蔵王温泉共同浴場★★★★  


樹氷とスキーで有名な歴史の湯治場

■概要

蔵王温泉は山形県の東蔵王山系の中腹にある、非常に大きな温泉地である。歴史は非常に古く、発見は110年ごろとされている。温泉街の上の方には、1000年以上前から温泉を祀った酢川神社がある。

蔵王は広大なスキー場としても有名である。温泉から山頂にかけていくつものスキーゲレンデがある。蔵王独特の気候によって、ハイシーズンには地蔵岳から中腹にかけて広大な樹氷原ができる。

標高900m程の高地なので昔は最上高湯(もがみたかゆ)と呼ばれたそうだが、現在は蔵王山の蔵王権現にちなんで蔵王温泉と呼ばれいる。

蔵王温泉の泉質は、
酸性含鉄硫黄アルミニウム硫酸塩塩化物温泉(含硫化水素強酸性明ばん緑ばん泉)である。源泉はたくさんあって、それぞれ温度やPHがすこしづつ異なるが酸性の強いお湯である。今回は蔵王温泉の古くからの共同浴場を3ヶ所紹介する。

■所在地

山形県山形市蔵王温泉
TEL:023−694−9005
(蔵王温泉組合事務局)

交通

山形自動車道の山形蔵王ICを降りて、西蔵王有料道路を経由して蔵王温泉に行く。
共同浴場の付近は駐車場がないので、少し離れた中央ロープウェイの駐車場か、バスターミナル付近の駐車場を利用する。



調査日:1999年5月

上湯共同浴場

上湯は蔵王温泉の中心部にあり蔵王の源泉の一つである。湯量は非常に多く、流量は毎分4000リットルを越えるそうだ。上湯共同浴場は酢川神社の参道にある木造の浴場だ。入り口はアルミのドアだが、中はすべて木でできている。

大きい湯船からはお湯があふれている。温度はかなり高い。湯船の底には青みがかった白い湯花が沈んでいる。掛け湯をしてから、お湯を動かさないように静かに入る。熱いが気持ちのよい温泉だ。

お湯は少し白濁している。少しなめてみると、やはり非常に酸っぱい。温泉分析表によると温度49.7度、PHは1.35である。
入り口に料金箱がある。一回200円だ。共同浴場の修理と酢川神社に使われるそうだ。




浴室には蛇口はない。体を洗うためではなく、純粋にお湯に浸かるための共同浴場だ。

下湯共同浴場

下湯共同浴場は温泉街の中心にある。浴場の周囲はお土産屋や温泉旅館である。



近年建て替えられて新しくなった。山小屋のようなどっしりした建物だ。敷地はミニ公園のように石畳にしてあり、ベンチもある。入り口に料金箱があって、200円の寄付金を入れることになっている。

浴室はすべて木でできていて、大きな湯船がある。熱めのお湯が静かにあふれている。湯船の底には少し湯ノ花がたまっている。このお湯は上湯と同じお湯だそうだ。



先客は大阪から来た人だ。我々と同じように夫婦で温泉めぐりをしているそうだ。同好の人と山形の温泉話をする。「白布温泉も良いけれど蔵王のお湯は強くて効きますね」とのこと、同感だ。

浴場の壁には次のような入浴心得が掲示してある。
「当温泉は強酸性ですので石鹸は使用できません。又ぬれたままのタオルを着物に掛けたりしますと、やがて切れますのでご注意下さい。」私が以前蔵王に来たとき、入浴の後に干していたタオルが3日目にはボロボロになって切れたことがある。

下湯共同浴場は利用できる時間が掲示してある。6:00から20:30まで

下湯の脇に温泉の涌きだし口がある。石でできた大きなモニュメントのようだ。ここもふんだんにお湯が流れている。ここに蔵王温泉由来の解説があった。出だしは次のように書かれている。

「日本最古の一つに数えられる蔵王温泉は、西暦百十年吉備多賀湯(きびのたがゆ)に発見され、蝦夷征伐で病んだ身体が完治したと伝えられ、又山岳信仰の霊山としても古くから知られておりました。・・・」


川原湯共同浴場

川原湯共同浴場は、裏通りの奧に、あまり目立たないところにある。建物は少し古びていて、上湯と同程度の大きさである。200円を寄付して入る。




浴槽は岩を削ったような感じでずいぶん広い。そこにスノコがはめ込んである。スノコの下に湯ノ花がたくさん溜まっている。お湯は非常に熱い。泉質は含硫化水素強酸性明ばん緑ばん泉である。

泉温は48.1度、PHは1.45でここも強酸性である。上湯、下湯とは源泉が違うのが分かる。

先客は仙台から来た3人組だった。熱い湯で我慢比べをしている。裏通りにあるので安心して楽しんでいるようだ。

 TOP  温泉みしゅらん