海軍艦艇殉難史 伊号第六十三潜水艦
伊号第六十三潜水艦は、昭和３年に佐世保海軍工廠で竣工した艦隊随伴用の海大三型潜水艦
であった。
昭和１４年 ２月 ２日未明、襲撃訓練に備え豊後水道水の子灯台西方の海上で碇泊中、同艦
が点燈していた舷燈と艦尾燈を、伊６０潜が漁船二隻の燈火と見誤り間を通り抜けようと直進、
伊６０潜は伊６３潜の右舷に直角に衝突し、伊６３潜は間もなく沈没した。伊６０潜も艦首に重大
な損傷を負ったが沈没は免れた。
伊６３潜では、艦長中島信義少佐以下８１名が殉職。
船体が引き揚げられたのは翌年１月２１日で、遺体の収容が全て完了したのは沈没から一年
を経過した同月２９日だった。
昭和１４年４月１３日、佐世保凱旋記念館で執り行なわれた伊六十三潜海軍合同葬
殉難者氏名
| 階級 | 氏名 | 出身地 |
| 海軍少佐 | 中島 信義 | 岐阜 |
| 同 | 大野 博 | 千葉 |
| 海軍機関少佐 | 北原 千里 | 長野 |
| 海軍中尉 | 松本 松佐己 | 長崎 |
| 同 | 川島 正順 | 広島 |
| 海軍機関中尉 | 田村 喜六 | 静岡 |
| 海軍特務少尉 | 松下 盛綱 | 鹿児島 |
| 同 | 下田 仁恵 | 愛媛 |
| 海軍機関特務少尉 | 平石 勇 | 宮崎 |
| 海軍兵曹長 | 冨崎 卯八 | 佐賀 |
| 同 | 古賀 宗八 | 佐賀 |
| 同 | 矢野 福太郎 | 宮崎 |
| 同 | 村上 展喜 | 愛媛 |
| 同 | 十河 数義 | 福岡 |
| 同 | 佐藤 熊 | 福岡 |
| 同 | 安藤 房一 | 宮崎 |
| 同 | 森崎 角美 | 長崎 |
| 海軍機関兵曹長 | 鶴田 謙一 | 佐賀 |
| 同 | 城門 亀雄 | 福岡 |
| 同 | 長谷 榮藏 | 鹿児島 |
| 同 | 片山 太郎 | 福岡 |
| 同 | 井手 勝太 | 佐賀 |
| 同 | 松本 定勝 | 熊本 |
| 同 | 江本 泉 | 大分 |
| 同 | 橋本 好一 | 広島 |
| 同 | 松田 春治 | 佐賀 |
| 海軍一等兵曹 | 北崎 道一 | 大分 |
| 同 | 狩川 重徳 | 鹿児島 |
| 同 | 野中 一好 | 福岡 |
| 同 | 原 登 | 福岡 |
| 同 | 古賀 實 | 佐賀 |
| 同 | 後藤 茂樹 | 大分 |
| 同 | 馬渡 澄雄 | 長崎 |
| 同 | 中川 恒 | 長崎 |
| 海軍一等機関兵曹 | 川畑 渡 | 熊本 |
| 同 | 赤司 定一 | 福岡 |
| 同 | 鮫島 泰隆 | 鹿児島 |
| 同 | 竹井 喜美藏 | 鹿児島 |
| 同 | 甲斐 二 | 熊本 |
| 同 | 別府 行義 | 鹿児島 |
| 同 | 松浪 政雄 | 大分 |
| 同 | 亀島 壽吉 | 徳島 |
| 同 | 藤家 隆 | 佐賀 |
| 同 | 諸正 喜熊 | 鹿児島 |
| 海軍一等工作兵曹 | 松田 勉 | 宮崎 |
| 海軍二等兵曹 | 友成 全二 | 大分 |
| 同 | 赤嶺 秋是 | 大分 |
| 同 | 浜平 峰太郎 | 鹿児島 |
| 同 | 福留 福重 | 鹿児島 |
| 同 | 地福 福藏 | 鹿児島 |
| 同 | 叶 政應 | 鹿児島 |
| 同 | 本田 積 | 熊本 |
| 同 | 永吉 省三 | 鹿児島 |
| 海軍二等機関兵曹 | 山内 昌安 | 沖縄 |
| 同 | 土屋 英雄 | 香川 |
| 同 | 濱 新 | 佐賀 |
| 同 | 玉垣 勝 | 福岡 |
| 海軍二等看護兵曹 | 木原 智 | 鹿児島 |
| 海軍三等兵曹 | 川上 竹次 | 長崎 |
| 同 | 永友 森善 | 宮崎 |
| 同 | 下村 安朗 | 佐賀 |
| 同 | 辛島 忠夫 | 大分 |
| 同 | 山中 茂忠 | 高知 |
| 同 | 板東 健次 | 徳島 |
| 海軍三等機関兵曹 | 飯干 一雄 | 宮崎 |
| 同 | 赤崎 忠照 | 香川 |
| 同 | 池末 時男 | 福岡 |
| 同 | 寺澤 克己 | 熊本 |
| 同 | 中村 正次 | 宮崎 |
| 同 | 冨永 佐市 | 鹿児島 |
| 同 | 田島 音作 | 長崎 |
| 同 | 綿井 豊 | 福岡 |
| 同 | 許斐 貞雄 | 福岡 |
| 同 | 杉野 利次 | 福岡 |
| 同 | 柏木 励 | 徳島 |
| 海軍三等主計兵曹 | 吉川 豊継 | 熊本 |
| 海軍一等機関兵 | 太田 良治 | 長崎 |
| 同 | 河本 清徳 | 愛媛 |
| 同 | 田中 直人 | 佐賀 |
| 海軍一等主計兵 | 清家 富士之助 | 愛媛 |
| 同 | 原 麻次 | 徳島 |
瀬会海岸
大分県南海部郡上浦町
瀬会海岸より沈没海域を望む
伊号第六十三潜水艦殉難者 荼毘之地
遭難記
伊号第六十三潜水艦は、昭和十四年二月二日、豊後水道における訓練の配備点である
水の子島灯台の三一九・五度、五・五マイルの地点に漂泊中、伊号第六十潜水艦に衝突
され、沈没した。
水深九十三メートル、荒天と波浪のため引揚げ作業は困難を極めたが、昭和十五年一月
二十一日引揚げに成功、この地で荼毘に付された。
殉難者の冥福と平和を願い、ここに碑を建立する。
平成三年十一月吉日 上浦町 殉難者遺族一同 佐鎮潜航会 大分県潜航会
眞宗寺
大分県南海部郡上浦町
伊号第六十三潜水艦殉難者慰霊之碑
佐世保海軍墓地
長崎県佐世保市
伊号第六十三潜水艦殉難者之碑
佐世保凱旋記念館
長崎県佐世保市
昭和１４年４月１３日、伊六十三潜海軍合同葬が執り行なわれた佐世保凱旋記念館
更新日：2010/07/19