LaLa増刊インデックス1988
LaLa EX INDEX 1988

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 白泉社月刊LaLaの増刊のインデックスデータ。その1988年版。独断と偏見に満ちた星取表(5点満点)と短評付き。


ララDX フレッシュXmasパーティ号
表紙やまざき貴子「アカデメイアの冒険者」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「子午線上のキャロル」岡野史佳読切Merry Xmas Show★★★
「カラフルクリスマスBOX」なかじ有紀読切Merry Xmas Show★★
「ロボット考<擬態>」清水玲子ギャグMerry Xmas Show★★
「サンショウ魚の「ふつうの生活」。」安孫子三和エッセイMerry Xmas Show★★
「シニカルクリスマス」玖保キリコギャグMerry Xmas Show★★★
「アカデメイアの冒険者II」やまざき貴子読切−真夜中色の空と海ー★★
「思い出にリボンをかけて」米沢りか読切 ★★★
「サイレント・ナイト」原なおこ読切 ★★★
「みんなサンタだ」ひのまるギャグ ★★
「さまよえるインド人」椎隆子読切 ★★★
「SORAMAME SISTERS」ヤマダヒロエギャグ 
「Boys, be ambitious」吉住朝読切 ★★
「子供の耳はロバの耳」木野章子読切第29回LMHS佳作★★
「SoころっけThe Night」宮川由美子読切 
「Dreaming Of You」おとよしこーはち読切第29回LMHS佳作
「受難ハ人ノ為ナラズ」綾瀬百合子読切第29回LMHS佳作
「ミスマッチ・ブラザーズ」笠間留美読切 
「Out set」山崎真実読切第12回アテナ新人大賞佳作
「さくらの花が咲く頃に八色祈読切第77回LMS金賞
「野菜の気持ち、わかって」笑木田しい読切第77回LMS銅賞★★
 こちらはひきつづき混乱を引きずっている版型A5の増刊、1988年最後は「ララDX」。副題がなんだか込み入っていて(笑)、年号表記がないあたり、まだ混乱している(笑)。
 巻頭作品は「Merry Xmas Show」と称し、5人のマンガ家のショート作品。番外編的な作品が多い中、きっちり独立した短編を仕上げてきた岡野史佳はなかなか職人芸が光っていた。作品はほんわかしたほのぼのSFでマル。
 表紙にもなっているやまざき貴子『アカデメイアの冒険者』は詰めの甘いSFなので(笑)、たこい的にははなはだ評価低し(笑)。あとは、椎隆子がLaLa系増刊に初登場。このあとしばらくLaLa増刊にシリーズ作品とかが載っていたな。
 新人賞の山崎真実「Out set」は後の森生まさみ生徒会シリーズの第1作。正直、この作品だけを見て、後の森生まさみの大成は予想できなかったと思う(笑)。人間、なにごとも努力だなあ。(2005/01/10)


LaLa AUTUMN CLUB 1988 11月10日号
表紙岡野史佳(無題)
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「OZ」樹なつみ読切 ★★★
「少年宇宙」岡野史佳読切−ラヴェンダーの軌跡−★★
「ロジカル・アレルギー・アワー」玖保キリコギャグ(20)★★★
「デイジーな君達」松苗あけみ読切■カトレアな女達・PartIII★★★
「熱闘!バトル・ボーイズ」やまざき貴子読切若菜&紫野★★
「ぼくのセロリパセリIII」星崎真紀読切秘密のフルムーン★★★★
「アブノーマル関係式」原なおこ読切 ★★★
「リバース」杜真琴読切第30回LMHS準入選★★
「ロボット考」清水玲子ギャグ ★★
「大正DINK」小原須磨子読切(菊麿&絹子)★★★
「至福星の下に」桑田乃梨子読切 ★★★
「カントとお散歩」篠有紀子読切(栗&麦)★★★
「とりさんのおくさん」ひのまるギャグ ★★
 ということで(笑)、「LaLa (季節名) CLUB」の2号目。樹なつみ『OZ』がスタートしているのがトピックといえばトピックか? 『朱鷺色三角』〜『パッション・パレード』は超能力を持った一族、という設定がSF的ではあるものの、物語の本筋にSF的なアイデアが大きく関わってくるものではなかった、と思うが、『OZ』以降、2005年現在の『デーモン聖典』に到るまで、かなりプロパーといっていいSFが樹なつみ作品の主流となってきている。まあ、そのターニングポイントであった、といえるかと。とはいえ、たこい的にはそれらの作品より『パッション・パレード』や『花咲ける青少年』の方が樹なつみの本領だと思っているのだが……。
 岡野史佳『少年宇宙』は初期の傑作短編『トイズ・ヒル物語』の続編にあたるのだが、前作では孤独な人形師の老人の内宇宙世界として描かれていた「トイズ・ヒル」が老人の死後も独立した世界として存在していて、現実世界を侵食し始める……と書くとけっこう面白そうなんだけど(笑)、意余ってなんとやらで、作品としての完成度は今ひとつ(笑)。この後、このシリーズは細々と描き継がれていくんだけど、後の作品の方には現実と内宇宙世界の境界の曖昧さをうまく表現した秀作があったりする。
 3作目となる星崎真紀「ぼくのセロリパセリ」が1、2作目に引き続き秀作。小学生の恋愛ものを適度なリアリティで描くというのはなかなかバランス感覚が必要だと思うんだけど、このシリーズはその成功例かと。  あとは、杜真琴の新人賞入選作がのっているのが目を引くといえば目を引くか?(2005/01/10)


