お楽しみはこれからだッ!!
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第14回 “梶浦ギャグ”
 掲載誌 にっこりかじうらくん
 編集/発行 川端望/東北大学SF研究会
 発行日 1991/11/9


 “お楽しみはこれからだッ!!”連載第14回は“にっこりかじうらくん”にやって来ました(笑)。今回のテーマはもちろん(笑)、“梶浦ギャグ”。

「えーと、まとめるわね。
 オレンジ2つ。
 ウーロン茶1つ。
 三矢サイダー2つ。
 コーラ3つにはちみつレモン」
「うんわかった、くり返すね。
 電子レンジ2つ。
 加藤茶1つ。
 仮面ライダー2つ。
 ゴジラが3つに破滅したドラえもんね」
「飲めないわよそんなもの」

 めでたい席なので、“梶浦ギャグ”っぽいギャグの出てくるマンガを探してみたんだけど、いざ探してみると、いかにもそれっぽい地口ギャグってのは、意外となかなか見つからなかったりする(笑)。しかしこいつは、地口と呼ぶにはあまりにも苦しい(笑)、しかも脈絡が全然なかったりする辺り、

「梶浦、今日は“手紙”でギャグを頼む(笑)」
「手紙、手紙、……えーと、“手ガニ”」(と、手でカニのまねをする(笑))

と、いう“梶浦ギャグ”に非常に近いものがあると思うんだけど、だめかな(笑)。

 台詞はひかわきょうこ「男の子も余裕!」より。ひかわきょうこの作品にはこの手のかけあい漫才がよく出てくるので結構気に入ってたりするのであった(笑)。しかしこの原稿、一体どの辺が祝辞になっているんだか(笑)。ま、いいか、梶浦なら笑って許してくれるよね(笑)。


「友美さん」
「はいっ」
「ぼくがきみの目を他に向けさせない位いい男になるからね。
なんちゃって」

 うーん、やはりこのおめでたい席で“梶浦ギャグ”のはなしだけではいくらなんでもあんまりなので、まずは、今日の佳き日の新郎新婦に、この歯の浮くような台詞をプレゼントだ(笑)。

 こんなもんもらってもあんまりうれしくないか(笑)。

 因みに台詞は、やはりひかわきょうこ、「また明日!」より。

 今回取りあげたのは同じシリーズで、単行本『女の子は余裕!』に収録されている(……というのは実は間違いで(笑)、「また明日!」は『彼方から』3巻に収録)。ひかわきょうこというのも随分と息の長い人で、現在のLaLaの中では、成田美名子、樹なつみと並んで最古参の一人である。

 その中でも、私小説的な作風の成田美名子が今だに成長(?)と変貌を続けているのと比べると、ひかわきょうこ、樹なつみは本当に変わらない。

 この三人がまだかけだしだった頃のLaLaは、かなりラディカルな雑誌だった。プチフラワーかLaLaか、って感じだったと思う。その印象はかなりな部分、山岸涼子『日出処の天子』に引きずられているとは思うのだが、雑誌全体のトーンとして、ちょっと辛口な少女マンガ雑誌だった、と、思う。大島弓子とか森川久美とかね。

 まあ、今でもわかつきめぐみとか玖保キリコとかを飼いならしてるって意味では、ちょっと他にないキャラクターのある雑誌だとは思う(ここまで言い切っちゃっていいのかな。大学時代と違って、最近はLaLa以外の少女マンガ雑誌ってほとんど読んでないのだ(笑))。でも、編集長も二人代替わりして、LaLaも随分と甘口の雑誌になっちゃったな(笑)。

 もっとも、ひかわきょうこはLaLaが辛口だった頃も甘口になった今も、相も変わらずべた甘の少女マンガを描いている。前に樹なつみのマンガが十年経っても全然変わらない、と書いたことがあったけど、ひかわきょうこもちっとも変わっていない。ただ不思議と、全然ラディカルでもなんでもないこの二人のマンガを最近読んでいると、「ああ、LaLaはやっぱりLaLaだなあ」と感慨にふけってしまうことがある。こんなのは単なるノスタルジーなんだとは思うんだけどね(笑)。

 とかなんとか、梶浦とは何の関係もない話ばかりだらだら書いてしまったが、最後に今回のテーマにぴったりの台詞を取りあげてしめくくることにしよう(笑)。これは東北大SF研会内個人誌“HIDEBU”の2号(1984年11月17日発行 編集 羽鳥武志)に羽鳥さん(5ゼクセル)が発表したSF研内輪ネタのマンガパロディ。日々のうたかたの中に散逸してしまったたくさんの“梶浦ギャグ”の中でも、形になって残っている数少ない貴重な(笑)一つであろう(笑)(パロディの元ネタは宮崎駿『風の谷のナウシカ』1巻)。

「泣いている……。
 おさない少女だ……。
 きみはだれ。
 なぜ泣いているの。名まえは…」
「カジウラ……。
 ナゲットを投げっと……」
「………………………」
「聴いてしまった……」


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