【桜花賞】ユーイチ会心の騎乗!ラインが桜の女王戴冠
GI第65回桜花賞が10日、阪神競馬場で行われ、2番人気のラインクラフトが1分33秒5(良)のレコードで完勝した。デビューから手綱を取る福永祐一騎手(28)が最高の騎乗を見せ、天才と称賛された父・洋一氏(56)に並ぶ桜2勝目を挙げた。天才の遺伝子を受け継いだユーイチは、今週のGI皐月賞(17日、中山)ではアドマイヤフジに騎乗。打倒ディープインパクトに果敢に挑む。〔写真右:福永騎手の気迫に応えたラインクラフトは、シーザリオの猛追を頭差抑え、第65代桜の女王に輝いた。同中:会心の騎乗で桜花賞2勝目を挙げた福永祐一騎手は、弾ける笑顔でファンに何度もアピールした。同下:桜が見守る中、4コーナーから進出するラインクラフト(左から5頭目)。昨年を上回る桜花賞レコードの走りは圧巻だった=阪神競馬場=撮影・南厚子〕
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福永祐一の気迫が勝利を呼び込んだ。2発、3発と飛ぶ左ムチに応えたラインクラフトが、桜花賞レコードで快勝だ。
「うまく乗れたと思います」。満面の笑みを浮かべたユーイチ。阪神マイルでは不利とされる大外の(17)番枠にも、馬任せで絶好位を追走。残り100メートルで前を行くデアリングハートをかわして先頭。前走まで手綱を取っていた1番人気シーザリオも頭差抑えた。
「ベストの競馬をしないと勝てない怖い相手。あの馬に負けるのだけは避けたかったし、何とか勝ちたかった。それに横断幕の数で負けていたんで」とユーイチは笑わせたが、1番人気で3着に敗れた年末の阪神JFの雪辱を果たすとともに、ラインを桜の女王に導いた。この好騎乗には“アシスト”があった。
「(18)番枠を引いた昨年に、河内(洋=元騎手、現調教師)さんに外枠の乗り方を聞いたんです。アドバイスを生かせて感謝しています」。桜花賞4勝の名ジョッキーは、“最初のコーナーまで、馬の行く気に任せた方がいい”と伝授。ダイワエルシエーロで臨んだ昨年は狙った位置を取れずに7着だったが、今年は最高の結果を引き出した。
冴える騎乗で迎える今週は、牡馬クラシック第1弾・皐月賞。デビュー3連勝中の関西馬ディープインパクトが注目を集めているレースで、無敗の3冠(他にダービー、菊花賞)達成に向けて挑む第一の関門だ。同馬は大種牡馬サンデーサイレンス産駒の最高傑作との評判もあるほどの逸材。デビュー戦が4馬身、2戦目が5馬身差の圧勝。重賞初挑戦の前走・弥生賞はクビ差だったが、同じ舞台の本番を意識した試走の意味もあったか、着差以上の強さだった。そのインパクトにユーイチは、アドマイヤフジとのコンビで挑戦する。
「調教で乗ったけど、いい馬です。うまく立ち回ればいい勝負になる。競馬に絶対はないし、頑張りたいですね」
自身初のGI制覇となったプリモディーネ(平成11年)に続く桜花賞制覇を達成したユーイチは、まだ縁のない牡馬クラシックにも闘志を燃やす。桜2勝は、天才騎手と呼ばれた父・洋一氏に並んだ。その父は昭和52年の皐月賞を8番人気のハードバージで優勝した。
今年のユーイチは、フェブラリーS(メイショウボーラー)に続くGI2勝目。重賞7勝は武豊騎手(8勝)に迫る充実ぶり。父は昭和45年から53年まで9年連続で全国リーディング騎手に輝いた。息子もデビュー10年目を迎えトップジョッキーへと成長。今年は、天才のDNAを継承するこの男が競馬をリードする。
(黒田栄一郎)
★ラインクラフト |
父エンドスウィープ、母マストビーラヴド、父サンデーサイレンス。鹿毛の牝3歳。栗東・瀬戸口勉厩舎所属。北海道・早来町のノーザンファーム生産馬で、馬主は大澤繁昌氏。戦績は5戦4勝。獲得賞金は2億2339万6000円。重賞は平成16年GIII
ファンタジーS、17年GII