Short Stories 現代少女漫画短編集'88 SUMMER
表紙岩館真理子(無題)
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「眠り姫ちゃん」玖保キリコ読切  
「胡蝶蘭の男たち」松苗あけみ読切  
「Mykonos」小椋冬美読切  
「かたゆでの朝」川原由美子+佐藤道明読切  
「お嬢さん凝ってますよ」山下和美読切  
「HOME IS BEST!」さべあのま読切  
「午後の授業」よしまさこ読切  
「よい子の進路指導教室」楠桂読切  
「Earth Blue」わかつきめぐみ読切  
「へちま棚」坂田靖子読切  
「J情マタニティ」星崎真紀読切  
「PIYO」ふくやまけいこ読切  
「プヨプヨ」もん読切  
「ウラシマ博士の玉手箱」遠野一生読切  
「蝶のいる部屋」やまじえびね読切  
「八月集会」しばたひろこ読切  
「紫陽花」若山信読切  
「海の記憶」浅田ともみ読切  
「或る日」新田華丸読切  
(不明)ひのまるギャグ  
 Short Storiesの第3弾が早くも登場。増刊のコンセプトからいって、掲載作品の質が重要なので、「こんなに速いペースで出して大丈夫か?」と、当時思ったのを覚えている。
 で、実はこれは買っていないので(笑)、本誌の広告からリストだけ作りました。親切な方の情報提供をお待ちしています(笑)。(2005/01/01)


LaLa SUMMER CLUB 1988 8月10日号
表紙岡野史佳(無題)
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「8月の長い夜」清水玲子読切 ★★★
「うつつの森へ」なかじ有紀読切奇脳粉荘へどうぞ Act3★★★
「Telephone call」わかつきめぐみ読切 ★★★
「極上ワンダーランド」米沢りか読切 ★★★
「昨日うさぎの森で」安孫子三和読切 ★★★
「ロボット考」清水玲子ギャグ ★★
「ぼくのセロリパセリII」星崎真紀読切−オトコの事情−★★★★
「脱・男の子時代」原なおこ読切 ★★★
「Far Away」木村晃子読切 ★★★
「左巻き恋愛法」小原須磨子読切(菊麿&絹子)★★★
「とりさんのおくさん」ひのまるギャグ ★★
 ということで(笑)、LaLa増刊(B5サイズ)の迷走は終わり(?)、この号以降はしばらく「LaLa (季節名) CLUB」というシンプルな誌名に(笑)。まあ、LaLaDX(A5サイズ)の方はまだしばらく迷走するんだけど、それは別の物語(笑)。
 内容はまあ、星崎真紀「ぼくのセロリパセリ」が1作目に引き続き秀作。なかじ有紀はなんと3年ぶり(笑)の「奇脳粉荘へどうぞ」第3作。改めて読んでみると、水準作かとは思うんだけど、やっぱりこの分野(無国籍ファンタジー)にはなかじ有紀はあまり適性はなかったな、と思う(笑)。まあ、これがシリーズ最終作で、その後こういうジャンルには手は出してないので、本人もそう思っていたのではないかと(笑)。
 清水玲子は学園もののサスペンス短編の他、ジャック&エレナを使ったギャグ(?)「ロボット考」が初登場。
 わかつきめぐみは普通の学園ものの短編。「黄昏時鼎談」のように自分の趣味の分野で気負い込んだものより、こういう普通の学園ものの方が個人的には好きかも(笑)。(2005/01/01)


