鉛温泉藤三旅館★★★★


立って入る名物の天然温泉

■概要

岩手県花巻から北西方向に豊沢川を遡ると花巻温泉郷がある。花巻温泉郷を代表する温泉のひとつが鉛温泉だ。鉛温泉の中心は藤三(ふじさん)旅館で、先祖が温泉を発見したという藤井家がやっている。

鉛温泉の開湯は500年程前だという。白い猿が桂の木の根元のお湯で傷を癒すのを樵が見つけ温泉を発見したとの開湯伝説がある。藤三旅館の白猿の湯の裏にある神棚には由来の絵が飾ってある。


鉛温泉の「鉛」の由来はお湯が鉛色だったからという説や、近くに金を見つけた者が鉛だと言ったことからという説があるそうだ。小説家田宮虎彦の小説「銀(しろがね)心中」の舞台にもなっている。


藤三旅館の本館は1941年に建てられた木造3階建の立派な日本旅館だ。豊沢川に乗り出すように建っている古い旅館らしいたたずまいだ。本格的な湯治部もある。湯治部には売店があって日用品や自炊用の食品も置いてある。



■所在地

岩手県花巻市鉛中平75−1
TEL:0198−25−2311
FAX:0198−25−2312



■印象

帳場に挨拶すると日帰り入浴客にも丁寧に応えてくれる。教えられてさっそく有名な白猿(しろざる)の湯へ行く。廊下から覗き込むと地下2階程の深いところに小判型の浴槽がある。

男女別に浴室へ下る階段があるが、浴槽は混浴だ。階段を下りたところに衝立で隠した脱衣場所がある。かけ湯をしてさっそく入る。足のかかる所がなくてザブンと胸までお湯に浸かった。

聞いてはいたが思いのほか深くて驚いた。深さは1.25mある。白猿の湯の底はデコボコしている。透明で少し熱めの源泉そのままが底から湧き出している。泉質は含芒硝硫化水素単純泉だ。見上げると天井がたいへん高い。静かにしているととても気分がよい。



湯治部の風呂は河鹿(かじか)の湯という。クラシックな雰囲気の入り口だが、浴室は明るいタイル張りだ。とても熱いお湯が掛け流されている。水で埋めないととても入っていられない。 河鹿の湯は白猿の湯とは別源泉の上の湯という。泉質は単純温泉(Na-SO4型)、温度57.0度だ。元は浴室は混浴だったのをあとで仕切ったもののようだ。

旅館部にも別源泉の浴室がある。男湯はアトミック風呂という。窓から川を見下ろせる。たまたま先客に御夫婦が入っていたので、写真は湯船の一部のみ。お湯はこれも別源泉、下の湯という。透明でこれも熱い。泉質は単純温泉(Na-SO4型)、温度50.2度だ。女湯は竜宮の湯、こちらはやや小ぶりだ。透明で熱い湯だ。



立ち湯の白猿の湯は日本一深いという。大きな温泉旅館で源泉が4つあるので温泉めぐりができる。湯治部もずいぶん安く泊まれるようだ。静かな湯治場としてお勧めする。


■営業

営業時間 9:00−20:00
休館日 無休
料金 500円

交通

東北自動車道の花巻ICを降りて県道12号線(花巻大曲線)を北西に登る。花巻温泉郷の各温泉を過ぎて奥の方になる。ICから車で25分程度。駐車場は旅館部にあり。
東北新幹線の新花巻駅からバスあり。



調査日:2002年5月

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