お楽しみはこれからだッ!!
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第26回 “サムシング・ワンダフル”
 掲載誌 TORANU TあNUKI 151〜154号
 (通巻第51号)
 編集/発行 渡辺英樹・渡辺睦夫/アンビヴァレンス
 発行日 1993/6/30


 えー、前号はぎりぎりまで巻末2ページをこの連載のために空けて待っていてくれてたそうで、せっかくの御好意を踏みにじってしまってごめんなさい(笑)。

 さて第26回、今回は“現代りぼんに残された最後の希望(笑)”谷川史子の話、の予定だったんですが、先頃最終回を迎えたばかりの『ゲッターロボ』があまりにとんでもなかったので(笑)、緊急特集することにしたいと思ひまふ(笑)。題して、“サムシング・ワンダフル”。

「竜馬。
 一体これがら何が起こるんだ」
「すばらしいことだよ」

 さて、これが『ゲッター』最終回クライマックス・シーンでの流竜馬と神隼人の会話である。この台詞をみて“ピン”ときた人、あなたはエライ。そう! 『ゲッター』最終回はなんと『2010年』になってしまったのである(笑)。

 この台詞を読んでも何だかわからないという人のための補足(笑)。2010年になって、2001年に消息不明になったディスカバリー号の捜索隊が派遣される。捜索隊が木星宙域にいってみると、そこにはモノリスの大群(笑)が宇宙空間にうじゃうじゃ浮いている(笑)。何だ何だと思っていると、隊員の前にボウマン船長の意識体が出没する。そうこうするうちにも木星は異常活動を始めてしまう。「一体これから何が始まるんだ?」という隊員の問いにボウマンが答えて曰く、

「すばらしいことだ」(サムシング・ワンダフル)

 すると木星が爆発して太陽化する。そうして衛星エウロパには遠い将来知的生命が生まれるのかもしれない。


 と、まあ以上が映画『2010年』のものすごくアバウトなストーリーダイジェストである。しかし木星ほどSF関係者からぞんざいな扱いを受けている星もないんじゃなかろうか。何かというと爆発させられる(笑)。星野之宣『巨人たちの伝説』で太陽化。小松左京『さよならジュピター』なんてのもあった(笑)。ガイナックスの『トップをねらえ!』では銀河系中心核を消滅させる超大型ブラックホール爆弾の核に使われてやっぱり爆発してしまう。仮にも天帝の名を冠せれている星だというのにこの扱いって一体…(笑)。

 まあ、それだけSFファンに愛されているという言い方もできるか(笑)。でもSFファンからいちばん愛されてる惑星っていったら、やっぱり火星だよね(笑)。

 そう、そんな訳で(どんな訳だ(笑))この『ゲッターロボ』においては、木星ならぬ火星が重要な役割を演じるのであった。

「神一佐。なにを考えているんですか」
「未来に人類が火星に行ってなにを発見するのだろうと思ってな。
 ふふ。とりとめのない話だな…」

 15年前、恐竜帝国に続き百鬼帝国の野望をも打ち砕いた早乙女研究所ではゲッターロボの後継機の開発が進められていた。が、ある時ゲッターエネルギーが暴走し、研究所は全滅。以後ゲッターエネルギーに関する研究は廃虚となった早乙女研究所とともに忘れ去られた存在となっていた。

 そして15年、神隼人は復活した恐竜帝国に対抗すべく、隠遁していた流竜馬を呼び戻し、封印されていた新ゲッターロボを始動させる。しかしどうやらかつての早乙女研究所の所員たちは単に死んでしまったのではなく、ゲッターロボに意識体として吸収されているらしい。

 実はゲッターエネルギーとは宇宙の生命進化の原動力であり、地球での役割りを終え、今まさに新たな天体への旅立ちの時を迎えようとしていた。ゲッターロボとはそのエネルギーのための器であった。早乙女博士がゲッターロボを作ったのではなく、ゲッターエネルギーが早乙女博士をしてゲッターロボを作らしめたのだ(!)。

 北極圏におけるゲッターロボ対恐竜帝国最終決戦の最中、ゲッターロボは自らのパイロットのみならず敵である恐竜人類たちの意識までもろともに呑み込み、巨大なエネルギー体となって地球から飛翔する。目的地は、火星!

 ゲッターエネルギーを受けた火星では急激な環境変化が起こり、海洋が形成された。この海から新たな生命が誕生するのか。

 一人地球に残された神隼人は、遠い未来、火星に生まれるであろう知的生命に想いを馳せる。

 …いやあ(笑)、そんな訳で久しぶりにプリミティブなSFの感動(笑)を味わってしまった(笑)。自分がまだSFファンであることを確認することができたぞ(笑)。ありがとう(笑)! 『ゲッターロボ』(笑)!

 因みに、ラストページのクレジットが『ゲッターロボ號』“完”じゃなくて『ゲッターロボ』”完”となっているのも昔からの読者には感慨深いものがあるよなあ(笑)。


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