鳳来湖の岩場を愛するクライマーの会

2009年10月16日作成


ルール緩和1年後の鳳来
鳳来・鬼石(鬼岩) 2009年10月12日

連休最終日に、鳳来・鬼石(鬼岩)へ上がってみた。
乳岩駐車場に10時ごろ行くと、車はトイレ横の観光客用スペースも含め満杯で(注1)、クライマーの看板が立った位置から6〜7台はみ出した車が縦列駐車していた(注2・注3)。
到着したハイカーの車がUターンして戻り、その最後尾に停めていた。
道路の片側に空けられたスペースは、ギリギリ救急車が通れるぐらいか、消防車なら通れないかもしれない。路肩が少し崩れたのだろうか、駐車スペースが以前よりも狭くなったような気がする。
クライミングの荷物をそこに下ろして、私は小滝橋に車を戻し、ジョギングで乳岩口に引き返した。ウォームアップにちょうどよい距離である。小型の自転車を積んでいる車もあった。事情を知って、それぞれ工夫して解決している。駐車のスペース取りに必死になるまでもない。

 


鬼岩メインウォールのクライマーたち

 

鬼石に来ると、クライマーは6〜7組ぐらいか。10組もいなかったと思う。ハイカラにも数組はいた。地元のクライマーがほとんど来ていない。関東や関西からのクライマーが多かった。
最終日だから他のエリアへ行ったのか、あるいはボルダーか。
それとも、いろいろあったので、鳳来で登るのがいやになったのか(?)
ともあれ、すいている鬼石で、順番待ちもなく快適に登れるのはありがたい。
あんこ、めばえ、鬼岩入門とか、鳳来のさわりみたいなルートを登った。ハイグレードは無理な私にも、鳳来特有の傾斜とガビガビホールのクライミングはおもしろく、留年、卒業から先、課題は無尽蔵に開かれている。5.12から先をめざすクライマーにはすばらしいエリアである。
鳳来はクライマーに夢を感じさせてくれる岩場である。
この岩場に日帰りで通えるローカルは幸せだと思う。

夕暮れが近づいた。残置はどうなっているのか?
まだ登っている3ルートほどを除いて壁はきれいにかたづいていた。敗退用の捨てカラビナも、以前に比べてずいぶん少なくなっていた。ロープやスリングのたぐいは全く見えない。スッキリとして非常にきれいである。鳳来を登っているクライマーたちの気配り、マナーの高さがうかがえた。
大洪水のエリアに行ってみたが、整備用の梯子と救急担架以外は何一つ残されていない。ハイカラ岩も同じだった。何も問題となる状況は起こっていない。少なくとも鬼とハイカラでは。

昨年11月、鳳来では、ローカルルールとして掲げていた「壁や岩場への残置を一切しない」ということを取り下げることにした。それは、残置をしてもかまわないという意味なのではなくて、「・・・愛する会」のような団体からクライマーへ強制している不自然な状態をやめにしたのである。
その影響として、岩場がたちまち残置だらけになるのではないかと心配する声もあがったが、今のところその心配はないようだ。
いわゆる「一般クライマー」(プロやローカルではない、普通の市民クライマー)たちは、アクセス問題を学び、各岩場の情報を調べ、よく考えて登っているのだと思う。
クライマーにとって、明確なルールが示されれば、それを守ればいいだけだ。でも、鳳来ではクライマーが自分で考えて、自分の行動を決めなくてはならなくなったのである。

あとは事故を起こさないように。この日も薄暗くなるまで登っている若いクライマーたちがいたが、暗い中でのギア回収にならないように注意してほしい。
事故が起これば一発で岩場の状況は変わってしまう。どんな岩場でも事故は大目に見てもらえない。死亡事故ひとつで登れなくなってしまうほうがあたりまえなのだから。

(記=サイト管理人)
注1:トイレ脇の駐車スペースは観光客などが短時間駐車する場所なので、クライマーは使用しないのがマナー。
注2:地元の厚意から、乳岩口ではクライマーなどの長時間路上駐車が例外的に認められてきている。その場所はクライマーの看板が立つ位置までで、そこがいっぱいなら小滝橋に駐車してほしいと要望されている。
注3:クライマーが建てた看板には「クライマーの皆さんへお願い/……長時間駐車される方は小滝橋横の駐車場をご利用下さい」と書いてあり、これが地元からの元々の要望内容だった。これに従うなら、本来、クライマーの車は乳岩口に1台も駐車できない。鳳来の駐車問題が今でもデリケートであることがわかると思う。
 

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