LaLaスペシャルCindy 特別版
表紙岡野史佳「フル−ツ果汁100%」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「はあどぼいるどカフェ」かわみなみ読切 ★★★★
「Still Remember」岡野史佳読切 ★★★
「黄昏時鼎談SPECIAL」わかつきめぐみ読切 ★★
「だからフレンドシップ」やまざき貴子読切若菜&紫野★★
「ロジカル・アレルギー・アワー」玖保キリコギャグ(19)★★★
「どうにもハプニング」米沢りか読切(信夫&玉緒)★★★
「ぼくのセロリパセリ」星崎真紀読切 ★★★★
「とりのおくさんのにちよーび」ひのまるギャグ ★★
「新学期の少年少女」新田華丸読切 ★★
「Parallax-Vie」すぎやまゆうこ読切 
「センチになって」若山信読切 ★★
 ここ2年ほど迷走したLaLa増刊の一区切りとはいえるかも(笑)。LaLaスペシャルCindyの名前での増刊はこれが最後。最後の最後は、年号も季節も何もなしで「特別版」という謎の誌名(笑)。
 内容はまあ、中堅どころのかわみなみ、星崎真紀の短編が秀作。あとはまあ、特筆することはないかな。(2004/12/31)


Short Stories 現代少女漫画短編集'88 SPRING
表紙高野文子(無題)
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「天使が墜ちた朝」川原由美子+佐藤道明読切 ★★
「カトレアな女達」松苗あけみ読切 ★★★
「水に遊ぶ月」安孫子三和読切 ★★★
「ねじをまいて歩こう−オンナを演る日−」星崎真紀読切 ★★★
「春の道で」坂田靖子読切 ★★★★
「春ですこと1」大島弓子エッセイ ★★
「春ですこと2」大島弓子エッセイ ★★
「ONE WAY」わかつきめぐみ読切 ★★★
「ロマネスク」篠有紀子読切 ★★★
「サラサラ」もん読切 ★★★
「春ですこと3」大島弓子エッセイ ★★
「アリス迷宮」岡野史佳読切 ★★
「ペパーミントの夜」新田華丸読切 ★★
「金の馬車」ふくやまけいこ読切 ★★★
「Decisionー決断−」いしかわじゅん読切(うえぽん外伝)★★★
「春ですこと4」大島弓子エッセイ ★★
「ブルジョワジーの秘かな悲しみ」玖保キリコギャグ ★★★
「壷」若山信読切 ★★
「にがてなにおい」しばたひろこ読切 ★★★
「WATER」やまじえびね読切 ★★★★
「月のメモランダム」桜庭ゆたか読切 
「春ですこと5」大島弓子エッセイ ★★
「いぬくん」ひのまるギャグ ★★
 軸足の定まらないLaLa増刊の中では、最も骨太ではあった「Short Stories 現代少女漫画短編集」の第2弾。ともあれ、外部の大御所的なマンガ家の作品が一定以上のレベルであるのに比べると、LaLaの新人〜中堅陣の作品は、この増刊のコンセプトが求めるレベルをクリアできているかというと、かなり厳しいかも。
 前回も「avec佐藤道明」のクレジットのあった川原由美子は今回「川原由美子+佐藤道明」のクレジットで、内容的にはほとんど佐藤道明の絵によるイラストストーリーという感じで、川原由美子らしい部分は全くなし。ともあれ、この時期の佐藤道明との交流が後の『観用少女』あたりの退廃的な画風のルーツになっていると考えると、ちょっと興味深いかも。
 松苗あけみ「カトレアな女達」はこれが第1作。この後、シリーズとしてしばらく続くことに。
 坂田靖子「春の道で」は、小学校への登校途中に春の気配に誘われてあちこち道草してしまう女の子を坂田靖子らしいほんわかした雰囲気で描いた秀作。今回の号の中ではいちばん好きかも。
 しばたひろこ「にがてなにおい」は、ギャグではなくて、「かしこいうさぎさん」に近いちょっと詩的な雰囲気のあるファンタジーでなかなかマル。
 なんとなく、大島弓子の名前を使いたかっただけ? という印象のイラストエッセイ「春ですこと」は……ちょっと評価不能(笑)なので★★くらいでいかが(笑)?
 そんな中ではやまじえびね「WATER」が、少女の性欲を「水」のメタファーで描いて意味深な余韻を残す秀作。この時期のやまじえびねの中でも、「絵」へのこだわりとセンスがいかんなく発揮されていて、大御所マンガ家の作品にも引けは取っていない。これは2003年になって、やまじえびねの短編集「夜を超える」に収録されているので、興味のある人は読まれてみては? (因みに、同短編集には前の「Short Stories」掲載の「キュールとカルト」も所収)
 ともあれ、こうしてリスト化してみると春の号なので、「春」をテーマにした作品が多かったとは言えるかな(笑)。(2004/08/10)


