【弥生賞】“オーラ”が違った!ユタカに導かれ重賞V2

早め先頭からココナッツパンチの追撃を封じ込めたアドマイヤオーラ(左)。次は皐月賞で世代の頂点を目指す!

早め先頭からココナッツパンチの追撃を封じ込めたアドマイヤオーラ(左)。次は皐月賞で世代の頂点を目指す!

 第44回弥生賞(4日、中山11R、GII、3歳オープン、馬齢、芝・内2000メートル、1着本賞金5400万円、1〜3着馬に皐月賞の優先出走権=出走14頭)圧倒的1番人気に推されたアドマイヤオーラが積極策から直線早めに抜け出して、シンザン記念からの重賞連勝を決めた。2分0秒5(良)。武豊騎手はディープインパクト、アドマイヤムーンに続く弥生賞3連覇(通算6勝目)。松田博資調教師、近藤利一オーナーは連覇となった。昨年のムーンでクラシックを獲れなかった最強トリオは、オーラで今度こその皐月賞Vを目指す。

 今年もこのトリオが決めた。“ユタカ”、“マツパク”、“アドマイヤ”。昨年のアドマイヤムーンに続いて、アドマイヤオーラが皐月賞と同じ舞台を制した。

 1000メートル通過が59秒8とこれまで経験がない淀みない流れの中で、武豊騎手は敢えて、早めにオーラにGOサインを出した。坂の途中で先頭に立つと物見をしてフラフラしてしまい、ドリームジャーニーの前をカットしてしまったが、ココナッツパンチが追い上げてくると闘志が再点火。グイッと伸びてクビ差でVフィニッシュした。

 「いろんな競馬に対応させたいと思っていたしいいレースができた」とユタカ。「初めて早めに先頭に立ったら、フラフラして他の馬に迷惑をかけて…。でも意識的に早めの競馬をしようと思っていたし、いい経験ができた」と思惑通りの手応えを感じ取っていた。

 これで4戦3勝。シンザン記念からの連勝で最有力馬の1頭となった。成長途上の段階だが、弥生賞3連覇のユタカの手で、皐月賞ではさらに強くなっているだろう。

 “マツパク”こと松田博資調教師は、昨年のムーン、一昨年のアドマイヤジャパン(オーラの半兄)と3年連続連対。その2頭の皐月賞は4着と3着。オーラの子供っぽい走りに「レースの方が調教よりは大人しいんやけどなあ」と苦笑しながらも、「比較のしようはないが、まあ、切れは上(ジャパン)よりあるわな。昨年(ムーン)は悔しかった? そりゃあみんな(GIは)獲りたいわな。夢じゃなく現実にせな。夢はかなわないから夢なんやから」と、今度こそを期待する。

 フサイチホウオーが一歩リードしている牡馬クラシックだが、ユタカはあきらめない。「弥生賞を勝ったし、皐月賞に向けて描いていた通り。胸を張って万全の態勢を整えて行きたい」。ユタカと、松田博師と、“アドマイヤ”近藤利一オーナー。それぞれの期待を背負ったアドマイヤオーラが、皐月賞で世代の頂点に立つシーンは十分にありそうだ。

(柴田章利)

■アドマイヤオーラ

 父アグネスタキオン、母ビワハイジ、母の父カーリアン。鹿毛の牡3歳。栗東・松田博資厩舎所属。北海道早来町(現安平町)・ノーザンファームの生産馬で、馬主は近藤利一氏。戦績4戦3勝。獲得賞金1億891万1000円。重賞は07年GIIIシンザン記念に続き2勝目。GII弥生賞は松田博資調教師が06年のアドマイヤムーンに続き2勝目、武豊騎手は96年ダンスインザダーク、97年ランニングゲイル、98年スペシャルウィーク、05年ディープインパクト、06年アドマイマムーンに続き6勝目。

★近藤利一オーナー、勝っても手厳しく

 毎年、クラシック戦線に有力馬を送り込む“アドマイヤ軍団”の総帥・近藤利一氏は昨年に続いての勝利にも本番へ楽観視していない。「もっとラクに勝たないとな。ユタカは(ドバイ遠征帰りで)寝ぼけていたんじゃないか」と厳しい。昨年はムーンの他にメインがダービー2着。牝馬戦線ではキッスが活躍したが、「重賞は勝てたけどGIは勝てなかった。今年はムーンのドバイデューティフリー(3月31日、ナドアルシバ、GI、芝1777メートル)もあるし、がんばってもらわないと」とオーラで99年ダービーのアドマイヤベガ以来のクラシックVへ気合が入っていた。

