古遠部温泉★★★★★


盛大なかけ流しの湯治宿

■概要

温泉ファンの間では有名な古遠部(ふるとおべ)温泉は、青森県と秋田県の県境の山の中にある。狭い林道をたどっていくと、谷がだんだん狭まるところで、道路から谷にせり出したように小さな建物がある。

宿の入り口は道路沿いにあるが、浴室は谷に降りるようになっている。離れて見ると浴室は温泉成分が固まった石灰華のドームの上に乗っている。北海道の二股ラジウム温泉を思わせるような光景だ。



古遠部温泉は40年ほど前に鉱山開発の試掘で発見された温泉だ。歴史の古い温泉の多い青森にあっては比較的新しいが、十分に秘湯の雰囲気が漂っている。浴客は地元の湯治客が主だが、車のナンバーを見ると遠くからも人が来ている。



■所在地

青森県南郡碇ヶ関村大字碇ヶ関字西碇ヶ関山1−467
TEL:0172−46−2533



■印象

きさくなお婆ちゃんに挨拶して、階段を下って浴室に入る。それほど広くはない浴室は、床も浴槽も赤茶色に染まっている。5人ほど浴槽に大量のお湯が注がれ勢いよく流れ出している。床に流れるお湯で手桶が流されしまう。話に聞いていたとおり驚く光景だ。

先客に挨拶してさっそく飛び込む。お湯は茶褐色の濁り湯、温度は源泉そのままでまったくの適温、キシキシとする浴感がある。飲んでみると金気と苦味の強い塩味がする。泉質は含石膏弱食塩泉、源泉の温度41.5度、成分総計6362mg、湧出量は500L/分もある。

温泉の析出で浴室の床は赤茶色の厚い層に覆われている。浴槽はヒノキ製だったそうだが、今ではすっかり析出で覆われて何かは分からないほどだ。カランがないので、完全な湯治用と考えたほうがいい。床に流れるお湯のところで桶を枕にトドになるのは極楽だ。

同浴の方は奥さんの腰痛治療に来たという。「ここは手術の後とか腰痛に効くよ。上がり湯がないのできれい好きな人は困るけど。」と力説してくれた。湯治客は10日一回りをしっかりやっているそうだ。

小さいけれど本格的な湯治場だ。湯治料金もずいぶん安い。家族的な雰囲気もとてもすばらしい。お湯も雰囲気も満足できる。ここはじっくり泊まってみたいところだ。

■営業

営業時間 9:00−20:00
休館日 無休
料金 250円

交通

東北自動車道の碇ヶ関ICを降りて国道7号を南下する。碇ヶ関関所から国道282号に入って3kmほど行き、古遠部温泉の看板をみつけて左折する。東北自動車道の赤いアーチをくぐって狭い林道を1kmほど。駐車場は10台程度。



調査日:2003年11月


碇ヶ関関所

秀吉が天下統一した時期(1586年)に津軽藩が秋田の比内を攻撃したあと、帰国のときに設けた関所が碇ヶ関関所だ。明治始めまでの長い期間津軽藩の入り口であったという。現在は関所の建物を復元して人形が飾ってある。料金200円、月休、9:00−16:00(夏は17時まで)

 

 


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