齊藤 恒

 

略歴

 

昭和18年12月  日 第13期甲種飛行予科練習生として土浦海軍航空隊入隊

昭和19年 9月 1日 海軍潜水学校(呉)

昭和19年 9月  日 回天特別攻撃隊 光基地

昭和20年 5月 8日 第二回天隊 壮行式

昭和20年 5月24日 光出発(八丈島・石積基地)

昭和20年 8月15日 終戦

昭和20年11月10日 復員

 

平成22年10月 6日  逝去 (享年 83歳)

 

齊藤 恒氏 → 小灘利春・回天会会長への書信(九六.六.一付)

当時八丈島石積基地回天搭乗員、海軍上等飛行兵曹

 

.   一、最後の休暇について

.      光組は四月二十四〜二十七日(或いは二十八日)〈出発−帰隊)です。

.      この間中学の友人家族、写真館で写真を撮っています。

.      その家族の写真の裏に「二〇.四.二十六最後の休暇」の記録があり、その中に相模原へ動員に行っていた

.      弟が入っています。

.      二十五日に 母が連絡、家に帰らせて貰ったのだと思います。

.      又、帰郷の途次、名古屋駅で偶然会った小学校の同級生(半田市へ動員中)も四月下旬と記憶していました。

.      甲府駅を夜行で山田君と同行で帰隊したので、二晩家に居たなら二十八日の帰隊になりますが、残念ながら

.      ハッキリした記憶がありません。

 

.   二、神湊の爆発事故について

.      私はその時復員のため弾薬箱の積んである横の広場で訓示(?)を受けている時発生しました。

.      その後、我々は出港地を八重根港に変更、乗船・出港は夜でした。

.      翌日昼頃(?)伊東へ上陸、列車で伊東−熱海−東京−新宿−甲府と、帰郷は翌朝でした。

.      私の記録は「十一月十日復員」となっています。多分「伊東上陸、解散」の時点 を書いていると思っています。

.      それであれば事故は十一月九日で正しいと思います。

 

.   三、その他

.     (1)米軍機の行動

.      私達は石積ガ鼻の絶壁の上で内地爆撃に向かうB29の大編隊を望見しました。

.      「浮かべる城」と呼んでいました。上から下へ何段にも重なって一かたまりになっていました。

.      それが左側へ向かっている時は関東方面、右側を飛んでいるいる時は名古屋以西がやられていました。

.      夜の帰りは島の上空を一機編隊で、次から次へ南下していました。

 

.     (2)米軍の上陸時期

.      十月中旬以前のように思います。私達は末吉の宿舎で何日も米艦船を望見しました。

.      昼は良く見えるのですが、夜は水平線の彼方へと移動していました。

.      「回天が怖いので退避するんだろうな」と言っていました。

.      それから回天爆破−末吉退去−蚕業試験場へ移転。従って十月下旬ではなく、中旬では・・・と思います。

 

.     (3)戦死扱いについて

.      十二月に入った頃、甲府駅長名で「荷物の扱い加算料が嵩むので至急取りに来られたい」と

.      一枚の葉書が配達された。

.      荷物はミカン箱より一寸大きめで、表面に白墨を塗った手製の白木の箱であった。

.      中には紙製の黒い鞄があり、封筒の中から、

 

.      遺品目録  第六艦隊司令長官 長井 満

.      一、髪毛

.      一、写真

.      一、鉛筆

.      一、布地

 

.      とあり、それぞれの品物が入っていた。

.      誰が送ってくれたのかは不明です。(安西さんも鈴木さんも知らないと言っています)

.      私が復員してからで良かったと思いました。

.      若し「早く受け取っていたら」と思うとゾッとしました。

 

.     (4)八丈石積小唄 (おじゃれ節)

.      誰の作詩作曲かは忘れましたが今でも歌えます。終戦後何度か歌ったのでしょう。

 

.      1.エーエ

.       八丈よいとこ 椿の花よ 島にはヨー エコリャ 乙女(めならべ)の しぼまぬ愛の花

.       八丈よいとこ 情けの島よ サッサヨイヨイ コリャサノサーッササーッサヨイヨイ

.       又おじゃれ ソリャ 又おじゃれ

 

.      2.エーエ 花の末吉 思い出恋し 村にはヨー エコリャ 乙女の 懐かし島なまり

.       (囃子 ・・・一番と同じ。以下同様)

 

.      3.エーエ 夢の石積 谷間のすそね 山にはヨー エコリャ 菊水のきらめく つわものよ

 

.      4.エーエ 小鳥囀る 石積行けば 海にはヨー エコリャ つわものが ハッパで鯛を取る

 

.      5.夜の末吉 銀座を行けば 可愛いヨー エコリャ あの娘にね 思いをかけられる

 

.      6.エーエ 酒と乙女 飯より好きよ あの娘がヨー エコリャ 菊水に 愛呼び恋招く

 

 

在りし日のお姿を偲んで

昭和20年/時期不明 壮行式後(右から三人目)

 

昭和20年/時期不明 八丈島・石積基地(前列右端)

 

昭和20年/時期不明 八丈島・底土基地(前列中央)

 

昭和20年/時期不明 八丈島・底土基地

 

平成21年4月12日 甲飛十三期殉國之碑慰霊祭(右)

左:岡田 純さん<振武隊(伊367)、多聞隊(伊367)で二回出撃>

 

関西甲飛十三期会 殉國之碑

更新日:2010/12/19