直線でスムーズに抜け出せず3着に終わったドリームジャーニー。2歳チャンプは皐月の舞台で雪辱を期す

直線でスムーズに抜け出せず3着に終わったドリームジャーニー。2歳チャンプは皐月の舞台で雪辱を期す

★ジャーニー3着…2歳王者、小柄が響いた

 2番人気に支持された2歳チャンピオンのドリームジャーニーは、直線でスムーズに抜け出せず3着に終わった。

 勝ったアドマイヤオーラをマークするようにレースを進め、直線で追撃態勢に入ったが、外から追い込んできたココナッツパンチと接触。勝負どころだけに互いに激しい攻防となるのは仕方ないが、416キロと、小柄なジャーニーが受けた影響は大きかったようだ。ここで上位2頭に後れをとり、3着に突っ込んだが時すでに遅しだった。

 「装鞍所やパドックででもおとなしく、雰囲気は良かった。初めての2000メートルだから、多少引っ掛かるのは仕方ないにしても、直線は不運でした」と池江泰寿調教師が言えば、蛯名正義騎手も「スタート後に寄られたし、直線も…」と厳しい表情だった。

 残念な結果に終わったが、距離を含め、皐月賞へ向けて、いろいろと経験できたことも確か。馬体重は朝日杯FSと同じで成長はなかったが、その体で強さを見せるのがジャーニーだ。

 「全力を出し切っての3着ではないので、悲観はしていない」とトレーナー、ジョッキーとも口を揃えた。見通しは決して暗くない。GIで見せた目の覚めるような決め手は本番で見せつける。

(加藤隆宏)

★ココナッツパンチ最速の上がりも…あと一歩

 キャリア1戦のココナッツパンチが、メンバー最速の上がり3ハロン34秒4で2着に突っ込み皐月賞の権利を獲得した。

 「やっぱり走りますね。スタートが良くて行きそうになったけど、落ち着いて走ってくれた。勝たせてあげればよかったけど(皐月賞に)直接行けるからね」と吉田豊騎手は大外を回りながら、アドマイヤオーラにクビまで迫った愛馬をねぎらった。

 初戦はパドックで馬っ気を出し、本馬場入場ではジョッキーを振り落としたりと若さを見せたが、この日はそんな仕草も見せなかった。「あの馬の力を見せることはできたが、勝ちたかったな。このあとは皐月1本で行く。競馬を覚えてきてかかるようになったのが課題だが、終いはしっかりしているのでチャンスはある」と大久保洋調教師の期待はふくらむばかりだ。キャリアの浅さを感じさせない底知れぬ力を持つココナッツパンチが、クラシック戦線に堂々と名乗りをあげた。

(高尾幸司)

★無敗ホウオーは皐月賞へ直行

 皐月賞TRの第1弾・弥生賞でアドマイヤオーラ、ココナッツパンチ、ドリームジャーニーが優先出走権を獲得した。残るTRは若葉S(17日、阪神、オープン、芝2000メートル)とスプリングS(18日、中山、GII、芝1800メートル)で、5頭分の優先出走枠が残っている。無敗で東京スポーツ杯2歳S、ラジオたんぱ杯2歳S、共同通信杯を勝ったフサイチホウオー(栗・松田国、牡)、アーリントンC馬トーセンキャプテン(栗・角居、牡)は皐月賞直行を明言しており、残り2つのTRでは新興勢力の台頭が必至だ。また毎日杯(24日、阪神、GIII、芝1800メートル)もあり、賞金上位馬のボーダーラインはかなり高くなりそうだ。

★スタート悪く…レガーロ4着

 メイショウレガーロは直線でいい脚を使ったが、4着まで押し上げるのがやっと。あと一歩のところで皐月賞の出走権利を逃した。

 「馬の雰囲気は良かったけど、ゲートですわってしまうんだ。スッと出ていかないから、位置取りが悪くなってしまう。本当はもう少し前でレースをする予定だったんだけどね」と武幸四郎騎手は残念そうにレースを振り返る。京成杯2着に続き、悔しい敗戦。能力は確かなだけに、スタートが悔やまれる。

