加賀井温泉一陽館★★★★


強烈な石灰成分の温泉

■概要

長野の近く松代町に、たいへん濃い温泉があると聞いていたので、行ってみることにした。高速道路の長野ICからすぐ近く、松代町の東に加賀井温泉一陽館がある。

加賀井温泉は古い名称で、現在は松代温泉と呼ばれているが、一陽館はいまだに加賀井温泉と呼ばれる。首位は田圃や畑がある郊外だが、一陽館の辺りは小さな森になっている。



江戸時代に村でやっていた温泉を、大正時代に復活させたものだそうだ。湯気抜きがある立派な浴舎に休憩室の建物がついている。

温泉のご主人が温泉井戸に案内してくれた。浴舎の隣に温泉井戸があって、そこから太いパイプが伸びている。



お湯を一時貯める湯桶を覗かせてくれた。サイダーを流し込んだように猛烈に泡立っている。泡の多い日は桶からあふれるそうだ。噴出したばかりのお湯は透明に近い。



パイプの穴からお湯が滴っているが、そこから石灰華が伸びている。地面にもタケノコのように石灰華が盛り上がっている。
地面からもところどころから泡がにじみ出ている。

ご主人の話によると、最初の温泉井戸は湯桶のあたりにあったが、松代地震でパイプが折れて、地下にお湯がたまって泥が噴き出して、泥の穴になった。パイプは結局直せなくて泥の穴を沢山の砂利で埋めて別に温泉を掘ったそうだ。

■所在地

長野県長野市松代町東条
TEL:0262−78−2016(FAX兼用)



■印象

浴室は細長い浴槽がある。左から右にふんだんに掛け流されている。お湯は緑かかった茶色で濁りが強い。床は一面の石灰華で赤茶色だ。プラスチックの風呂桶も石灰華まみれだ。浴槽のふちが石灰華で横にせり出している。常連さんに聞くと昔は木の浴槽だったというからたいへんな変わりようだ。

入ってみるとぬるめでよい。泉質は含鉄−ナトリウム・カルシウム−塩化物泉、源泉の温度は41度、蒸発残留物が12680mg/Lもある。源泉をそのまま流し込んで丁度良いぬる湯だ。お湯をなめると塩辛くて苦い味がする。

浴舎の西側に大きな混浴の露天風呂がある。四角い湯船が2つに仕切られている。周囲は、簡単な生垣がある。お湯は濃い赤茶色だ。手のひらを5cm沈めるともう見えない。タオルはもちろん赤茶色に染まってしまう。



露天風呂に入るには、内湯の入り口からいったんサンダル履きで外へ出なければならない。女性はタオルを巻いて入っている。露天風呂はかなり温めなので、ゆっくり浸かっている人が多い。2,3時間入り放しの人もいるそうだ。

ご主人の話では、お湯がどんどんあふれるときは色が薄くて、お湯がたまってくるとにごりが強くなるそうだ。そういえば流れの多い内湯は、それほど赤くなく露天に比べれば濁りが少ない。露天はお湯の動きが少ないようだ。

お湯から上がると体が石灰分がついたようだ。乾いてくると肌がさらさらする。お湯から出て涼んみながら、ご主人の話を聞かせてもらった。せっかく来てもお湯に入らない観光客もいるのがざんねんだと言っていた。

維持管理にたいへん手間のかかる温泉は一時閉鎖されたけれど、地元住民の希望で再開されたそうだ。いまは旅館部が休業中だが、いつまでも続けてもらいたい良い温泉だと思う。

■営業

営業時間 8:00−20:00
休憩室
8:00−16:00
休館日 無休
料金 300円
休憩750円

交通

上信越自動車道の長野ICを降りて、国道403号線を松代方向へ。荒神町交差点を左折して松代温泉に向い、加賀井温泉の看板を見つけて右折。駐車場は十数台分ある。



調査日:2001年10月


信州松代真田まつり

加賀井温泉を訪れた日は、たまたま松代の「真田まつり」の日だった。町の通りを江戸時代の衣装を付けた時代行列が行われていた。

真田まつりは、松代町が真田の城下町だったことに由来して行われる松代町最大のお祭りだ。2001年で、48回目だそうだ。江戸時代の装束を身にまとい、町内の通りを練り歩く。けっこう気合いの入った雰囲気はなかなか面白かった。
 

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