国見温泉石塚旅館★★★★★


鮮やかな緑色のお湯

■概要

特異な色の温泉として温泉ファンに有名な国見温泉を訪れた。2軒の宿のうち古い石塚旅館を訪ねることにした。盛岡から秋田に抜ける国道46号線が県境を越える少し手前から、国見温泉への道が始まる。

国見温泉は秋田駒ケ岳の5合目にあたる。ここから山頂までは歩いて2時間半ほどという。県境の高い山なので温泉付近でも山の雲が流れてきて、付近はときおり霧の中に覆われてしまう。



石塚旅館は外見が外国のロッジ風にしてあるが、中は湯治宿の雰囲気を多く残している。周囲は低い木で覆われた高山の中腹だ。雲が切れると周囲の山がよく見える。

温泉の歴史は江戸時代中期に開湯され、南部藩の湯治場だったが石塚旅館の初代が買い取って湯治場として営業してきた。創業200年という。現在は秘湯を守る会の会員旅館となっている。

独特のお湯の色について東邦大学の高松教授の研究生が研究しており、その後教授自身の研究報告が館内に掲載されている。

温泉に含まれる硫黄と硫化水素が反応してできる多硫化イオンが黄色に見える。これと同時に温泉から析出してできる炭酸カルシウムの微細粒子が光を散乱して青色に見える。この2つを足して緑色に見えるとのこと。

■所在地

岩手県岩手郡雫石町橋場国見温泉
TEL:090−3362−9139(衛星電話)
TEL:019−692−3355(転送電話)




■印象

まずは建物の裏手にある混浴露天風呂にいく。細長いプール状のコンクリート浴槽に黄緑色のお湯が溢れている。まるで水彩絵の具のようだ。透明度は40cmほど。

高い位置から大量のお湯が投入されている。温度は適温、浴槽の底には白い湯花が沈殿している。

コップがあるのでお湯を飲んでみると苦シブ味。クレゾールのような香りだ。浴感ははじめツルツル、やがてキシキシになる。タオルはあっというまに反応して黒くなった。



大浴場は人が少なく、お湯の表面に温泉成分の膜が浮かんでいる。さすがに濃い泉質だ。この浴室は比較的あたらしい。もちろん源泉掛け流し。

源泉名は薬師の湯、泉質は含硫黄−ナトリウム−炭酸水素塩泉、源泉の温度49.8℃、pH=6.8、成分総計4607mg。



小浴室はとりわけ流量が多いのか、お湯の透明度が高く、浴槽の底まで見える。床は温泉の析出で千枚田状態だ。浴槽のふちにも析出物のテラスが張り出している。

さすがに温泉ファンに有名なだけある。これだけ鮮やかな緑のお湯は珍しい。濃い温泉ファンには特にお勧めする。


■営業

営業時間 10:00−16:00
休館日 冬季休業(11月11日−5月初旬)
料金 500円

交通

東北自動車道の盛岡ICを降り、国道46号線で田沢湖方向へ行く。盛岡ICから43kmほどで県道266号線(国見温泉線)の分岐がある。くねくねした県道を7kmほど登ると国見温泉。石橋旅館の駐車場は広い。



調査日:2008年8月

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