★ソルテ7着…終始外々回り届かず

 枠順が明暗を分けた。大外(14)番枠だった3番人気タスカータソルテは後方からの競馬。勝負所からココナッツパンチと一緒に上がって行こうとしたが終始外々を回る形となり、直線も末脚を伸ばしたが7着まで。出走権には届かなかった。「4コーナーで内から来た馬を少し気にしていた。直線はいい伸びをしているが、あそこで馬群の中に突っ込んで行く訳にもいかないし…」と岩田康誠騎手は唇を噛む。もう少し内目の枠なら結果は変わっていたか。

11R 第44回 報知杯弥生賞(GII)
サラ系3歳 2000m 芝・右
(混合)(指定) オープン 馬齢
本賞金: 5400、 2200、 1400、 810、 540万円 発走 15:35
天候:晴   芝:良
着順 馬番 馬名 性齢 負担
重量
騎手 タイム 着差 推定
上り
馬体重 調教師 単勝
人気
1 4 マル父アドマイヤオーラ 牡3 56.0 武豊 2:00.5   34.8 446 -2 松田博資 1
2 8 マル父ココナッツパンチ 牡3 56.0 吉田豊 2:00.5 クビ 34.4 470 -8 大久保洋吉 6
3 7 マル父ドリームジャーニー 牡3 56.0 蛯名正義 2:00.8 1 3/4 34.9 416 0 池江泰寿 2
4 2 マル父メイショウレガーロ 牡3 56.0 武幸四郎 2:00.9 1/2 35.0 454 -2 小島太 4
5 5 マル外サムライタイガース 牡3 56.0 後藤浩輝 2:01.5 3 1/2 36.2 518 0 角居勝彦 5
6 1 マル父ノワールシチー 牡3 56.0 田中勝春 2:01.7 36.4 482 +2 平井雄二 11
7 14 マル父タスカータソルテ 牡3 56.0 岩田康誠 2:01.7 ハナ 35.5 456 +2 藤原英昭 3
8 12 マル市トーセンクラウン 牡3 56.0 吉田隼人 2:01.7 ハナ 36.2 448 -8 菅原泰夫 9
9 9 マル父マンハッタンバー 牡3 56.0 横山典弘 2:01.7 ハナ 35.1 510 -6 佐藤吉勝 7
10 10 モチ 牡3 56.0 川田将雅 2:02.1 2 1/2 36.6 498 +2 田中章博 8
11 6 マル父マル市キングオブロマネ 牡3 56.0 松岡正海 2:02.2 3/4 36.5 498 -2 本郷一彦 13
12 11 マル父シカク地マツノショウマ 牡3 56.0 桑野等 2:02.4 1 1/2 36.7 462 +1 小原典夫 14
13 3 マル父マル市シカク地インパーフェクト 牡3 56.0 御神本訓史 2:02.5 3/4 37.2 488 -8 河津裕昭 10
14 13 リンリンリン 牡3 56.0 柴田善臣 2:02.7 1 1/2 35.8 480 +16 森秀行 12
タイム
ハロンタイム 12.3 - 10.6 - 11.6 - 12.8 - 12.5 - 12.6 - 12.9 - 11.8 - 11.7 - 11.7
上り 4F 48.1 - 3F 35.2
コーナー通過順位
1コーナー 3,5-12-1,10(6,4,11)7(2,8,14)-9,13
2コーナー 3-5-12(1,10)(6,4,11)7(2,8)14-9-13
3コーナー (3,5,*1)(12,10)(6,4,11)(2,7)(8,14)-9-13
4コーナー (*3,5,1)12(10,4)(6,11)7(2,8)14-9,13
払戻金
単勝 4 170円 1番人気 馬連 4-8 1,170円 5番人気 馬単 4-8 1,510円 6番人気
複勝 4
8
7
110円
300円
150円
1番人気
6番人気
2番人気
ワイド 4-8
4-7
7-8
450円
190円
990円
5番人気
1番人気
13番人気
3連複 4-7-8 1,720円 7番人気
3連単 4-8-7 6,650円 20番人気
枠連 3-5 300円 1番人気