愛するクライマーの会

2008年11月21日作成


荷物・ギアの残置について
―ルールを少しゆるやかに考えませんか―

11月2日の清掃日にクライマーの皆さんにお知らせした内容(「残置物について」)は、《荷物やヌンチャクの残置許可》というように、一部の人には誤解して受け取られているようです。
最近、約60人のクライマーのかたが、署名入りのご意見を寄せられました。
そこに書かれていた当会への要望は、まとめると、
1. 今回のルール変更に至った経緯について説明してほしい。
2. 従来の「荷物やギアをいっさい残置しない」というルールに戻してほしい。
という内容のものが多かったようでした。

そこで、当会の基本的な考え方について補足説明します。(以下は、署名とは別に、直接当会へ質問されたかたへの返答をベースにしたものです)

当会から提案した内容は、「残置物を許可」するのとは違います。
残置物はこれまでどおり基本的には持ち帰ってください。そして岩場がきれいに保たれるようにみんなで注意していきましょう。
けれども、ヌンチャクを回収し、残置物を持ち帰るという意味は、どんな場合であっても絶対に守らなくてはならない厳しいルールなどではありません。だから、急に雨が降り出して岩がぬれてしまったり、日が落ちて暗くなっているのに、それでもルールだからと岩に取り付くような危険なことはやめましょう。事故の危険性を冒してまでヌンチャクを回収するのは本末転倒です。そういうことは一般常識の範囲で判断してください。
また、鳳来には60歳をすぎ70歳近くなっても、どっかぶりルートに挑戦する先輩クライマーがいます。いくら体を鍛えてはいても1時間以上の山道の登りはきついでしょう。アプローチで疲れ果てた状態でルートにとりつくのは、それだけ危険でもあります。また、かぶったルートに何回も挑戦して、それからヌンチャクを回収して、日の落ちかけた山道を1時間近く歩いて下るのは、高齢のクライマーには苛酷です。本人の体調と相談したうえで、高齢者のように体力の弱い人が連日鬼岩に通うような場合は、その1日目に限っては荷物を見えない場所に置いて帰ってもいいのではないでしょうか。体力的に不利なクライマーでも、できるだけよいコンディションで登ったほうが、全体的にクライミング事故を防ぐことにつながるでしょう。

鳳来が登攀禁止の危機にあったとき、クライマーたちは残置をしないように努力して、岩場をきれいな状態に保ちました。そのときには「残置しない」ことは、絶対に守らなければいけないルールのように意識されました。けれども、今は地元の人たちがクライミングを理解してくださり、クライマーのことを信用してくれています。だから、多少ヌンチャクが残っていても、岩場の見えない場所に一時的に荷物を置いていても、地元で問題になることはありません。それで、個々のクライマーの良識を信頼して、従来の「残置禁止」ということに関して少しゆるやかに考えようと提案しました。そして、これまで「残置禁止」に注がれてきた労力を、クライミングで登ることに集中するのと同時に、特に事故防止の方面へ向けていくほうが、現在は重要なことだと考えています。
以上が、クライマーの皆さんにお願い、または提案した趣旨です。

なお、12月上旬発売の『ロック・アンド・スノー』に、これに関してまとまった記事を載せることになっていますので、そちらも見てもらえればと思います。

(文責=広報係・野村)




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