ララDX 春の号
表紙清水玲子「竜の眠る星」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「竜の眠る星」清水玲子総集編III(再録)第13回〜最終回 
「スケバンVSスケコマシ」清水玲子読切初期未発表作品 
「まい らばあ ぼうい」清水玲子読切初期未発表作品 
「ひみつの犬神くん」桑田乃梨子読切 ★★★★
「怪子さんが通る」堀内怪子ギャグ  
読切第12回アテナ新人大賞受賞作 
読切第12回アテナ新人大賞受賞作 
読切第12回アテナ新人大賞受賞作 
読切第28回LMHS受賞作 
読切第28回LMHS受賞作 
読切第28回LMHS受賞作 
 ということで、こちらは総集編メインの「ララDX」としてリリースされた清水玲子「竜の眠る星」総集編。年号表記がないわかりにくさは継続しているが(笑)、「WAKU☆WAKU」(笑)とか「DOKI☆DOKI」(笑)とかいった謎の接頭語(?)は流石にネタ切れか(笑)?
 「竜の眠る星」への評価が個人的に低かったことから、当時購入は見送ったのであった(笑)。とはいえ、清水玲子の未発表作品(本誌、増刊に掲載されなかった投稿作)が掲載されているので、清水玲子ファンにはちょっとレアな価値ありかも(笑)。
 ということでリストは本誌などの広告から作成。広告では受賞作6本の内訳は不明。なので、親切な方の情報提供はお待ちしてます。
 そんな中、桑田乃梨子「ひみつの犬神くん」の掲載がトピックといえばトピック。これを読んでいなかったので、たこい的には新人賞受賞作の後、いきなり「青春は薔薇色だ」で脳天をぶん殴られるようなショックを受けたのであるが(笑)、これを先に読んでいたら評価はどうだったか? いや、評価は下がることはないというか、むしろさらに上がっていたかもしれないが(笑)、「青春は薔薇色だ」を読んだ時点でのショックは多少割引になった可能性はあるかな。(2004/08/10)


LaLaフレッシュ増刊'88 WINTER
表紙岡野史佳「フル−ツ果汁100%」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「形而下のマリア」遠野一生読切 ★★
「Eccentric Gum Syrup」新田華丸読切 ★★★
「とことんバースデイ」米沢りか読切 ★★★
「アカデメイアの冒険者」やまざき貴子読切 ★★
「怪子さんが通る」堀内怪子ギャグギャンブルの甘き香り★★
「ばななん」ひのまるギャグ ★★
「君の名は…」北村たもつ読切 ★★
「きんぎょのわらう夜」宮川由美子読切 
「ビタースウィート」桜庭ゆたか読切 
「海老カニしんどろーむ」戸田弓弥子読切 
「LILY☆PANIC」小泉秋子読切 
「ネオ・トランシズム」やまじえびね読切§1 愚人の構造★★★
「ネオ・トランシズム」やまじえびね読切§2 理性の行方★★★
「ネオ・トランシズム」やまじえびね読切§3 狂気の末路★★★
「ネオ・トランシズム」やまじえびね読切§4 愚人の復活★★★
 増刊の編集方針が混乱を極めた1987年の余波を受けて、1988年も冒頭から混乱してます、という感じ(笑)。版型はA5で、どうして「ララDX」じゃないのか、理由が全然わからない。ともあれ、新人の作品だけを集めての「フレッシュ増刊」が今回(のみ(笑))のコンセプト。
 巻頭作品、ということで目玉扱いと思われる遠野一生「形而下のマリア」は、タイトルからもわかるとおり以前発表された「形而上のマリア」をヒロイン側の視点から描いたものであるが、「形而上のマリア」の感想でも指摘したとおり、SFとしてのアイデアがあまりにも凡庸なため、たこい的には評価は★★。目玉扱いするくらいならコミックスをすぐにも出せばいいようなものだが、遠野一生のコミックスは結局白泉社からは1冊も出ることはなく(笑)、この「形而上のマリア」のシリーズもコミックスは別の出版社から出ることになるのだが、それはまた別の物語(笑)。
 もうひとつの目玉はたこいご贔屓のやまじえびねのオムニバス長編「ネオ・トランシズム」。ちょっとコミカルな哲学マンガ、ということでいかにもこの時期のやまじえびねらしい作品ではあるが、長さを持て余していささか散漫な印象で、評価は★★★。2004年現在、やまじえびねの過去の作品のコミックス収録が徐々に進んではいるものの、この作品は、長さと内容が現在のやまじえびねの受け入れられ方とギャップがあるので、コミックス化はされないだろうなあ(笑)。(2004/08/10)


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