鳳来の岩場を愛するクライマーの会

2008年1月5日作成


クライマーのレスキュー練習会&交流会 実施報告
2007年11月3日(土)実施




乳岩峡でのレスキュー練習会

 
実施日時 平成19年11月3日(土) 10時〜16時30分
実施場所 乳岩峡周辺、乳岩、ガンコ岩
クライマー受講者 24人
  新城市広域消防の方 12人
  新城市教育委員会スポーツ課 2人
  新城市川合区駐在所(視察) 1人
実施内容 1. セルフレスキューに対する心構え(講義)
  2. 消防による山岳救助の実情の説明、質疑応答
  3. ザックを連結した簡易担架での搬送
  4. 1人での背負い搬送(スリング、ロープ、ザック使用)
  5. ガンコ岩からの搬送実技
  6. 反省・感想など報告会

清掃前日の11月3日、クライマーのためのセルフレスキュー練習会を行ないました。プロの山岳ガイドで、当会メンバーでもある黒田誠が講師役を務めました。
参加者はクライマー約30名(受講者+当会メンバー)のほかに、新城市消防から12名のかたが見学されました。消防のかたがたは実際に山岳地での救助活動を行ない、防災ヘリに乗務するかたもいらっしゃいます。クライマーたちがどの程度救助作業ができるか、どのような方法で行なうかを見たいということでした。

最初に、セルフレスキューを行なうにあたっての心構えについて説明がありました。事故が発生したとき、一番重要なことは事故者の生命を救うことです。そのために、クライマーは救急救命法の知識・技術を身につけるべきですが、当日は救急法は対象としませんので、別の機会を利用して学んでほしいということでした。
そして、搬送技術などを覚えると、少し無理をしても搬送しようとしてしまいがちですが、レスキューにおいては無理をしないことが重要です。携帯電話などで救助要請が可能で、ヘリコプターで運んでもらえるなら、そのほうが安全で速いということです。
続いて、消防のほうから、鳳来地区周辺のレスキューの現状について説明がありました。クライマーからの質問にも答えていただきました。この地域でも比較的よくヘリコプターが飛んでおり、山岳救助の実績も充分にあるので、事故発生の場合はまず119番通報してくださいということでした。
岩場で事故が発生した場合、クライマー側で最少限必要な初期レスキューを行なって、消防の救急隊へ引き渡すことになります。今回、小さな一歩ではありましたが、消防の皆さんと交流をもてたことは有意義だったと思います。

次に、搬送実技の練習をしました。講習内容は、ザックを連結した簡易担架に乗せて4〜6人で運ぶ方法、長いスリングで背負う方法、ロープの束で背負う方法、ザックと雨具で背負う方法、以上4種類でした。これらの方法は、ロープの特殊な結び方などもほとんどなく、クライマーが普通に持っているものだけで行なうことができます。
午後からはガンコ岩に移動して、立ち木を利用したロープ確保の方法を学んだあと、グループに分かれて実際に搬送を経験しました。岩場の基部から登山道まで急斜面を確保しながら下ろし、それから山道を乳岩基部まで搬送しました。
乳岩峡駐車場へ戻り、最後に参加者それぞれの感想を聞きました。非常にシンプルな方法で搬送できることへの驚きと、周辺のクライマーへ伝えたいという声が多かったように思いました。

今回のレスキュー練習会では、消防のかたがたとの交流も含めて、多くの参考になることがらを学びました。『ロック・アンド・スノー』2007年冬号(山と溪谷社)に詳しい解説が掲載されていますので、関心のあるかたはそちらも参照ください。
当会では、今後もクライマーのために役立つ企画を厳選しつつ、実行していきたいと考えています。

 

〔クライマーの交流会〕

この日、夕方17時30分より、川合地区の公民館をお借りして、クライマー有志による交流会をもちました。現在、鳳来のクライミングエリアで何か問題点はないだろうか、また、クライマーの皆さんから当会への要望などお聞きしたいというのがおもな目的でした。
大きな話題としては、次の2点があがりました。
(1) 5月に鬼石で起こった平山ユージ氏と現地クライマーとのトラブルについて。
(2) 当会の活動全般について、もっと活発に活動してもらいたい。
第1の点については、時間内で一定の合意に至ることはできませんでした。しかし、一方の当事者から直接お話を聞けたことはよかったと思います。岩場利用の姿勢、マナー、ローカルルールなどの大きな問題点を含んでおり、引き続き検討していきたいと考えます。当会の公式見解は『ロック・アンド・スノー』36号(2007年6月)に発表していますので、参照いただければ幸いです。
第2の点については、現在、秋の清掃以外には、当会はほとんど目立った活動をできていないのが現状です。公式サイトの更新も少なく、現地情報などの面でも、地元のかたがたへの広報という意味でも役立つものになっていません。
全国的にみれば、いくつかのクライミングエリアにおいて、岩場アクセス問題への対応を中心としながら、現地クライマーの組織がしっかりした活動を行なうようになってきました。そうした動きと連携しながら、鳳来の「愛する会」でもしっかりと活動してほしいというのが、クライマーの皆さんからの激励であり、要望だったと思います。

結果的には、当会の準備不足もあって(司会を立てなかったのは失敗でした)、必ずしも充分な意見交換ができたとはいえませんでした。参加者も十数名程度と少なく、2時間ほどで語りつくすのは難しかったと思います。
しかし、クライマーの皆さんと顔を合わせながら、直接話ができたことは有益だったと思います。

(記=HP管理人)

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