フィリーズレビューに次いで3勝目。GI桜花賞は、瀬戸口勉調教師は平成6年オグリローマンに次いで2勝目、福永祐一騎手は11年プリモディーネに次いで2勝目。 |
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★瀬戸口師もVに笑顔
桜花賞2勝目となったのは、瀬戸口勉調教師(68)も一緒だ。平成6年にオグリローマンで制して以来11年ぶり。「オグリローマンは地方競馬出身の馬でしたからね。本当にうれしいです」とデビューから手がけた馬でのVに笑みが広がる。オグリキャップで有名な瀬戸口師自身はGI
10勝目で、これで4年連続のGI制覇。ラインクラフトの今後については「オークス(5月22日、東京、GI、芝2400メートル)に直行するつもり」と話したが、「距離は長い感じも受ける」という理由でNHKマイルC(5月8日、東京、GI、芝1600メートル)に向かう可能性も残されている。
★オーナーは初GI に大興奮
ラインクラフトの大澤繁昌オーナー(53)は、馬主歴16年目で、この桜花賞が嬉しいGI
初制覇。「昨年は7頭所有していて、4頭が抹消となって、2頭は休養。残った1頭がこの馬でした。無事に走ってくれさえすれば、と思っていました。勝てるなんて、本当に嬉しいですね」と興奮を隠し切れない様子だった。
生産者の北海道早来・ノーザンファームは、平成5年ベガ以来の桜制覇。吉田勝己代表は「やっぱり凄いスピード。外枠から前に行って勝つんだからね。さすが、アドマイヤマックス(高松宮記念V)の姪っ子だけあるよね」と、笑顔でいっぱいだった。
★皐月賞の1番人気は過去10年で2勝
平成7年から昨年までの10年で、1番人気で皐月賞を優勝したのは、13年アグネスタキオン、15年ネオユニヴァースの2頭。勝率にすると2割だ。昨年は10番人気ダイワメジャーが4コーナー2番手から直線で押し切った。9年は11番人気サニーブライアンが逃げ同然の競馬で勝った。ディープインパクトは断然人気が予想されるが、他馬にも付け入るスキはあり、ユーイチにも皐月賞初Vのチャンスはある。
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2005年2回阪神6日( 4月 10日)
11R |
第65回 桜花賞(GI) |
サラ系3歳 |
1600m |
芝・右 |
牝(指定) オープン |
定量 |
本賞金: 8900、 3600、 2200、 1300、 890万円 |
発走 15:40 |
|
天候:晴 |
芝:良 |
着順 |
枠 |
馬番 |
記号 |
馬名 |
性 |
齢 |
負担 重量 |
騎手 |
タイム |
着差 |
馬体重 |
調教師 |
単勝 人気 |
1 |
8 |
17 |
|
ラインクラフト |
牝 |
3 |
55.0kg |
福永祐一 |
1:33.5 |
|
454Kg |
-6 |
瀬戸口勉 |
2 |
2 |
4 |
7 |
(父) |
シーザリオ |
牝 |
3 |
55.0kg |
吉田稔 |
1:33.5 |
アタマ |
454Kg |
-2 |
角居勝彦 |
1 |
3 |
5 |
9 |
|
デアリングハート |
牝 |
3 |
55.0kg |
M.デムーロ |
1:33.6 |
クビ |
418Kg |
+2 |
藤原英昭 |
10 |
4 |
7 |
15 |
|
エアメサイア |
牝 |
3 |
55.0kg |
武豊 |
1:33.9 |
1 3/4馬身 |
462Kg |
+4 |
伊藤雄二 |
3 |
5 |
3 |
6 |
(父)(市) |
ダンツクインビー |
牝 |
3 |
55.0kg |
小牧太 |
1:34.0 |
3/4馬身 |
474Kg |
-6 |
石坂正 |
14 |
6 |
4 |
8 |
(父) |
エイシンテンダー |
牝 |
3 |
55.0kg |
武幸四郎 |
1:34.2 |
1馬身 |
488Kg |
-2 |
武邦彦 |
5 |
7 |
3 |
5 |
|
ジョウノビクトリア |
牝 |
3 |
55.0kg |
横山典弘 |
1:34.2 |
アタマ |
474Kg |
0 |
森秀行 |
12 |
8 |
2 |
3 |
|
エリモファイナル |
牝 |
3 |
55.0kg |
岩田康誠 |
1:34.5 |
2馬身 |
444Kg |
-4 |
大久保正陽 |
11 |
9 |
1 |
1 |
|
アドマイヤメガミ |
牝 |
3 |
55.0kg |
池添謙一 |
1:34.6 |
1/2馬身 |
444Kg |
0 |
松田博資 |
9 |
10 |
8 |
16 |
(父) |
モンローブロンド |
牝 |
3 |
55.0kg |
佐藤哲三 |
1:34.7 |
クビ |
440Kg |
-4 |
安田隆行 |
15 |
11 |
1 |
2 |
|
ペニーホイッスル |
牝 |
3 |
55.0kg |
柴田善臣 |
1:34.8 |
1/2馬身 |
454Kg |
-4 |
松山康久 |
8 |
12 |
6 |
11 |
|
ライラプス |
牝 |
3 |
55.0kg |
藤田伸二 |
1:35.0 |
1 1/4馬身 |
446Kg |
+6 |
松田国英 |
6 |
13 |
8 |
18 |
|
ショウナンパントル |
牝 |
3 |
55.0kg |
吉田豊 |
1:35.0 |
クビ |
446Kg |
-12 |
大久保洋吉 |
7 |
14 |
7 |
14 |
|
アンブロワーズ |
牝 |
3 |
55.0kg |
四位洋文 |
1:35.2 |
1馬身 |
478Kg |
-10 |
小島太 |
4 |
15 |
6 |
12 |
|
カシマフラワー |
牝 |
3 |
55.0kg |
松永幹夫 |
1:35.2 |
ハナ |
442Kg |
-4 |
高市圭二 |
17 |
16 |
5 |
10 |
|
テイエムチュラサン |
牝 |
3 |
55.0kg |
田嶋翔 |
1:35.5 |
2馬身 |
460Kg |
0 |
小島貞博 |
18 |
17 |
2 |
4 |
|
マイネコンテッサ |
牝 |
3 |
55.0kg |
松岡正海 |
1:35.5 |
クビ |
444Kg |
+10 |
畠山吉宏 |
16 |
18 |
7 |
13 |
|
フェリシア |
牝 |
3 |
55.0kg |
幸英明 |
1:36.3 |
5馬身 |
448Kg |
+4 |
上原博之 |
13 |
ハロンタイム |
12.2 - 10.4 - 11.2 - 12.3 - 11.9 - 12.0 - 11.5 - 12.0
|
2コーナー |
(10,*16)-(1,9,17)(2,7,11,12)(13,14)(5,6,15)(3,8)4,18 |
3コーナー |
16-(10,9)(1,17)(2,11,12,14)6(7,13,15)-8(5,4)3,18 |
4コーナー |
16-(10,9)(1,11,17)(6,12,14)(2,7,15)(5,13,8)(3,4,18)
|
<払戻金>
単勝 |
17 |
460円 |
2番人気 |
複勝 |
17 |
190円 |
2番人気 |
07 |
170円 |
1番人気 |
09 |
490円 |
10番人気 |
枠連 |
4-8 |
650円 |
3番人気 |
馬連 |
07-17 |
1,220円 |
1番人気 |
ワイド |
07-17 |
510円 |
1番人気 |
09-17 |
1,690円 |
21番人気 |
07-09 |
1,630円 |
20番人気 |
馬単 |
17-07 |
2,550円 |
3番人気 |
3連複 |
07-09-17 |
8,440円 |
29番人気 |
3連単 |
17-07-09 |
36,790円 |
95番人気 |
|